The Lunatic ルールブック
はじめに
The Lunaticとは
『The Lunatic』は剣と魔法の世界を舞台としたファンタジーTRPGシステムだ。強力なヒーローや特別な能力の持ち主が派手な冒険をするというより、地に足の着いたリアルな冒険の再現を目指している。『The Lunatic』の特筆すべき特徴は次のとおりだ。
『The Lunatic』の行為判定は上方判定と下方判定の利点、下方判定の簡便さと上方判定の扱いやすさを兼ね備える。下方判定で発生しがちな共に防御に成功し続けるためケリがつかない状況や、上方判定のように1点の能力差が決定的な違いになることはない。さらに、データ類は高い精度、バランスで構築されており、細かな計算が必要となる修正値を可能な限り排除している。そのため、面倒な計算でゲームの進行が煩わされることがない。
『The Lunatic』の戦闘システムは、活劇やチャンバラのような軽快な戦いを再現する。連続攻撃や呪文と攻撃の連携、一撃必殺的な要素が基本的な仕組みとして提供され、面倒な行動量管理の手間は一切ない。加えて「特技」のルールによって戦闘中に考えられるであろう様々な行動、例えば複数の敵を薙ぎ払う、敵の横をすり抜ける、敵の攻撃ミスを突いて反撃する、などを容易に再現できる。
『The Lunatic』がリアルに再現するのは戦闘だけではない。罠の解除や隠密行動、交渉などは作業として処理する。これによって多くのTRPGシステムでは単に1回のダイスロールで結果を決定するかロールプレイ任せになるような行動をリアルかつルールに基づいてきちんと解決できる。
キャラクター表現は多様でありつつキャラクター作成は簡便だ。例えば、多くのシステムで「美少女剣士」がもまともにダメージを与えられる様にするためには高い筋力を持たせる必要がある(つまりゴツくなる)が、『The Lunatic』ではそんな必要はない。また、徹底的に考えて数値的に突き詰めたキャラクターを作ろうとも「和マンチ」、「データッキー」と呼ばれることはない。
TRPG
TRPGとは何かというややこしい話題を追求するつもりはない。『The Lunatic』ではTRPG(をプレイする)とは次の様なゲームだと考えている。
1人のマスターと5人前後のプレイヤーによってプレイされる。プレイヤーは各1人のプレイヤーキャラクターを介してゲームに参加する。プレイヤーの目的は他のプレイヤーと協力しシナリオで示された課題を解決し目標を達成することだ。マスターの役割はプレイヤーキャラクターに目的と課題を与え、セッションを公平かつ公正に運営し、プレイヤーに対して納得感のある結末を与えることだ。これらの結果として、マスターもプレイヤーもセッションを楽しむことができたならばそのセッションは成功だ。加えて、そのセッションを見返したときに素晴らしい物語となっており、キャラクターが実際の人物であるかのように活躍できたなら、そのセッションは大成功だ。
『The Lunatic』に必要な物
『The Lunatic』でTRPGをプレイするために必要な物について説明する。
シナリオ
TRPGはその名前に「ゲーム」と入っているにもかかわらず、ルールブック、データ集をそろえ、プレイヤーを集めてもゲームとして成立しない。TRPGのルールにはゲームの目的、ゲームの終了(勝利、敗北)条件、などが定義されておらず、ゲーム中の障害も規定されていない(普通のゲームでは他のプレイヤーや相手のチームが障害になる)。
TRPGではゲームの目的、終了(勝利、敗北)条件、目的達成のための障害を規定したものをシナリオと言う。シナリオは普通マスターが用意するが既成のものを使う場合もある。マスターはシナリオに従ってプレイヤーにそのセッションで達成すべき目的を示し、プレイヤーに各時点の舞台設定や状況を説明し、モンスターなどの障害を扱う。プレイヤーはマスターの説明に基づいて自分のキャラクターが何をすべきか考え、ルールに基づいて行動結果を導き、新たな行動を行う、ということを繰り返してシナリオの目的達成を目指す。
参加者
一般的にTRPGをプレイするためにはマスターと呼ばれる参加者が1人、プレイヤーと呼ばれる参加者が数人(3〜6人)必要だ。これは『The Lunatic』においても同じだ。
プレイヤーはゲーム中の登場人物1人を担当するが、マスターはその他全てを担当する。TRPGを映画や演劇に例えるならプレイヤーが担当する主役級の役者以外の全て、コンピュータRPGに例えるならゲームそのものと言える。マスターの役割を列挙すると次の様になる。
-
シナリオを用意する
自分でシナリオを準備するか既成のシナリオを使用する。マスターは事前にシナリオの内容を理解しておく。
-
ノンプレイヤーキャラクター(NPC)やモンスターをプレイする
マスターはPC以外でセッションに登場するもの全て、PCの敵やライバル、その他一般人などの脇役を演じる。
-
ゲーム中の状況や情報などを提示する
ゲーム中の場面を説明したり必要な情報を与えたりする。場合によっては状況を変化させたり、情報を与えたりする事でセッションの進行を促す必要もある。
-
ゲーム進行を審判する
プレイヤーの行動に対して適当な判定を要求し結果を判定する、NPCなどの態度を決める、など様々な判断を行ってセッションを円滑に運営する。
マスターにとっての目的はプレイヤーとは異なる。プレイヤーの目的はPCを通してシナリオに示された目的を達成することだが、マスターの目的は戦闘などでPCを負かすことではない。マスターの目的はセッションをマネジメントし、プレイヤーを納得させる事だ。PCがシナリオの目的を達成し、マスターもプレイヤーも満足な結果に終われば大成功だ。PC達が目的を達成できなかったとしてもプレイヤーが失敗した事を納得できるならマスターにとっては成功だ。しかし、セッションをマネジメントし切れず、プレイヤーが結果に納得できないならマスターにとってのセッションは失敗と言える。
プレイヤーはプレイヤーキャラクター(PC)を介してゲームに参加する。自分のPCを管理することは最低限プレイヤーの義務だ。そして、シナリオで提示された目的を達成するために何をすべきかを考え、それを実行するのがプレイヤーの役割だ。
ダイス
『The Lunatic』では乱数を求めるためにダイスを使用する。4面、6面、8面、10面、12面ダイスはD4、D6、D8、D10、D12と記述する。D2はD6の1/3(端数切り上げ)、D3はD6の1/2(端数切り上げ)、D5はD10の1/2(端数切り上げ)だ。ゲーム中にどれだけのダイスを振るかは下の書式を参照すること。
| 書式例 | 説明 |
|---|---|
| D12+D10 | それぞれのダイスを振り、出目を合計する。例の場合はD12とD10の合計。 |
| 3D6 | ダイスの前に示した数だけダイスを振り、出目を合計する。例の場合はD6を3個振って全部の目を合計する。 |
筆記用具とシート類
キャラクターの状態変化を記録するためキャラクターシートのコピーをプレイヤーの人数分用意する。また、キャラクターシートを記入したり、メモを取ったりするために筆記用具が必要だ。書き換える必要があるので鉛筆やシャープペンシルを使用する。
一般事項
ルールやデータを読む上で必要な一般事項について説明する。
書式
ルールやデータを記述する際、次の書式に従って記述する。
| 書式 | 説明 |
|---|---|
| 〔能力値〕 | 能力値は〔名称:値(修正値)〕と記述する。 |
| 〔才能〕 | 才能は〔才能:取得回数〕と記述する。〔才能〕とだけ記述した場合は取得回数1回を意味する。 |
| 《技能》 |
技能は《名称:基準値:強度:決定的成功率》と記述する。パラメータが省略された場合は次の様になる。 《名称:基準値:強度》…決定的成功率が無い場合 《名称:基準値》…強度、決定的成功率が無い場合 |
| 【呪文】 | 呪文は【呪文】と記述する。 |
| 〈特技〉 | 特技は〈特技[制限・対象]:取得回数〉と記述する。 |
| [パラメータ] | 特技や呪文等の説明時のパラメータは[パラメータ:値]と記述する。 |
| リソース(n) | 余力(1)やMP(2n+1)の様に記述する。余力(1)は余力を1点を意味する。MP(2n+1)はnに任意の数(0以上)を適用した点数になる。例えば、n=2ならMP(5)ということだ。 |
| 「対象項目」 | 特定の言葉やルールの項目等を示す。 |
長さ、重さ、時間などの単位
ルールブックや実際のゲーム中に使用する長さの単位にはメートル系を、重さの単位にはキログラム系を使用する。時間の単位には現実世界と同様に年、月、週、日、午後、午前、時間、分、秒を用いる。ただし、『The Lunatic』は中世風ファンタジー世界なので秒の様な細かい時間の単位はプレイヤーレベルでは使用してもPCレベルでは使用しない。
用語
ルール等で使用する一般的な用語を以下に示す。
- GM
- マスター(ゲームマスター)の略。
- PC
- プレイヤーキャラクターの略。
- NPC
- ノンプレイヤーキャラクターの略。NPCはPC以外の登場人物でGMが管理する。
- AP
- 能力ポイントの略。
- MP
- 魔力の略。
- EXP
- 経験値の略。
- Lv
- レベルの略。
- クリーチャー
- PC、NPC、モンスター、その他生物などの総称。
- キャラクター
- クリーチャーとほぼ同義だが主にPCやNPCを指す。
- セッション
- 1回のゲームプレイのこと。
- パーティ
- 仲間のPCの一団のこと。場合によってはNPCがパーティの一員になることもある。
- 敵と味方
- 敵と味方はキャラクターの主観に基づく。つまり、プレイヤーが敵と判断した相手は敵であり、味方と認識すれば味方だ。
- 右手、左手
- ルール上、利き手を右手、反対の手を左手と表記する。左利きのキャラクターは左右反対に読み替える。
重要な原則
セッションを運営する上で重要ないくつかの原則を説明する。
当たり前のことだが、参加者がダイス目や数値を誤魔化したり、嘘をついたりしてはならない。ゲームはルールを守って公正に運営されなければゲームとして成立しない。
これもゲーム一般について当然のことだ。全ての参加者は平等にプレイを楽しむ権利があり、自分が楽しむために他者を不快にする様な行動をとってはならない。
どのような状況でどのようなルールを適用するのか、その結果どうなったかを最終的に決めるのはマスターだ。ほとんどのスポーツで審判の決定には従わなければならないのと同様にプレイヤーはマスターの決定に従わなければならない。
より限定的な状況でのみ適用されるルールは一般的なルールを上書きする。例えば、行為判定やダメージ処理のルールは典型的な一般則であり、〈特技〉や【呪文】は典型的な細則だ。例えば、『The Lunatic』の近接攻撃は連続攻撃として処理されるが特技の効果で連続攻撃を行えないとなっていた場合、より限定的なルールである特技の記述を優先する。
キャラクターがアイテムで能力を強化できる場合、必ず代償を支払わなければならない。具体例を挙げると『The Lunatic』には手にしただけで攻撃力の上がるロングソード+1のような武器やアイテムは存在しない。技能上昇と同じ利益を得られるなら技能成長と同様に経験値を支払う必要がある。〈特技〉や【呪文】と同じ効果を得るには余力や魔力などのコストが必要だ。マスターが独自のアイテムなどを出す場合、この点に注意すること。
キャラクターをそれらしくロールプレイすることは重要だが、キャラクターの演出は未解決の行動には影響しない。例えば、プレイヤーが非常に盛り上がってヒロイックなセリフを叫んでも攻撃が自動的に成功したりダメージが増えたりはしない。逆に結果に対する演出は自由だ。例えば決定的成功で敵を倒した時、敵を両断したのか急所を一突きしたのかを決めるのはプレイヤーの自由だ。
キャラクター作成
プレイヤーキャラクター(PC)はプレイヤーが自分の意志でその行動を決定できる唯一の存在で、ゲームにおけるプレイヤーの分身といえる。ここではプレイヤーがゲームに参加するために自分のキャラクターを作成する方法について説明する。
『The Lunatic』のキャラクター
PCの作成を始める前に、PCに期待される一般的なイメージについて説明する。
PCのイメージ
PCはいわゆるヒーローよりも悪漢(ピカレスク小説やハードボイルド的な)や義賊的なキャラクターを指向している(いわゆるヒーローを目指しても問題ない)。これはPC が悪人や外道であるという意味ではない。PC は自らの信念や自由を守るため、受けた恩義や義理のために法を犯すこともあるが本質的には「好い奴」であるべきだ。
実際に作成するPCは上記をふまえた上で自分の好きな様にイメージして構わない。ある程度PCの過去や性格、行動指針等を定めておくのも良いだろう。ただし、設定にこだわるあまりセッションに参加できない様なキャラクターなってはいけない。
冒険者
PCは「冒険者」と呼ばれる存在だが、冒険者とは何だろうか?
冒険者の立場
冒険者は特定の組織や地域に所属しない自由な立場にある。社会的制約や義務からは自由だが、反対に組織や集団に属していれば得られる権利や保証はなく、およそどこに行ってもよそ者と見なされる。とはいえ冒険者には、特殊な技術を持っている、荒事を引き受けてもらえる、現金を消費してくれるなど一般人にとっても有益な面があるので、無法を働いたりしない限りは積極的に排除される事はない。
冒険者の仕事
冒険者も人間なのでその日の糧を得る必要がある。冒険者の代表的な仕事としては次の様なものがある。これら以外にも冒険者の仕事はあるが、いずれにしろ一般人には手を出せない危険な仕事をこなす事になる。
- 遺跡の発掘
-
世界には古代の遺跡等がいくつも存在する。遺跡に残された財宝や遺物を探し出すというのは冒険者の代表的な仕事だ。古文書は魔術士にとっては貴重な資料だし、財宝や遺物は好事家に売り渡す事で現金に変えることができる。貴重な魔法の道具等、冒険者自身にとって有用な物品を手に入れる事もできる。
- モンスター退治
-
世界には危険なモンスターが多数存在する。ゴブリンやオークのように人間の集落に危害を加えるものや、アンデッドやデーモン等の様に存在自体が邪悪なものがいる。冒険者はこれらに対する専門家でもあり、モンスターを退治する事で対価を得る事ができる。モンスターの中には財宝を溜め込んでいるものもおりこれらを狙う冒険者もいる。
- 荒事の解決
-
この世界は中世風の世界であまり治安レベルが高いとは言えない。十分な警察組織も無いため野盗や犯罪者への対応は不十分だ。特に小さな町や農村ではそのような傾向が顕著だ。かなりの戦闘力と専門技術を持った冒険者は集落の住民から野盗の排除、犯罪者の成敗等の依頼を受ける事も多い。また、賞金首を狙うという事もある。
PCの目的
結局のところPCの目的は何だろうか? 全てのPCに共通する目的があるとすれば、より強くなって広い世界世界で大きな冒険に出かけられるようになることだろう。そのためにPCは、目の前の冒険をこなし、新たな技術を習得し、持てる技術を高め、自分の世界を広げてゆくことになる。
クラスの決定
PCの作成の第一歩はクラスを選ぶことだ。クラスによってキャラクターの役割と得手不得手が決まる。「クラスデータ」を参照して基本クラス、専門クラスの順でそれぞれ1つ選択すること。選択によって取得可能な特技、呪文、などに差が生じる。
基本クラスとして「魔法戦士」、専門クラスとして「退魔士」のように選択する。
能力の決定
キャラクターの能力値と才能を決定し能力値から算出するパラメータを算出する。
能力初期値と能力ポイントの決定
〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕、〔技術〕、〔天命〕の初期値はそれぞれ8だ。このうち1つだけを選んで9にする。
キャラクターは能力ポイント(AP)を25点を持っている。これを使って能力値を初期値から増やすことができる。能力ポイントは能力値を増やす以外に才能を取得したり、各種パラメータを計算する際にも使用できるので能力の決定で使い切る必要はない。
| 能力初期値 | 9、8、8、8、8を各能力値に割り当て |
|---|---|
| 能力ポイント | 25 |
能力値の決定
能力値には〔武勇〕、〔反応〕、〔技術〕、〔天命〕、〔魔術〕があり、キャラクターの適性を表す。能力値は耐久度などのパラメータや技能の算出、能力値判定に使用する。能力値は〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕、〔技術〕、〔天命〕と〔魔術〕で決定方法が異なる。
能力値には少なくとも18点以上の能力ポイントを費やさなくてはならない。ただしこれはPCに対する制限でありNPCにこの制限は適用しない。
| 能力 | 説明 |
|---|---|
| 〔武勇〕 | 武才、勇敢さ示す。 |
| 〔反応〕 | 運動神経や反射神経の良さを表す。また、視覚、聴覚などの感覚にどれだけ優れているかも表す。 |
| 〔判断〕 | 判断力、瞬間的に適切な判断ができるかやひらめきの良さ、頭の回転の速さを表す。 |
| 〔技術〕 | 手先の器用さ、物事の理解力、思考力、観察力、冒険者に必要な知識の有無を表す。 |
| 〔天命〕 | 生命力、精神力、運を示す。 |
| 〔魔術〕 | 魔法の才能を示す。術者は〔魔術:なし〕にできない。 |
〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕〔技術〕、〔天命〕の決定
能力ポイントを使用して〔武勇〕、〔反応〕、〔技術〕、〔天命〕をカスタマイズする。
能力値は能力ポイントを使用して初期値から増加させる。反対に能力値を減少させた場合、能力ポイントを得得られる。例えば、能力値を初期値9から2下げて7にした場合、2点の能力ポイントを獲得できる。ただし、能力値を6以上増やす事も、4以上下げる事もできない。また、能力値のマイナスは合計で-3まで(3種類の能力を-1か、-2と-1の能力を1つずつか、-3の能力を1つ)しかできない。能力値の増減は下表に従って計算する。
| AP | -3 | -2 | -1 | 0 | 2 | 5 | 9 | 14 | 20 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 増減 | -3 | -2 | -1 | ±0 | +1 | +2 | +3 | +4 | +5 |
〔魔術〕の決定
魔術は能力値の一種だが必ずしも取得する必要はない。〔魔術〕は一部の人間に生まれつき備わった特殊な才能でこの能力を欠いたものも多数存在するのだ。魔術は下の表に従って能力ポイントを消費することで獲得する。
| AP | 0 | 1 | 2 | 5 | 9 | 14 | 20 | 27 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 魔術 | なし | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
能力値修正値の決定
能力値が6以下か10以上なら能力値修正値がつく。能力値修正値は技能やパラメータを計算する際に補正値として使用する。能力値修正値は下表の通りに算出する。〔魔術:なし〕の場合、修正値は±0だ。
| 能力値 | 5 | 6 | 7〜9 | 10以上 |
|---|---|---|---|---|
| 修正値 | -2 | -1 | ±0 | +1 |
能力値は7〜9が一般人の水準、10なら優秀、11は非常に優秀、12は極めて優秀、13からはそれ以上だ。逆に6以下になると一般的なレベルよりも劣っている。PCはかなり才能に溢れた人物になる。冒険者のような何の保証もないどころか無事で済むことも珍しい世界でやって行けるほどなので、当然といえば当然かもしれない。
才能
才能はキャラクターが生まれつき持っている特殊な能力だ。才能は能力ポイントを消費して獲得する。才能のデータは『データブック』を参照すること。才能はキャラクター作成時に取得しなければその後取得する機会はない。
余力
余力はキャラクターの余裕や余力を表し、余力の減少は余裕がなくなったり、疲労していたり、焦っていたりすることを意味する。基本的にゲーム開始時の余力は最大値に等しい。余力の最低値は0である。余力は最大値を超えて回復しない。
余力は主に次の用途に使用する。
-
余力(n)を消費して耐久度ダメージをnD6軽減する。
余力の最も重要な使用法で、キャラクターが[耐久度]にダメージを受けるときは(余力を使用できないという指定がない限り)いつでも行える。余力によるダメージ軽減はその他のダメージ追加や軽減を行った後に宣言して使用する。
- 作業判定のミスの効果を代替する。
- 特技の使用コストとして使用する。
キャラクターは余力基礎点を1点持つ。それに〔天命〕と〔武勇、反応、判断、技術〕の最も高い能力値1つと最も低い能力値1つの余力元値を加える。余力の最低値は0だ。
| 余力 | 〔天命〕余力元値+〔最大能力〕余力元値+〔最小能力〕余力元値+1 |
|---|
余力元値は各能力値から下表に従って求める。能力ポイント(≧0)を使用してこの計算時だけ能力値を高くしても良い。
| 能力値+AP | 5 | 6 | 7 | 8〜10 | 11〜14 | 15〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 余力元値 | -2 | -1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
〔武勇:11〕〔反応:11〕〔技術:7〕〔天命:10〕〔魔術:なし〕のキャラクターがいる。このキャラクターは〔天命:10〕から余力1、最も高い能力は〔武勇:11〕か〔反応:11〕でここから余力2、最も低い能力〔技術:7〕から余力0だ。
このキャラクターの余力は、1(基礎点)+1(天命)+2(武勇か反応)+0(技術)= 4、になる。
AP1点を使ったら〔技術:7+1〕で8扱いになるので〔技術〕の余力元値は1になり、余力合計は5点になる。
耐久度、致死点
耐久度はキャラクターの怪我の度合いを示すパラメータで、耐久度最大値と致死点から構成される。基本的にキャラクターのゲーム開始時の耐久度は最大値に等しく、ダメージを受ける度に減少する。耐久度が0以下になると死亡判定によって死亡の可能性があり、耐久度が致死点に達すると完全死する。耐久度は最大値を超えて回復しないが、下限はない。
キャラクター作成時の耐久度最大値と致死点は次の通りだ。能力ポイント1点(最大3点)につき耐久度に+1できる。耐久度を減らして能力ポイントを得ることはできない。
| 耐久度最大値 | 〔天命〕+耐久度元値+AP(最大3) |
|---|---|
| 致死点 | -1×〔天命〕 |
耐久度元値は〔武勇〕の値から下表に従って求める。
| 〔武勇〕 | 5 | 6 | 7 | 8〜10 | 11〜14 | 15〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 耐久度元値 | -2 | -1 | 0 | +1 | +2 | +3 |
〔武勇:11〕、〔天命:10〕の戦士が能力ポイント1点を耐久度に使用した場合、耐久度は〔天命:10〕に〔武勇:11〕の耐久度元値2とAP1を加えて13になる。
致死点は〔天命〕をマイナスにした値なので-10だ。
頑健値
頑健値はキャラクターの死ににくさを表す判定値で主に死亡判定に使用する。
頑健値は〔天命〕から下表に従って求める。能力ポイント(≧0)を使用してこの計算時だけ能力値を高くしても良い。
| 〔天命+AP〕 | 5 | 6 | 7〜8 | 9〜10 | 11〜12 | 13〜14 | 15〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 頑健値元値 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
〔天命:10〕のキャラクターの頑健値は11だ。AP1点を使用したら〔天命〕が11扱いになるので頑健値は12になる。
脚力
脚力はキャラクターの移動力を強化する。移動の詳細は「戦闘中の位置管理」を参照すること。
脚力は〔反応〕から下表に従って求める。能力ポイント(≧0)を使用してこの計算時だけ能力値を高くしても良い。
| 〔反応+AP〕 | 5〜6 | 7〜9 | 10〜13 | 14〜 |
|---|---|---|---|---|
| 脚力 | 0 | 1 | 2 | 3 |
〔反応:9〕のキャラクターの脚力は1点だ。AP1点を使用したなら〔反応〕が10扱いになるので脚力は2点になる。
魔那
魔那は魔力の元になるエネルギーで魔力導出回数の上限だ。〔魔術〕を持たないキャラクターは魔那も持たない。初期状態の魔那は最大値に等しく、魔力導出を行う毎に減少する。魔那の最低値は0でマイナスの値にはならない。魔那は最大値を超えて回復しない。
魔那は〔魔術〕の値から下表に従って求める。能力ポイント(≧0)を使用してこの計算時だけ能力値を高くしても良い。
| 〔魔術+AP〕 | 〜7 | 8 | 9 | 10〜11 | 12〜14 | 15〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 魔那 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
〔魔術:11〕のキャラクターの魔那は3点だ。AP1点を使用したら〔魔術:12(11+1)〕扱いになるので魔那は4点になる。
余った能力ポイント
最大3点までの能力ポイントを能力ポイント1点につき経験値5点と交換できる。この経験値はキャラクターの初期成長時に使用することができる。経験値5点を能力ポイント1点に変換することはできない。
クラスで決定する事項
基本クラスでは次の事項を決定する。
- 技能の計算
- 得意技能の選択
- パラメータ成長上限の選択
- 特技枠の選択
- 使用可能武器の選択
専門クラスでは次の事項を決定する。
- 作成時ボーナスの選択
その他、基本・専門クラスでは取得可能な呪文、特技が決まっているが、これらの取得に関しては「初期成長」、「キャラクターの成長」を参照すること。
技能の計算
キャラクターの能力が決まったら技能を決定する。技能初期値のパターン選択があるならどれか一つを選択する。
技能はゲーム中の行動の判定基準として使用する。技能のパラメータには基準値、強度、決定的成功率がある。技能の詳細については「技能一覧」を参照すること。
基準値
技能の基準値は主能力の能力値に副能力の修正値と基本クラス毎の技能初期値を加えた値だ。各技能の主能力、副能力と修正値は下表の通りだ。主能力が「A/B」の場合AとBの平均値だが、/(スラッシュ)の左側が奇数の場合は端数切り上げ、右側が奇数の場合は端数切り捨てにする。
〔武勇:12(+1)〕〔反応:11(+1)〕〔判断:9(+0)〕〔技術:6(-1)〕〔天命:11(+1)〕の戦士の場合、技能基準値は次の様になる。(カッコ)内の値は副能力の場合の修正値だ。
《主近接》は主能力が〔武勇:12〕、副能力なし、クラス修正3なので15だ。
《投射》は主能力が〔技術:6〕と〔反応:11〕の平均で8.5だが、/(スラッシュ)の右側(反応)が奇数なので端数を切り捨てて〔技術/反応:8〕、副能力が〔武勇:11(+1)〕、クラス修正が1なので10だ。
《隠密》は主能力が〔判断:9〕と〔反応:11(+1)〕、クラス修正が1なので11だ。
《事情通》は主能力が〔技術:6〕、副能力が〔天命:11(+1)〕、クラス修正0なので7だ。
強度
キャラクター作成時の技能強度は全て0で、初期成長を含むキャラクターの成長によって増やせる。
技能強度は行為判定の達成レベルの高さに影響する。
効果強度
武器のダメージや呪文の量的効果、作業の進捗など結果を数値的に処理する場合にその効果に加える値だ。判定が受動側の場合はダメージや量的効果を軽減する。
効果強度は《技能》の強度の端数を切り捨てた値だ。
効果強度は《技能》の強度の成長に伴って自動的に成長する。
効果強度は全ての技能に存在するが戦闘で頻繁に使用する《主・副近接》や《呪文投射》、《対応呪文》は予め武器や呪文のダメージに加算しておく。《防御》や《生体防御》、《精神防御》は予め計算してキャラクターシートに記入しておく。
《仕掛》の強度が1なら効果強度は1で、《仕掛》を使用した作業の進捗に+1する。
《防御》の強度が1.5なら効果強度は1で、《防御》で防御時にダメージを-1する。
《主近接》の強度が0.5なら効果強度は0で、《主近接》を使用した攻撃のダメージは増減しない。
決定的成功率
決定的成功率は判定時にD12が12のとき、D10がいくつ以下だったら決定的成功になるかを示す。決定的成功率は、技能の基準値と下の表から決定する。
| 基準値 | 1〜6 | 7〜10 | 11〜14 | 15〜17 | 18〜20 | 21〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 決定的成功率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
《主近接》の基準値が16なら決定的成功率は4だ。
《隠密》の基準値が10なら決定的成功率は2だ。
得意技能の選択
基本クラスの[得意技能]の選択に従って得意技能を決める。
得意技能は技能成長時に必要とされる技能経験値が少なくて済むため技能を成長させやすくなる。技能経験値については「経験値と成長」を参照すること。
パラメータ成長上限の選択
基本クラスの[パラメータ]の選択に従ってパラメータの成長上限のパターンを選択する。これに関しては必ずしもキャラクター作成時に決定する必要はない。パラメータ成長をすることになった時まで選択を遅らせても問題ない。
特技枠の選択
基本クラスによっては[特技枠]の選択がある。選択がある場合はどれかを選択する。
特技枠が多いほど多くの特技を取得できるが、特技枠の選択がある場合は特技枠が少なくなる代わりに呪文を取得できる様になるなどの付随する特徴がある。
使用可能武器の選択
基本クラスの使用可能武器に選択がある場合、[使用可能武器]の指定に従って選択する。それによってそのカテゴリ(刀剣、槍・長柄、斧・鈍器、格闘、投擲、弓、弩)が主近接、主遠隔であるか、近接武器なら連続攻撃回数の上限が決まる。
主武器(主近接、主遠隔)は命中しやすい、装填速度が早い、一部の特技は副武器では使用できない、などの違いがある。
作成時ボーナスの選択
専門クラスの[作成時ボーナス]に選択がある場合、指定に従って選択する。それによって技能や特技では得られない能力が追加されたり、一部のパラメータが増強されたりする。
初期成長
キャラクターは冒険者になる前に少し経験を積んでおり、幾らか経験値を持っている。それを使って初期成長を行う。経験値はセッション中にヒーローポイントとして使用できるのでいざという場合に備え少し残しておいたほうが良いかもしれない。
初期経験値
キャラクターの初期経験値は次の式に従って算出する。
| 初期経験値 | 技術経験値 + 得意能力経験値 +(年齢 - 10) |
|---|
〔技術:7〕、最も高い能力が〔武勇:12〕のキャラクターの場合、技術経験値が3、得意分野経験値は5だ。年齢が19歳だったとすると、初期経験値は3+5+(19−10)=17になる。
得意能力経験値、苦手能力経験値
得意能力経験値はキャラクターの最も高い能力から、苦手能力経験値は〔技術〕、〔判断〕、〔天命〕のうち最も低い物から下表に従って求める。
| 能力値 | 1〜3 | 4〜5 | 6〜7 | 8〜9 | 10〜12 | 13〜14 | 15〜16 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 経験値 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
キャラクターの年齢
キャラクターの年齢の上限は14+D6だ。D6の目が1ならば更にD6を振りその目を加える。これは1が出続ける限り繰り返す。キャラクターの年齢は16歳以上、ダイスで出た値以下でプレイヤーが決定する。
キャラクターの年齢がダイス目より大きくなるぶんには自由にして良い。ただし、その場合でも初期経験値はダイスで出た値しか得られない。
キャラクターの成長
キャラクターは初期経験値を使用して特技や呪文の取得、技能の成長などができる。「キャラクターの成長」を参照し、キャラクターの初期成長を行う。通常の成長では技能基準値は1回の成長機会に1段階しか成長できないが初期成長ではその制約はない。
装備、プロフィール、等
ゲーム開始時点での所持品、名前や外見、冒険者となった背景などを決定する。
初期装備
キャラクターは初期装備として次のアイテムを持っている。上質の武器や永続的な魔法の物品や発道具を初期装備として取得することは認められない。初期装備として手に入れた物品は売り払っても金銭にならない。食料や油などの消耗品は初期装備にはならない。
その他マスターと相談の上、適当な装備追加しても良い。例えば、盗賊ならシーブズツールなどの所有は認めるべきだろう。
武器と盾、呪文書
次の武器や盾を持っている。
- 主近接武器(小型〜大型近接)1つ、または、焦点具1つ
- 予備の武器(小〜中型近接、遠隔武器)1つ、または、死んだ魔晶石2個
- 小型の近接武器1〜2個
- 盾
- 弓、弩を持っている場合、矢筒と矢20本
- 投石機を持っている場合、石袋と石5個
- 呪文を取得できる場合、呪文書と呪文書ケースを持っている。
衣類、旅装
普段着ている履物、服、マントを持っている。
財布、背負い袋、ベルトポーチ、携帯用鍋・食器、水筒×2、毛布、火口箱、ペンとインクを持っている。
所持金
5GPに加え、〔技術〕、〔判断〕、〔天命〕から下表の追加分のGPを持っている。
| 能力値 | 5 | 6 | 7〜9 | 10〜11 | 12〜14 | 15〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 追加金額 | -2 | -1 | +0 | +1 | +2 | +3 |
〔技術:7〕、〔判断:10〕、〔天命:10〕なら所持金は5+0+1+1で7GPだ。
プロフィール
プロフィールはキャラクターを実在の人間のように見せるために設定する。自由に決めて良いがプロフィールは数値的な処理には何ら影響を与えない。
名前、性別、出身地
これらの項目は自由に決定して良い。世界設定を特別に定義しない限り現実世界における旧世界の一部(アジア、ヨーロッパ、北部アフリカ)の雰囲気の名前にすれば良いだろう。
キャラクターの年齢は初期経験値に影響するため初期経験値のルールに従う。
体型、外見等
キャラクターの体型や外見は常識的な範囲でプレイヤーの好きに決めて良い。
下の表に従ってランダムに決めても構わない。
| 項目 | ダイス | |
|---|---|---|
| 身長 |
男性:140+6D10(cm) 女性:130+5D10(cm) |
146〜200cm、平均173cm 135〜180cm、平均157〜158cm |
| 体重 | 身長-110(Kg) | (男性)63Kg、(女性)47〜48Kg |
| 肌の色 | D6で1〜2(白)、3〜4(淡褐色、黄)、5(褐色)、6(暗褐色) | |
| 髪の色 | D6で1(金髪)、2(薄い茶色)、3〜4(濃い茶色)、5〜6(黒) | |
| 目の色 | D6で1(青)、2(灰色)、3(緑)、4(琥珀色)、5(淡褐色)、6(農褐色) | |
※肌の色が白以外の場合、基本的に髪の色は黒、目の色は農褐色になる。
背景、信条、等
PCの過去や冒険者になった背景、個人的な目的、信条などはある程度決めておくとキャラクターを具体的にイメージしやすくなり、ロールプレイの指針にもなる。マスターにとってもPCの背景や目的、信条を利用する事でPCを誘導しやすくなる等のメリットがある。これらは「データブック」の「ライフパス」を使用しても良いし、プレイヤーが自分で決めても良いが、セッション運営に支障をきたすものであってはならない。また、他PCやNPCに影響する設定は相手のプレイヤーやマスターの同意が無い限り許可されない。
特徴的能力
特徴的能力はキャラクターの得意な能力のイメージを具体化するためのものだ。例えば、〔武勇〕の高いキャラクター同士でも力が強いのか、戦術の用い方がうまいのか、素早いのかで随分イメージが異なる。そのような数値に現れない部分を表現するために使用する。「データブック」を参照し、特徴的能力を3個まで選択する。
キャラクター作成例
参考として具体的なキャラクター作成の例を示す。
| PL | それじゃ、早速キャラクターをつくるか。どうすればいいんだ? |
| GM | ある程度方向性は固めておいたほうがいいかな。例えば、前線で敵を駆逐するとか、味方をしっかり守る盾役とか、回復役とかいう感じで。 |
| PL | そうだな。戦えて魔法も使えるようなキャラクターがいいな。いわゆるパラディンみたいなやつ。 |
| GM | OK。そういう方向で考えてゆこう。 |
| GM | 最初にクラスを選ぶところからだな。「クラスデータ」をみて基本クラスと専門クラスを1つずつ選んでくれ。この組み合わせでキャラクターの取得できる技能とか特技、呪文が決まる。 |
| PL | 基本クラスには魔法戦士っていうのがあるな。 |
| GM | 魔法戦士が第一候補というかパラディン的な感じだとそれしかないだろうな。専門クラスは法術士か退魔士かな。いわゆるクレリック的な呪文を使えるのがこれだから。法術士は術者だから魔法戦士との組み合わせだとD&Dのクレリック的になる。退魔士は魔法戦士的だからこっちがいわゆるパラディン的かな。 |
| PL | 基本クラスに武人とか武芸者を選んで、専門クラスで法術士というのはダメなのか? |
| GM | 残念ながら術者系の専門クラスは基本クラスが「呪文取得可」なのが条件だからキャラクター作成時にはできない。一応、初期成長まで考えるなら特技の〈術者訓練〉で呪文取得可能にして〈追加クラス〉でマルチクラスというのもあり得るけど。 |
| PL | けど? |
| GM | まぁ、利点はあんまりないんじゃないかな。 |
| PL | わかった。基本クラスは魔法戦士、専門クラスは退魔士にするよ。 |
| GM | 次は能力値だな。まず、“能力基本値”を決める。〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕、〔技術〕、〔天命〕のうち1つが9、残りが8だ。 |
| PL | どれを9にするのが良いんだ? |
| GM | 魔法戦士だったら〔武勇〕か〔反応〕かな。〔武勇〕は攻撃の当たりやすさに、〔反応〕は敵の攻撃の避けやすさに直結するから。 |
| PL | なら、〔武勇〕を9にしておこう。 |
| GM | そうしたら、能力ポイントが25点あるからこれで能力値を増やすことができる。ちなみに、能力値を減らすと能力ポイントがもらえるけど能力値を6以下にはしないほうが良い。能力ポイント何点で能力値がどれだけもらえるかはルールブックを参照してくれ。 |
| PL | 何で6以下にしないほうが良いんだ? |
| GM |
能力値が6以下になると技能を計算するときにマイナスの修正が発生するんだ。それに、余力とか耐久度、初期経験値を計算するときにも不利になる。その上、能力値を1減らして得られる能力ポイントは1に過ぎない。能力値を上げる方は+1するために能力ポイント2、+2だったら5、という風になっているから能力値を下げて得られるメリットよりもデメリットが圧倒的に大きい。 それと、能力値ベースで計算するパラメータにはもっとも大きい能力値と最も小さい能力値から求めるものが複数ある。これがどういうことかわかるか? |
| PL | 捨て能力として極端に低いものを作ると全体的にそれに足を引っ張られるっていうことか。 |
| GM |
そう。能力値が固定されていないから回避できないんだ。 あと、君のキャラクターは魔法戦士だから〔魔術〕を取得する必要がある。〔魔術〕も能力値の1つだけど他の能力とは違って初期値からの成長じゃないから気をつけて。 |
| PL |
とりあえずこんな感じでどうだ?
〔武勇:11(+1)〕AP:5 |
| GM |
能力ポイントを使い切ったんだな。 能力値は基本的に技能の初期値になるのが一番影響が大きいんだけど、技能っていうのは成長できる。対して、才能はキャラクター作成時にしか取れないから能力値は妥協して才能を取るっていう手もあるよ。 |
| PL | 例えば? |
| GM | そうだな。〔武勇〕か〔技術〕を1下げる。でも、〔武勇〕は君のキャラクターの場合ちょっと影響が大きいかもしれないな。 |
| PL |
じゃあ、こんな感じか。
〔武勇:11(+1)〕AP:5 とりあえずこれで進めてみるよ。 |
| GM | じゃ、パラメータを計算しようか。ルールブックをみながらやってくれ。とりあえずは能力ポイントを使わずにやってみて後で調整した方がいいな。 |
| PL |
計算した。 まず余力は、〔天命〕から+1、一番大きい能力が〔武勇〕で+2、一番小さいのが〔技術〕で+0、基礎点が1だから合計4。 耐久度は〔天命〕が10で耐久度修正が〔武勇〕から+2で12。 致死点は〔天命〕がマイナスになって-10。 頑健値は〔天命〕が10で頑健修正が〔武勇〕から+2で12。 魔那は〔魔術〕が10だから2。 脚力は〔反応〕が10だから2と〔技術〕の修正値が0だから2だな。 |
| GM |
OKだ。一応ここで能力ポイントを使うかどうかを考えてみるか。 まず、耐久度を+1できるな。 それから〔技術:8〕にすると余力が1増える。 魔那を+1できて3になる。 脚力も+1して3にできる。 |
| PL |
それだと〔技術:8〕にするのが良さそうだよな。 でも余力:4ていうのは不足なのか? |
| GM | ちょうど専業戦士と専業術者の間くらいだな。 |
| PL | 余力はダメージ軽減できる回数になるんだよな。1回でも多いほうが良いのは間違い無いけど。このキャラクターは専門クラスが退魔士だから回復呪文が使えるんだよな? |
| GM | 使えるね。 |
| PL | ということは余力をある程度それで代替できるよな? |
| GM | そうだな。あと【防護】っていう呪文もあってこれはほぼ余力によるダメージ軽減と同じ働きがあるね。 |
| PL | なら、むしろ魔那を増やしたほうが良いかな? |
| GM | それもアリかもしれない。けど、才能を見てからにして良いんじゃないか。 |
| PL |
それもそうだな。才能を見て欲しいものがなかったら〔技術:8〕にするよ。
余力:4 |
| GM | じゃあ、才能だ。これはデータブックを見て選んでくれ。 |
| PL |
才能で取るとしたら〔俊足〕、〔力強き魔那〕、〔反応力〕、〔身かわし〕、〔膂力〕あたりが有力かな。〔限界突破〕はこれを取るくらいなら〔技術:8〕にしたほうが良いな。 しかし、どれが良いのか判断が難しいな……。 |
| GM |
ちょっとフォローしようか。 俊足:特に敵から逃げる時には効果が大きい。逃げる時は近づかれないのが重要だからね。 力強き魔那:魔力が足りなくて1サイクル待たされる可能性が減るから呪文能力を重視するなら一番だ。 反応力:行動順を±1できる。誰にとっても早く行動できるのは得だし、回復役の場合は行動順が遅い方が良いこともあるからさらに有用性は高いかな。 身かわし:不運なヒットで倒れる可能性が減るから前線で長く戦うことができる。 膂力:ダメージ追加は常に前線で戦うキャラクターには全く無駄がなく効果が大きい。 |
| PL | この中だと〔力強き魔那〕か〔身かわし〕かなぁ。このキャラクターだと戦闘では前に立つことが多いだろうから〔身かわし〕の方が良いか。〔身かわし〕と〔技術:8〕にして余力を1増やすのとどっちが良いんだろう? |
| GM | これは機能が違うからなぁ。無難なのは余力だと思うけど、緊急時に役立つのは〔身かわし〕じゃないか。 |
| PL |
うーん。〔身かわし〕の説明にあるような8点ダメージを受けたときに余力で2D6振って3しか軽減できないっていうのはあり得そうなんだよなぁ。このとき後出しでD6軽減できるのは余力を1増やすよりちょっと有利な気がする。 〔身かわし〕を取る事にするよ。 |
| GM |
基本クラスで決めるのは技能の計算と得意技能の選択、パラメータ成長パターンだ。クラスによっては特技枠の選択があるけど魔法戦士にはないから関係ない。 技能の計算からやろう。魔法戦士は選択パラメータがあるからまずそれを決めよう。 |
| PL |
パターン(A)は戦闘能力重視、(B)は呪文能力重視か。(A)で《主近接:+2》、《投射:+0》、《防御:+3》、呪文能力は《呪文投射:+1》、《対応呪文:+2》だな。あとは計算して次のとおりだ。 《投射》は〔技術:7〕と〔反応:10〕の平均値だけど、〔技術〕が奇数だから端数切り上げで〔技術/反応:9〕と〔武勇:11(+1)〕で《投射:10》になるんだな。《逃走》は〔判断/反応〕だけど両方10だから端数なしで〔判断/反応:10〕、〔天命:10(+1)〕だから《逃走:12》か。 《主近接:13(+2):0》
《副近接:11(+0):0》
《投射:10(+0):0》
《防御:13(+3):0》
《生体防御:12(+1):0》
《精神防御:12(+1):0》
《逃走:12(+1):0》
《運動:11(+1):0》
《隠密:11(+0):0》
《仕掛:7(+0):0》
《事情通:9(+1):0》
《洞察:11(+1):0》
《トリック:8 (+0):0》
《野外活動:10(+0):0》
《話術:8 (+0):0》
《呪文投射:11(+1):0》
《対応呪文:13(+2):0》
《儀式魔法:10(+0):0》
※ (カッコ)内の数字はクラスの初期技能修正である。 |
| GM | 戦闘能力は十分だな。呪文は戦士よりならこんなものか。 |
| PL | 探索関連が弱いけど魔法戦士だから仕方ないな。その辺は仲間を頼りにするしかない。 |
| GM | それから「得意技能」を選んでくれ。これは今すぐは関係ないけど、キャラクターの成長に関係する。簡単に言うと得意技能はそうじゃない技能よりも強度を成長させやすくなる。 |
| PL | 成長しやすいって言うのは成長に必要な経験値が少なくて済むのか? |
| GM | 成長の際に技能チェックの数が少なくて済むんだ。技能チェックっていうのは判定時にD12=12だったらつけることができるものだからこれがたくさん必要だと経験値が足りていても成長できないっていうことになる。 |
| PL | 魔法戦士は《主近接》《防御》《呪文投射》《対応呪文》から2つか。そうだな、《防御》と《対応呪文》にするよ。 |
| GM | ほう。何でそうしたのか聞いてもいいか。 |
| PL | 前線に立つなら《防御》は鉄板だよな。で、このキャラクターは術者よりも戦士よりだから《主近接》は判定回数が多いと思うんだよ。そうすると、技能チェックはつきやすいだろう。回復呪文が《対応呪文》だから《呪文投射》よりも《対応呪文》の方がよく使うだろうけど、キャラクターの役割的に回復能力が重要だろうからもう一つは《対応呪文》にした。 |
| GM | なるほどね。 |
| PL | パラメータ成長パターンはどうしようか…。どれが良いのかわからん。 |
| GM | これは今決めなくても良いよ。どれにするか決めなきゃいけなくなるまで後回しにして構わない。 |
| PL | あとは武器の選択だな。主近接1と2を選んだら残りが副近接なのか。主近接の武器は《主近接》、副近接の武器は《副近接》で判定するから主近接の方が命中しやすいんだな。 |
| GM | そうだ。それから特技によっては主近接武器を使っている時しか使えないものもある。クラスによっては主近接1だけということもあるし、専門クラスの[作成時ボーナス]で強化しやすいのも主近接1だな。 |
| PL | 主近接1は斧・鈍器、主近接2は刀剣にするよ。 |
| GM | 基本クラスで決めるのはそれだけ。専門クラスで決めるのは[作成時ボーナス]だ。どれかを選んでくれ。 |
| PL |
これにする。防御力は大事だしな。
|
| GM | 技能も決まったから初期成長をやろう。その前に年齢を決めるからD6を振ってくれ。1が出たら振り足しだから。 |
| PL | 1、1と6で8だ。 |
| GM | ということは22歳だな。じゃあ、初期経験値を計算して。 |
| PL | えっと、〔技術:7〕は3、得意能力は〔武勇:11〕で5、あと年齢で12だから20点か。 |
| GM | それでキャラクターを成長させることができる。技能のパラメータも伸ばせるけど〈特技〉と【呪文】の取得が安定かな。呪文は魔法戦士の呪文リストと退魔士の呪文リストから取得できるけど、キャラクターの取れる低レベルの呪文を全部覚えてからじゃないと上位レベルの呪文は覚えられない。君の場合だと魔法戦士の呪文リストから1レベルの2個覚えないと2レベル呪文は覚えられない。特技は魔法戦士、退魔士のリストと共通特技から選べる。こっちは個別の前提条件さえ満たせば良い。 |
| PL | 魔法戦士の呪文で0レベル呪文が2つ取得済みになっているけど、これは?。 |
| GM | あぁ、そうだった。呪文は呪文レベルに等しい経験値で覚えるんだけど0レベルだから経験値(0)、つまり取得済みなんだよ。だから2つ選んでくれ。 |
| PL | なんか生活には役立つけどっていう呪文ばっかりだな。【腹話術】と【魔法のコンロ】にしておくか。1レベルの呪文は結構役立ちそうなのがあるな。【光】、【魔術士の盾】、【魔弾】、【霊視】あたりか? 【魔術付与武器】は2レベルの【神聖武器】と被っているからいらないな。【浄水】が微妙に役立ちそうな気もする。 |
| GM | 特技のリストも見た方が良いぞ。【魔術師の盾】は〈呪力打撃軽減〉と効果が重複気味だろう。別々に使えるから防御力をあげるには良いかもだけど、両方魔力を消費するから魔力不足で持て余す可能性も高いんじゃないか? |
| PL |
なるほど。そう考えると【魔弾】も微妙に思えるな。俺の場合、前線にいることが多いからダメージがD6しかない遠隔攻撃はあんまり使わないかもしれない。なんか【恐怖除去】が使えそうな気がしてきた。【恐怖除去】、【霊視】にするよ。2レベル呪文はまず【治癒】だな。呪文の続きは特技を見てからにしよう。 特技は〈呪文攻撃連携〉を取るか。中型武器だったら攻撃回数2だから呪文も攻撃もできるっていうことだよな。 |
| GM | いや、攻撃回数2じゃなくて攻撃回数上限2だぞ。攻撃は必ず2回できるわけじゃないからな。 |
| PL | そうなのか。まぁ、いいや。経験値は1レベル呪文2つで2、2レベル呪文1つで2、〈呪文攻撃連携〉が8だから合計12、残り8か。2レベル呪文1つと特技もう一つか、《防御》の強度を0.5にするか…。 |
| GM | 後で計算するけど効果強度は端数切り捨てだから《防御》の効果強度、つまりダメージ軽減は0だぞ。その上受動行動は同値勝ちだから今段階では効果は薄いと思うよ。 |
| PL | 〈呪力打撃減衰〉は魔力(2)でD4の軽減か、微妙だな…。 |
| GM | 〈魔力搾出〉を持っていたとして余力(1)を魔力に換算すると3.5だから余力での軽減よりちょっと得だ。それよりも重要なのは余力とか【防護】の軽減とは別に使えるから効果を足し合わせられることだな。それにタイミングが別で良いから【防護】で足りなかったら〈呪力打撃減衰〉を使って最後に余力というふうに結果を見ながら調整が効くのもデカい。 |
| PL | うーん、〔身かわし〕もあるから将来への投資と思って《防御》の強度にするよ。もう一回成長して常時1ダメージ軽減になるのは大きいし。呪文は【防護】にしよう。これで残り経験値は1だからこれで終わりだ。 |
| GM |
さっき、ちらっと言ったけど効果強度について説明しておこう。 効果強度っていうのはダメージとかダメージ軽減とかの修正値で《技能》の強度の端数切り捨てだ。よく使うのは武器のダメージ修正になる《主・副近接》と《投射》、武器攻撃のダメージ軽減になる《防御》、呪文のダメージとかを軽減する《生体防御》と《精神防御》、呪文のダメージとか回復量の修正値になる《呪文投射》と《対応呪文》だな。 武器とか呪文のダメージ修正になるものはそれぞれ判定に使う技能の効果強度をダメージとかに足してキャラクターシートに書いてくれ。君の場合だと、ウォーハンマーは《主近接》、ダガーは《副近接》の効果強度をダメージに足しておくんだ。呪文もそれぞれ判定に使う技能が決まってるからそれの効果強度をダメージとか回復量に足しておく。《防御》、《生体防御》、《精神防御》はキャラクターシートのダメージ軽減(効果強度)のところに書いてくれ。 |
| PL |
と言っても《防御》の0.5だけだから全部0だな。 今言われたのは全部戦闘に関係するものばかりだけど、他の技能は効果強度っていうのを使わないのか? |
| GM | いや、使うよ。作業判定というルールがあって、例えば鍵開けとかを何回かの判定で解決するルールなんだけど、それの進み具合を求める時とかにも使う。今言った鍵開けなら《仕掛》から求める。効果強度は《技能》の強度の端数切り捨てに過ぎないからすぐわかるんだけど、戦闘に関わるものはよく使うから計算して置いて少し手間を減らそうというだけだね。 |
| GM | じゃあ、次は装備だな。 |
| PL | 主近接1が斧・鈍器だから武器の類は魔晶石、ウォーハンマー(戦鎚)、小剣、ダガー(短剣)、小盾で良いか。あとは普通にもらえるものと、焦点具に聖印を持っていても良いか? |
| GM | 武器と盾を持ってるから焦点具を聖印にすると戦闘中に使えなくなるぞ。焦点具は手に持たないとダメだからな。武器と焦点具を一緒にしておいた方が良いな。 |
| PL |
OK。じゃあ装備は次の通りだ。
ウォーハンマー(焦点具でもある)、小剣、ダガー、小盾、死んだ魔晶石×2 |
| GM | 最後に名前とかプロフィールを決めたらキャラクター完成だ。まずは名前と外見的な部分をどうぞ。 |
| PL |
名前は「ケネス・ロイド・ウェバー」、男、22歳(初期経験値の時に決まった)。 出身地はヨーロッパ風の地域のどこか。 身長はダイスで決めて174cm、体重はちょっと筋肉質ということで67Kg。 肌の色は出身地から白、髪の色はダイスで決めて黒、目の色もダイスで灰色だ。 |
| GM | 次に「特徴的能力」を決める。マイナス修正の能力はないから〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕、〔天命〕、〔魔術〕に関係しそうなのから3個決めて。これは単なるフレーバーだから気楽に選んで大丈夫。 |
| PL | 勇敢、運動能力、集中力にしよう。 |
| GM | 最後はキャラクターの背景とか信条だ。好きに決めても良いし表を振っても良い。 |
| PL |
ダイスで決めてみるか。 「生まれ・育ち」は6と4だから“医者”か。結構ボンボンだな。 「過去の出来事」は3〜5振るか。とりあえず3つ決めよう。
5-3:なんらかの秘密組織に所属している(いた) 最後は目的か。過去の出来事で目的は十分な気がするけど振ってみると。 「かの怪物どもがこの世に存在することが我慢できない。世界を巡ってやつらを絶滅する」 これなら全部を関連させることができるな。「教団配下の秘密組織の一つに所属していた。それが悪疫の怪物かその辺のモンスターに襲われて先生(師匠)が殺されたから連中を目の敵に殺りまくっている」とかいう感じだな。生まれ・育ちの医者っていうのは先生(師匠)が医者だったっていうことで良いか。 |
| GM | いかにもな背景で結構、結構。それじゃ、キャラクターシートに決めたことを書き写して完了だ。 |
行為判定
クリーチャーが何かしようとしたとき、例えば敵を攻撃したり、呪文を使ったり、罠を外したりしたらそれが成功するかどうかを決める必要がある。この様な行動の成否を決定するルールが行為判定だ。戦闘や罠を外すと行った複雑な行動は単純な行為判定だけで解決されるものではないが、ここではそのベースとなる基本行為判定と対抗判定について説明する。行為判定はシステムのベースとなる重要なルールなのでマスター、プレイヤー共に理解しておくこと。
基本行為判定
基本行為判定は最も基本的な判定ルールだ。対抗判定や作業判定といったより複雑な行為判定ルールも、ダイスの扱いや基準値チェック、達成値の求め方などは基本行為判定のルールに従うのでよく理解しておくこと。
基本行為判定解決手順
行為判定は次の手順で解決する。
行動宣言
プレイヤーは何を目的に何(技能や能力値)で行動するのかを宣言する。マスターは宣言が妥当で無いなら拒否する。拒否されたらプレイヤーは宣言を改めるか、行動をキャンセルしなければならない。
目標値の決定
マスターは行動の難しさを判断して目標値を決定する。目標値が大きいほど難しい行為で、一般的な難しさの行動(大半の行動)の目標値は2だ。判定の際の目標値はプレイヤーに教えても教えなくても構わない。目標値決定時の目安として「成功率」の欄におよその成功率低下割合を記載してある。
| 目標値 | 成功率 | 程度 |
|---|---|---|
| 2 | 0 | 普通の難しさの行動。大半の行動の目標値はこのレベル。 |
| 3〜6 | -1〜-9% |
専門家から見てややリスクがあると感じる難度。 少し難しい状況と設定した場合の目標値はこのレベル。 |
| 7〜8 | -10〜-18% |
専門家でも再挑戦できないなら実行を躊躇する難度。 セッション中で難しいと考える行動の目標値のレベル。 |
| 9〜11 | -19〜-39% |
専門家でも何度かの挑戦が必要な難易度。 GMは迂回ルートか目標値を下げる手段を用意すべき。 |
| 12〜20 | -40〜90% |
専門家が何度も挑戦したあげく失敗したとしても仕方が無い難度。 迂回ルートがあるか目標値を下げるために調査などが必要というGMの意思表示と見なすべき。 |
| 21 | -95% | まず不可能。 |
判定
マスターに行動が認められたらプレイヤーはD12+D10を振る。D12が1〜10の時はD10の目とダイス目を合計して基準値チェックを行い、基準値チェックに成功なら達成値を計算する。D12の目が11か12だった場合はダイス目を合計せず、決定的成功、自動的成功、自動的失敗のいずれになるかを判断する。
基準値チェック
《技能》の基準値や〔能力値〕とダイス目を比較する。D12の目が11か12の時は基準値によらず決定的成功、自動的成功、自動的失敗、決定的失敗なので基準値のチェックは不要だ。
| 判定基準 | 説明 |
|---|---|
| D12+D10≦基準値 |
行動には成功した(失敗してはいない)。 達成値を求める。 |
| D12+D10>基準値 | 行為に失敗した。 |
達成値
達成値はダイス目と《技能》の強度、その他修正があればそれらを合計した値だ。達成値は目標値との比較に使う。
基準値のチェックで失敗、D12の目が11か12の場合は達成値によらず成否が決まるのでこの手順は必要ない。
| 達成値 | ダイス目 + 強度+(その他修正) |
|---|
決定的成功、自動的成功、自動的失敗、決定的失敗
判定時のD12の目が11か12の時は決定的成功、自動的成功、自動的失敗、決定的失敗になる。決定的成功は技能の様に決定的成功率が設定される場合のみ発生し、能力値判定の様に決定的成功率がないなら発生しない。決定的成功が発生しないなら決定的失敗も発生しない。ダイス目の扱いは次の通りである。
| D12 | D10 | 結果 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 11 | 何でも | 自動的成功 | 基準値や目標値によらず成功。 |
| 12 | D10≦CR | 決定的成功 | 基準値や目標値によらず成功で優れた結果となる。 |
| 12 | D10>CR | 自動的失敗 | 基準値や目標値によらず失敗。 |
| 12 | 10 | 決定的失敗 | 基準値や目標値によらず失敗でペナルティがある。 |
※ 上表の「CR」は「決定的成功率」のこと。
| D12 | D10 | 結果 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 11 | 何でも | 自動的成功 | 基準値や目標値によらず成功。 |
| 12 | 何でも | 自動的失敗 | 通常の失敗と変わらないがダイス目によらず失敗。 |
結果決定
マスターは宣言と判定結果に基づいて結果がどうなったかを決定しその結果を適用する。
基本行為判定の結果判断は判定の成否、達成値と目標値の結果をまとめると表の様になる。
| 判定結果 | 比較 | 説明 |
|---|---|---|
| 決定的成功 | 決定的成功 |
その場で最良の結果を与える。 効果値は最大の値とし、さらに判定時のD10を加える。 |
| 成功 | 自動的成功 |
プレイヤーの宣言をもとに成功に相応しい効果を得る。 効果値は「ダイス+《技能》効果強度」である。 |
|
D12+D10≦基準値 達成値≧目標値 |
||
| 半成功 |
D12+D10≦基準値 達成値<目標値 |
成功には不十分。行為によっては部分的な効果か余力(1)程度の消費で再判定を認める。シビアな行動なら失敗と同じ。効果値は成功時の1/2(端数切り捨て)になる。 |
| 失敗 | D12+D10>基準値 |
行動に失敗。失敗時の結果を適用する。 |
| 自動的失敗 | ||
| 決定的失敗 | 決定的失敗 |
行動に失敗。失敗時の結果に加えてペナルティがある。 標準は当人も味方も余力、特技、呪文などで結果を改善できない。経験値は使用できる。 |
ゴブリンに追いかけられたケネスが板塀を乗り越えようとしている。少しジャンプすれば塀の上に手がかかるが登りやすい場所を探している暇はない。マスターは《運動》で目標値は6と宣言した。
プレイヤーがダイスを振った結果は無情にも4、ケネスは壁を乗り越えられなかった。
基準値のチェックには成功しているのでマスターは壁から落ちて転倒などのペナルティは無いがゴブリンには追いつかれてしまったとした。
原則として失敗した判定は同じ目的に対して再判定できないがマスターが再判定を許可すればできる。ただしある程度時間が経過するか状況が変化していない限り再判定を許可すべきではない。例えば、何かを思い出せるかどうかは失敗してもその時は思い出せなくても再判定できるだろうが、マスターは別のイベントを1つ以上終わらせた後とか30分後でないと再判定できないとすべきだろう。
例えば野球のバッディングがそうだ。成功はヒット、失敗は空振りだが半成功は内野ゴロとかフライだ。ボールを打ち返しているという点で失敗より成功に近いがアウトになってしまう。
原則的には失敗よりも半成功の方が良い結果になると考えて良いが、技能の使用例にもいくつか半成功の方が失敗より悪い結果になるパターンがある。これらについては注釈で理由を示している。
対抗判定
対抗判定は他のクリーチャーとの競い合いに使用する。戦闘は武器攻撃や呪文など行動の大半を対抗判定で解決するし、戦闘以外でも見張りの目を盗んでの忍び込みなど、NPCなどが相手となるような行動に対抗判定を使用する。
能動側と受動側
対抗判定には能動側と受動側がいる。能動側は攻撃したり、呪文をかけたりといった「行動を仕掛ける」側を指す。「戦闘イベント」に従って行動しているなら自分の行動順で行動しているクリーチャーが能動側だ。能動側の行動の対象に指定されたクリーチャーが受動側である。
対抗判定解決手順
対抗判定は相手と行動を競う判定で基本行為判定の様に目標値がない代わりに受動行動がある。対抗判定は次の手順に従って解決する。各手順の詳細は以降に説明する。
能動側の行動宣言と判定
能動側は行動を宣言し、マスターが宣言を認めたら判定を行い成否と達成値を求める。
基準値チェックに失敗した場合、受動側の判定無しに失敗する。成功の場合、受動側の判定を行う。
受動側の行動宣言と判定
受動側は能動側の判定結果を見てから受動行動を宣言し、マスターが宣言を認めたら判定を行い成否と達成値を求める。受動側の行動宣言は能動側が判定した後(つまり、能動側の成否と達成値が分かっている)ことに注意すること。
当然だが1回の能動行動に対して1回しか受動行動を行えない。
受動側には自動的成功、決定的成功、決定的失敗は発生しない。D12が11、12のときは全て自動的失敗として扱う。
結果決定
能動側と受動側の判定結果が決まったらそれぞれを比較して結果を決定し適用する。原則としてどの様な結果になるかはマスターが決定するが、戦闘時のダメージ処理の様に手順がルール化されているならマスターの負荷軽減のため当事者間でルール通りに処理を進めて構わない。
判定結果は下表の様になる。表の「成功(能動側)≧成功(受動側)」、「成功(能動側)<成功(受動側)」欄は能動側と受動側が共に基準値チェックに成功し、達成値を比較した結果によることを意味する。
| 判定結果 | 比較 | 説明 | ||
|---|---|---|---|---|
| 能動側 | 受動側 | |||
| 能動側成功 | 決定的成功 | 失敗 |
宣言の範囲で最大の効果を得る。 効果値は最大の値とし、さらに判定時のD10を加える。 |
|
| 自動的成功 |
能動側の宣言した結果を適用する。 効果値は「ダイス+《技能》効果強度−受動側《技能》効果強度」である。 |
|||
| 成功 | ||||
| 半成功 | 決定的成功 | 成功 |
能動側成功時の半分程度の結果が得られる。効果値は成功時の1/2(端数切り捨て)になる。 能動側決定的成功で数値的な評価ができない場合は成功に近い結果とする。 |
|
| 自動的成功 | ||||
| 成功 | > | |||
| 受動側成功 | 成功 | ≦ | 成功 | 能動側の行動は何ら効果を表さない。 |
| 能動側失敗 | 失敗 | 全て | 能動側の行動は何ら効果を表さない。 | |
| 決定的失敗 | 決定的失敗 | 全て |
能動側の行動は何ら効果を表さない。加えてペナルティがある。標準的には当人も味方も余力、特技、呪文などで結果を改善できない。経験値は使用できる。 |
|
能動側の決定的成功の評価と最終的な成功か半成功かの評価は互いに独立して扱う。なので数値的な効果に関して能動側決定的成功で半成功の場合、数値的な効果なら「ダイス最大値+《技能》効果強度+判定時のD10」を1/2にする。
ケネスは師匠と武術の訓練をしている。ケネスは《主近接:13:0:3》、師匠は《防御:16:1:4》である。
ケネスは師匠に打ち込み、D12=7、D10=1でした。師匠は防御し、D12=10、D10=3だった。判定は共に成功だが達成値はケネス(8)<師匠(14)なので師匠がケネスの打ち込みを防いだ。
ケネスはもう一度打ち込みD12=6、D10=7でした。師匠の防護はD12=3、D10=2だった。今度は両者成功で達成値はケネス(13)>師匠(6)なのでケネスの打ち込みが半成功した。師匠はケネスの打ち込みを防ぎきれなかった。
受動側成功と能動側失敗は原則として同じ扱いだが、受動側成功は能動側の行動が受動側によって阻まれた、能動側失敗は能動側がミスをしたという点で意味的な違いがある。状況によってはこの違いを評価することがある。
1対複数の対抗判定
対抗判定のバリエーションで、範囲攻撃呪文を使用した場合など一度に複数の目標を対象とする場合に使用する。複数の相手を対象とするが、能動側は1回しか判定しない。
能動側の判定
能動側は通常通り1回だけ判定を行う。判定に失敗したら全ての相手に対して失敗する。反対に決定的成功や自動的成功の場合は全ての相手に対して決定的成功、自動的になる。
受動側の判定
それぞれ判定を行い、達成値を算出する。その後、受動側1人1人の達成値と能動側の結果を比較し、受動側1人1人に対して個別に成否の結果を算出する。
ケネスは2人の野盗に囲まれていてそこから脱出しようとしている。
ケネスは《逃走:12:0:3》で、野盗は《逃走:11:0:3》である。
ケネスは野盗2人と1対複数の対抗判定を行う。
ケネスのダイスはD12=5、D10=3で達成値は8だった。
野盗Aは失敗、野盗BはD12=3、D10=2だった。
結果、ケネスの逃走は野盗Aに対して成功、野盗Bに対して半成功になる。
効果値
行動に成功しただけでなく、効果の大小が必要になる時には効果値を求める。例えば、武器や呪文のダメージが典型的な効果値だが、作業がどれだけ進んだかを求めるのにも使用する。ここでは基本ルールだけを説明するがダメージの詳細は「ダメージ、呪文の量的効果」、作業時の進捗は「作業判定」を参照すること。
効果値は次の式で求める。
| 効果値 | ダイス + 能動側効果強度 - 受動側効果強度 |
|---|
-
ダイスは特に指定がないならD6だ。武器や呪文の場合はそれぞれに指定される。指定がない場合でも有効な道具があるならD8やD10になるし、不十分な道具しかないならD4やD3になる。
-
半成功時は効果強度を1/2(端数切り捨て)にする。
-
判定が決定的成功ならダイス目を最大値とし、判定時のD10の目を効果値に加える。
決定的成功でも半成功なら効果値を1/2(端数切り捨て)にする。
-
能動側の技能効果強度は常に加えるが、受動側の効果強度は対抗判定の時だけだ(基本行為判定には受動側がいないので受動側効果強度を引けない)。基本行為判定でもGMの判断で一定の値を効果値から引いても良い。
成功でD6=4、能動側効果強度=1、受動側効果強度=2なら効果値は4+1-2 = 3だ。
半成功でD6=4、能動側効果強度=1、受動側効果強度=2なら(4+1-2)/2 = 1(1.5の端数を切り捨て)だ。
決定的成功でD10=2の半成功の場合、ダイス目は最大値の6、決定的成功時のD10の目を加えるので(6+1-2+2)/2=3(3.5の端数切り捨て)だ。
全ての判定で効果値を求める必要はない。成功か失敗かだけが重要なときは行為判定だけで結果を決める。効果値を使うのは成否とは別に成果の度合いを求めたい場合だ。ダメージは典型的な度合いを求める必要があるタイプの効果だ。ダメージ以外の例としては塹壕掘りや手間のかかる罠の解除といった作業で1回ごとにどれだけ進んだかを決める時に使用する。
行為判定のその他事項
判定の省略
行為判定が必要になるのはその行動に失敗の可能性があり、失敗したことによって何らかの不利益を被る可能性があるか、逆に成功したことによって得られる利益がある(失敗したら利益を得られない)からだ。従って、行動が一般的なもの(歩いて移動する、他のPCやNPCと会話する、買い物をする、など)で失敗が考えられない、もしくは絶対に成功しないならば判定を省略する。また、失敗時のリスクがない様な行動も判定省略の対象になり得る。
判定を省略した場合の処理の流れは下図の様になる。
行為判定が必要な場合と同じく行動を宣言する。
マスターはその妥当性を判断し、どういう結果になるかを決定する。
行動の対象となったものは結果を適用する。
即決判定
即決判定とは半成功を評価しない判定のことだ。
基本行為判定では半成功が失敗と同じ扱いになる。
対抗判定では半成功は能動側成功と同じ扱いになる。
有利 と不利
状況によっては通常よりも判定に成功しやすい、失敗しやすいと考えられるため成功率(判定基準値)を上下させたい場合がある。有利、不利のルールはその様な場合に使用する。
有利、不利を適用する場合の効果は下表の通りだ。
| 段階 | 効果 |
|---|---|
| 非常に不利 |
判定時にD12とD10を余分に1つずつ振り、最も悪い結果になるダイス目を採用する。 |
| 不利 |
判定時にD12を余分に1つ振り、最も悪い結果になるダイス目を採用する。 |
| 有利 |
判定時にD12を余分に1つ振り、最も良い結果になるダイス目を採用する。 |
| 非常に有利 |
判定時にD12とD10を余分に1つずつ振り、最も良い結果になるダイス目を採用する。 |
※ 結果は決定的成功>自動的成功>成功>失敗の評価になる。決定的成功同士ではD10の値の大きい方、成功同士ではダイスの合計値が大きい方が良い結果になる。
※ 有利と不利が同時に適用される時は相殺する。例えば有利と不利が共に適用されるなら普通の行動とみなす。非常に不利と有利が適用されるなら不利な行動になる。
※ 対抗判定で一つの要因による有利と不利は能動側か受動側の一方にだけ適用する。また、対抗判定で双方に有利、双方に不利ならば相殺する。
有利・不利による修正は成功率を少々加減する程度の効果ではない。判定基準値によって成功率の増減には差があるが基準値11なら有利・不利で±15%、非常に有利・非常に不利なら±30%ほどの影響がある。従って少々成功率を加減したい程度の状況で使用するものではない。
基本行為判定で解決する行動の場合、単に難しい行動は目標値で調整すべきだ。多くの場合は有利、不利を与えた1回の基本行為判定ではなく作業判定を使用する方が適切だ。特に、有利の理由がやり直しができるから、不利の理由が工程が複雑だから、というなら作業判定で処理すべき行動と言える。
対抗判定で解決する行動の場合、行動の難易度は相手次第なので状況による影響を表現するには有利、不利が有効な場合がある。しかし最初に書いた通り、明確に一方が有利もしくは不利とせざるを得ない場合にのみ使用するべきだ。
行動
TRPGには複数のプレイヤーがおり、マスターの管理するNPCも関わる。クリーチャーがいつ行動できるのかを明確にしておかなければ混乱する。ここでは行動管理に関する基本ルールを説明する。
行動の単位
『The Lunatic』ではクリーチャーの行動をイベントとサイクルという単位で管理する。
下図の様にセッションはイベントの連続で進行し、イベントは更にサイクルに分割される。
イベント
イベントは連続した行動の開始から終了までを表す単位だ。戦闘、宝箱の罠を外す、扉の鍵を外す、NPCと交渉する、などは全てイベントだ。また、特技の使用回数や呪文の効果時間などはイベント単位で管理されることが多いので、この概念は非常に重要である。
- 戦闘
-
戦闘イベントは1回の戦闘の始まりから終わりまでに相当する(「戦闘イベント」を参照)。
- 探索
-
戦闘以外で技能や能力値の判定を伴うような行動が探索イベントだ。戦闘以外の状況で呪文を使うのも探索イベントとして扱う(「探索イベント」を参照)。
- 回復
-
小休止、休憩、休息が回復イベントで、余力や魔那、耐久度を回復することができる(「回復イベント」を参照)。
- 一般
-
前述の3つ以外のイベントが一般イベントだ。例えば、モンスターとの遭遇などなく町から町へ移動する、街で買い物をする、酒場で飲食する、NPCと会話する、などが相当する。特に緊迫感のある状況でもなく回復イベントでもない場合は全て一般イベントということになる。
サイクル
戦闘や探索と行った複雑なイベントはサイクルに分割され、クリーチャーは1サイクルに1回ずつ行動機会を得る。
行動順はイベントに参加する全員がD10を振って大きい(同値は同値同士で再度D10を振る)順というのが最も厳密だが、状況によってプレイヤー側とマスター側程度に分けてそれぞれのグループ内では相談して決めることもできる。
1サイクルの具体的な時間は状況によって変化する。戦闘イベントでは1サイクル=1〜30秒(平均15秒)だが、一般的な行動では1サイクル=5分程度である。状況によっては1サイクル=1時間などの場合もある。戦闘中などのサイクルを「緊急サイクル」や「サイクル(緊急)」、一般的な行動を処理する場合のサイクルを「通常サイクル」や「サイクル(通常)」と呼ぶ。
行動機会
行動機会を得たクリーチャーは自分の行動を行える。クリーチャーの行動は行為判定のルールに従って行動の成否を決定する。プレイヤーはその行動機会にできる事がなくなったら行動終了を宣言し、次のプレイヤーに行動機会を移す。
特技や呪文を使用した場合、即時行動、割り込み行動という特殊タイミングで行動できることがある(「行動の種類」を参照)。
なんらかの理由で行動できないクリーチャーにも行動機会は回ってくる。
例えば麻痺して動けないクリーチャーは自分の行動機会に行動できないが麻痺からの回復判定は行える。
行動の種類
クリーチャーがいつ、どの様な行動ができるかは重要だ。これを明確にするため行動は能動行動と受動行動、タイミングによって主行動、補助行動、即時行動、割り込み行動に区別する。ここではこれらのキーワードについて説明する。
これは戦闘などで特技や呪文を使用した際に適用タイミングをはっきりさせたい場合に参照すれば良い内容である。基本的なルールが把握できる前は読み飛ばして構わない。
能動行動と受動行動
能動行動
能動行動は自分から何かするという宣言をして行う行動である。
後述する主・補助行動、即時行動、割込行動は全て能動行動だ。
受動行動
能動行動の対象になったクリーチャーがそれに対応するための行動である。
例えば、敵の攻撃を避ける、【火球】の呪文に抵抗する、などが受動行動だ。
1回の能動行動に対して行える受動行動は1回だけだ。
受動行動に対して受動行動、即時行動、割込行動は行えない。
主行動と補助行動
主行動はクリーチャーの行動順ごとの行動機会に行う主要な行動、補助行動は原則技能を使わないような簡易な行動だ。具体的な例は「戦闘イベント」を参照せよ。クリーチャーは1回の主行動と2回の補助行動を行える。補助行動は主行動の前に2回行っても後に2回行っても前後に1回ずつ行っても良い。
補助行動が重要になるのは戦闘など緊急サイクル進行時だ。例えば、バックパックから道具を取り出すのは緊急サイクル進行時は時間が掛かる行動だが、通常サイクル進行時は問題にならない。なので通常サイクル進行時は補助行動で何ができるかを細かく判断する必要はない。
割込行動と即時行動
割込行動と即時行動は自分の行動機会以外での行動を可能にする。ほとんどの場合、特技や呪文の効果によって発生する。割込行動と即時行動は瞬間的な行動であり補助行動は行えない。
割込行動
割込行動は他の行動の行動宣言か判定結果を見てから宣言し、その処理に割り込んで解決する。詳細なタイミングの指定は特技や呪文ごとに指定されるが、行動宣言とダイスロールは連続して行うので受動行動が始まる前と考えて大きな問題はない。移動に対する割込行動は特殊で、移動中の1マスごとに割り込む機会がある。
割込行動は1つの行動に対して1人1回しか行えないが、1つの行動に2人以上が割込行動を行うことはできる。この場合、D10を振って出目の大きい順に解決する。先行する割込行動によって後続の割込行動が無意味になった場合、その行動はなかったものとして扱う(魔力や余力などのリソースは消費されない)。
割り込まれた行動は割込行動解決後に再開するが、割込行動によって割り込まれた行動の解決が不能もしくは無意味になった場合、割り込まれた行動は後続処理を行わず終了する(例えば、攻撃に対して割込行動で攻撃して倒してしまった場合など)。
受動行動、割込行動を対象として割込行動はできない。
割込行動が攻撃の場合を「割込攻撃」、移動の場合を「割込移動」と呼ぶ。
即時行動
即時行動は他の行動の終了直後、もしくは、行動順毎の行動機会の間に行える行動である。他クリーチャーの行動機会中(例えば補助行動と主行動の間)にも行えるが、割込行動とは違い行動解決の途中に割り込むことはできない。移動に対しても移動完了後にしか行えない。
即時行動は1つの行動に対して誰か一人しか行えない。2人以上が即時行動を宣言した場合、自分自身の行動に対する即時行動が最優先で、次いでD10を振って最も出目の大きかったクリーチャーが優先される。
受動行動、割込行動を対象として即時行動はできない。
即時行動が攻撃の場合を「即時攻撃」、移動の場合を「即時移動」と呼ぶ。
戦闘イベント
戦闘イベントはもっとも厳密な行動解決の手順であり、戦闘以外でも厳密な行動管理が必要になる場合はこの手順に従って解決する。重要な要素なのでマスター、プレイヤー共に良く理解しておくこと。
戦闘の手順
戦闘イベントは次の手順で解決する。
戦闘開始の確認
戦闘はマスターが戦闘開始を宣言し、プレイヤーが戦闘開始を確認した時点で始まる。
戦闘開始の確認が重要になるのは特技や魔力、呪文の有効時間に影響を与えるためだ。マスターが戦闘開始可能かどうかを判断する基準はPC(敵)が敵(PC)の存在を認識できているかどうかだ。例えば、部屋の扉に聞き耳を立てて中に敵がいることを認識していれば部屋に入る前から戦闘を開始できる。しかし、この扉の向こうに敵がいるだろうという推測だけで戦闘開始にすることはできない。当然、ダンジョンに入った時点からどこかに敵がいるにちがいないなどと言ってダンジョンにいる間中戦闘イベントを継続することはできない。
戦闘中の行動順決定
戦闘の参加者全員がD10を振り値の大きい者から行動する。同値の場合は再度D10を振ってどちらが先か確定する。モンスターなどは何体かをグループとして同じ行動順で扱っても構わない。行動順は一度決定したら順番だけを管理し、決定時のダイス目は使用しない。
行動順は特技等を使用しない限り変更できないが行動を遅らせる事は可能だ。行動順の遅延はクリーチャーの行動順の最初に宣言し、1サイクルに1回しか行えない。行動順を遅らせたらそのクリーチャーの行動順は全体の最後になる。
A、B、Cがダイスを振って、6、6、3だった。AとBは同値なので、再度ダイスを振って、Aが5、Bが2だった。行動はA→B→Cで解決する。
Bが行動を遅らせると宣言した。行動順は以降A→C→Bとなる。
戦闘行動サイクル
各クリーチャーはサイクルに1回ずつ自分の行動順で行動機会を得る。イベントに参加している全てのクリーチャーの行動機会を処理したらそのサイクルは終了する。
サイクル開始
サイクルの開始時点でそのイベントに参加しているクリーチャーは自分の行動順で行動できるようになる。
特技などはこのタイミングで効果を解決するものもある。
クリーチャーの行動
クリーチャーは自分の行動順で主行動1回と補助行動を2回行える。補助行動のタイミングは主行動の前でも後ろでも構わないし、前後に1回ずつでも構わない。
行動開始と行動終了はクリーチャーの行動の区切りを明確にするためのものだ。特技や呪文の効果が次の行動順開始時までのようになっていることもある。また、状態異常の回復の判定などこのタイミングで判定するものもある。
主行動
行動順における主要な行動だ。原則として技能を使う行動は主行動だ。技能を使わない行動でもサイクル中の行動として軽微でないものは主行動である。次の様な行動は主行動として扱う。
- 武器による攻撃、呪文の使用、その他行為判定が必要な行動
- [宣言:宣言・主行動]タイミングの特技や呪文、呪符の使用
- 遠隔武器の矢弾の装填
- 収納状態の武器や焦点具を準備状態にする
- 魔晶石からの魔力導出
- 背負い袋等、脱着に手間のかかるものを外す
- 地面に落ちているものを拾う
- 移動(詳細は「戦闘中の位置管理」を参照)
補助行動
補助行動は通常は簡単に行えるが緊迫した状況では多少の注意を割く必要のある行動だ。[宣言:宣言・補助行動]タイミングの呪文や特技を除いて原則技能を使わない行動に限る。GMは状況に応じてできることに制限をもうけても良い。次の様な行動は補助行動として扱う。補助行動でできる行動は全て主行動でもできる。
- [宣言:宣言・補助行動]タイミングの特技や呪文、呪符の使用
- 魔那からの魔力導出
- すぐに取り出せる呪符や魔晶石、道具の取り出し
- 非準備状態の武器や焦点具を準備状態にする
- 武器や焦点具を非準備状態にする。
- 手に持っている武器や焦点具等ある程度の大きさか踏んだら危険、壊れるかもしれないものを地面に落とす
- 移動(詳細は「戦闘中の位置管理」を参照)
ほとんど注意を払う必要なくできるごく簡単な動作は主行動や補助行動の一部に含めて良い。武器や焦点具の準備状態、リソースに影響を与える行動、一瞬でも注意を向ける必要のある行動は軽微な動作ではない。次の様なものは軽微な動作だ。
- 片手半武器の片手、両手の持ち替え(片手半武器は両手、片手を持ち替えても準備状態が変わらない)
- 使用した呪符や魔晶石のような小さく危険でないものを捨てる
- 移動中の短い発言(攻撃中や呪文使用中は喋れない。攻撃中に気合いや威嚇の発声はできる)
PCはプレイヤーよりも戦闘に慣れているし、戦場で見聞きしているもの全てをプレイヤーがマスターとの会話から把握することはできないという点を考慮して、戦闘中にプレイヤー同士が多少の相談をするのは黙認すべきだ。また、多少の発言は移動しながらとか武器を準備しながらできるだろう。眼に余ると思ったなら、それ以上の会話は主行動や補助行動を消費することになると警告すれば良い。
サイクル終了
イベントに参加しているクリーチャー全員が自分の行動順での行動を終えたらサイクルは終了する。
特技などはこのタイミングで効果を解決するものもある。
戦闘継続の判断
サイクルが完了したら、イベントを継続するかどうかを判断する。戦闘で相手が全滅した等、イベントを継続する理由が無くなったらイベントを終了する。継続する理由があるならば、次のサイクルを開始する。
戦闘終了の確認
マスターが戦闘の終了を宣言し、プレイヤーがそれを確認した時点で戦闘終了となる。
武器攻撃
武器攻撃よる攻撃処理について説明する。『The Lunatic』では連続攻撃が標準の処理なのでそれについても説明する。
武器攻撃の手順
武器による攻撃は、攻撃の宣言、攻撃の判定、ダメージの適用の順で解決する。また、攻撃の判定結果によって連続攻撃となり、1回の主行動の間に2回以上の攻撃を行える場合がある。
攻撃の宣言
武器攻撃を行うクリーチャーは誰を攻撃するのかを宣言しなければならない。近接武器使用時は隣接するマスにいる敵、遠隔武器は武器の[射程]以下の距離にいる敵を攻撃できる。
攻撃の判定
攻撃対象を決定したら対抗判定で成否を解決する。能動側は使用する武器によって《主・副近接》、《投射》で受動側は《防御》で判定する。判定結果は下表の様になる。
攻撃結果欄は判定結果の別名で、特技などの説明中でキーワードとして使用する。
| 判定結果 | 攻撃結果 | 説明 |
|---|---|---|
| 能動側成功 | 攻撃成功 |
成功時のダメージを使用する。 判定時のD12>D10なら(決定的、自動的成功時は必ず)連続攻撃となり、もう一回攻撃できる。 |
| 半成功 | 攻撃半成功 |
半成功時のダメージを使用する。 判定時のD12>D10なら(決定的、自動的成功時は必ず)連続攻撃となり、もう一回攻撃できる。 |
| 受動側成功 | 防御成功 | ダメージは与えられず、連続攻撃も行えない。 |
| 能動側失敗 | 攻撃失敗 | ダメージは与えられず、連続攻撃も行えない。 |
連続攻撃
武器の[攻撃回数上限]が2以上の場合、クリーチャーは連続攻撃を行える。
連続攻撃は直前の攻撃に対する即時行動である。自分自身の行動を対象とした即時行動なので連続攻撃が終わるまで他のクリーチャーの即時行動の対象にならない。割込行動は連続攻撃中の個々の攻撃を対象にできる。
連続攻撃の条件
攻撃の判定結果が下記の条件を満たしたら続けてもう一回同じ攻撃対象を攻撃できる。
- 能動側の判定結果が半成功以上、かつ、判定時のダイス目がD12>D10
- 能動側が自動的成功、決定的成功の場合は必ず半成功以上でD12>D10なので連続攻撃の条件成立
連続攻撃が終了するのは次のいずれかの条件を満たしたときである。
- 判定結果が能動側失敗か受動側成功
- 判定結果が能動側成功、半成功だが判定時のダイス目がD12≦D10
- 連続攻撃の上限回数に達した
連続攻撃は次の制約を受ける。
- 連続攻撃の途中で攻撃対象を変更できない。
-
連続攻撃の途中に補助行動を挟めない。例えば、攻撃、補助行動で移動、攻撃の様な行動はできない。
攻撃の間に挟むのが自分の行動を対象とした即時行動なら可能である。攻撃、特技による即時移動、攻撃はできる。
連続攻撃の処理高速化
連続攻撃を処理する際、1回目の攻撃と防御、2回目の攻撃と防御、…、と攻撃側の判定、防御側の判定を1回ずつ確認しながら処理していると時間がかかる。そのため、次の手順で処理する。
- 攻撃側が連続攻撃終了までまとめて判定し、達成値を算出する。
- 攻撃側の達成値を目標値として防御側の判定を行う。防御成功になったらそれ以降の攻撃は無視する。
攻撃側が《主近接:14:0:3》で攻撃回数上限が4回、防御側が《防御:15:0:3》なら次の様にする。
攻撃側が判定し、(D12,D10)=(2,1)、(8,4)、(3,6)だった。1回目と2回目はD12>D10なので連続攻撃となり次の攻撃を行う。3回目はD12≦D10で連続攻撃は終了し、4回目の判定は行わない。
防御側は攻撃側の達成値3、12、9を目標値に《防御》の判定を行う。判定結果は(D12,D10)=(9,7)、(10,4)で2回目が防御成功になったので3回目以降の攻撃を無視する。
結果的に1回目の攻撃だけが成功となる。
ダメージの適用
攻撃の判定結果に従って攻撃対象にダメージを適用する。連続攻撃のダメージ処理は何回の攻撃が成功(半成功)したか決まってからまとめて行う。
ダメージ処理については「ダメージ、呪文の量的効果」を参照すること。
武器戦闘のその他ルール
攻撃の決定的失敗
攻撃に決定的失敗した場合、標準の余力、特技、呪文で効果を改善できないだけではただの失敗とほぼ変わらないので次の効果を適用する。
近接攻撃時
攻撃に決定的失敗したとき武器を落とすか相手から反撃を受ける。プレイヤーはD12を振り、1〜8ならキャラクターの正面を1として時計回りに隣接するマスに武器を落とす。落とした武器はそのマスまで移動した上で主行動を消費して拾わなければ使えない。武器は拾い上げた時点で準備状態である。D12が9〜12なら攻撃対象のクリーチャーに反撃を許す。対象のクリーチャーは攻撃に決定的失敗したキャラクターに対して即時近接攻撃(単独、特技可)を行える。
モンスターが攻撃に決定的失敗した時は常に反撃を許す(武器は落とさない)。
遠隔攻撃時
攻撃に失敗したとき、弓や弩、投石器は弦や紐が切れて使えなくなる。修理するのは容易だが通常サイクル行動が必要なのでその戦闘イベント中は使えなくなる。投擲武器の場合は変なところに飛んで行ったか、壊れたかして回収及び再使用不能になる。
複数の武器使用
特技などの効果で認められていない限り、両手に1つずつ武器を持っていたとしても1回の主行動で使用できる武器は1つだけである。
武器の準備
武器の準備状態には次の3つがある。
- 収納状態
-
刀剣は鞘に収めた状態、斧や鈍器はベルトやホルダーに差し込んだ状態、槍などでも穂先に覆いや鞘を被せた状態になっている。街中など危険のない状況で所持している武器はこの状態とみなす。
地面に落ちているが手の届く場所にある武器などもこの状態に準じる。
収納状態の武器を準備状態にするには主行動が必要だ。武器を一旦非準備状態にする必要はないが単に抜き放って非準備状態にするのも主行動が必要である。
- 非準備状態
-
手に持っているが即座に攻撃できるように構えてはいない状態。ダンジョン内など即座に危険に対応する必要がある状況ではこの状態である可能性が高い。片手で持っている両手専用近接武器も非準備状態である。弓などは発射に両手が必要だが片手でも準備状態を維持できる。
非準備状態の武器を準備状態にするには補助行動が必要だ。
武器を収納状態にするのは主行動で行う。
- 準備状態
-
武器を構えいつでも攻撃できる状態。一度準備状態にした武器は準備状態を変更するような行動を取ったり効果を受けたりしない限りその戦闘中準備状態を保つ。少なくとも《主・副近接》、《投射》、《防御》、《生体防御》、《精神防御》、《逃走》、《呪文投射》、《対応呪文》の使用、主行動や補助行動での移動、一般戦闘行動、戦闘特技、武技、魔術特技の使用、魔力導出、矢玉の装填、呪符や魔晶石の取り出し(片手が使えるなら)は武器を非準備状態にしない。武器を構えていられない行動を取ったなら武器は非準備状態になる。例えば《運動》を使うような行動は戦闘関連の特技で要求される場合を除いて武器の準備状態を保ったまま行えない。
武器を収納状態にするのは主行動、非準備状態にするのは補助行動で行う。
2つの武器(武器と盾、焦点具)を使うキャラクターは1回の主行動で両方の武器を準備できる。武器の1つが収納状態、もう一つが非準備状態でも1回の主行動が必要だ。非準備状態の武器を左右の手に持っているなら1回の補助行動で両方を準備状態にできる。
遠隔武器
近接武器は全てこれまでのルールで処理できるが、遠隔武器には近接武器にないルールがいくつかある。
装填
弓や弩の様な武器本体とは別に矢弾を発射する武器は装填が必要だ。矢弾の装填には主行動が必要だ。武器ごとに必要な行動回数は武器のデータを参照せよ。
基本的に矢弾の装填と発射の間に他の行動(受動行動を含む)をとったなら装填していない状態になる。例えば装填して移動後に攻撃は間に移動という行動を含むので装填が無駄になる。
近射と遠射
近射は遠隔武器に矢弾を装填してすぐの攻撃でこれまで説明した武器攻撃のルール通りに処理する。
遠射は矢玉を装填した後、1回の主行動を消費して狙いをつけてからしか攻撃できない。つまり、1サイクル余分に時間がかかる。代わりに射程距離が伸びる。射程距離は「近距離/遠距離/超遠距離」に分けられており、遠距離は判定が不利に、超遠距離は非常に不利になる。
狙いをつけるのは矢弾の装填と同じく発射までの間に他の行動を取ったなら無駄になる。
呪文の使用
ここでは呪文を使うための手順について説明する。説明中に呪文のパラメータが登場するがこれらについては「呪文データ」を参照すること。
魔力導出
呪文を使い際に魔力消費するがクリーチャーは魔那を魔力に変換する必要がある。これを「魔力導出」と言う。
クリーチャーは主行動か補助行動で魔那(1)を消費して魔力をD6点生み出せる。
魔晶石など魔那以外のリソースからの魔力導出は主行動でしか行えない(補助行動ではできない)。
補助行動での魔力導出は1サイクルに1回しか行えない。補助行動と主行動の両方で1サイクルに2回の魔力導出を行うことは問題ない。
1回の魔力導出で魔那や魔晶石を2以上消費して2D6以上の魔力を得ることはできない。
魔力が残っている時に魔力導出を行なったら魔力は加算される。魔力に上限はなく、最低値は0である。
1サイクル目にクリーチャーは魔力導出を行い、D6で4だった。魔力を4点蓄える。
2サイクル目に魔力3点を使って呪文を唱えたら魔力は1点になる。
3サイクル目に魔力導出で3点の魔力を生み出したら4点の魔力を蓄えている事になる。
呪文の使用手順
呪文を使用する場合、術者はどの呪文を使うかを宣言し、魔力を消費してから呪文の成否判定を行い、呪文の効果を解決する。
呪文の宣言
呪文を使う場合、どの呪文をどの範囲に使用するかを明確に宣言しなければならない。呪文が[MP:1+n]のように拡大可能な場合、宣言時にどの項目をどれだけ拡大し、何点の魔力を使うのかを確定する。
魔力の消費
どの呪文を使用するか宣言したら呪文の[MP]に定められただけの魔力を消費する。消費できるだけの「魔力」がない場合は呪文を使用できない。魔力の消費は呪文の宣言に伴って発生し、そのために主行動も補助行動も消費する必要はない。魔力は呪文の成否にかかわらず消費される。
呪文の判定
呪文は[判定]で示された技能で使用する。
基本的に呪文の使用は能動行動だが、[宣言:受動]の呪文は受動側として使用する。
術者が能動側の場合
術者が能動側で呪文の[判定]、対象が受動側で呪文の[防御]に示した技能で判定する。判定結果は下表のようになるが、個別に説明がある場合は呪文ごとの説明に従う。呪文結果は判定結果の別名で、呪文の説明中でキーワードとして使用する。
[防御:不可]の呪文には受動行動を行えない。術者が呪文の判定に成功すれば効果を表す。
[防御:無効]の呪文は対象が呪文を受け入れないことを宣言したら呪文は効果を表さない。決定的成功でも対象が呪文を拒否するなら呪文は不発に終わる。
| 判定結果 | 呪文結果 | 説明 |
|---|---|---|
| 能動側成功 | 呪文成功 |
呪文は成功時の効果を表す。 量的効果は[効果]通りに決定する。 |
| 半成功 | 呪文半成功 |
呪文は半成功時の効果を表す。 量的効果は[効果]の1/2(端数切り上げ)になる。 |
| 受動側成功 | 防御成功 |
原則として呪文は効果を表さない。 [効果:ダメージ]は例外で[効果]の1/5(端数切り上げ)になる。 |
| 能動側失敗 | 呪文失敗 |
呪文は一切の効果を表さない。 |
※ 量的効果にはダメージ、回復、などがある。詳細は呪文データを参照。
クリーチャーが身につけているもの(武器や衣服、持ち歩いているアイテム)にかけられた呪文は所有者によって防御することが可能だ。例えば剣に呪文をかけられた場合、クリーチャー自身を対象としたのと同じ様に防御することができる。
術者が受動側の場合
[宣言:受動]の呪文は何らかの行動に対する受動行動として使用する呪文だ。術者が受動側なので術者の判定時のD12=11、12は常に自動的失敗になる。判定結果は下表のようになるが、個別に説明がある場合は呪文ごとの説明に従う。
呪文効果は呪文における判定結果の別名で、呪文などの説明中でキーワードとして使用する。
| 判定結果 | 呪文結果 | 説明 |
|---|---|---|
| 能動側成功 | 呪文失敗 |
呪文は効果を表さない。 対象の行動を成功として処理する。 |
| 半成功 | 呪文半成功 |
呪文は部分的な効果を表す。 呪文ごとの説明を参照する。 |
| 受動側成功 | 呪文成功 |
呪文は成功時の効果を表す。 呪文ごとの説明を参照する。 |
| 能動側失敗 | 能動側失敗 | 相手の行動が失敗なので呪文を使用する必要がない。 |
複数対象への呪文
[範囲:対象N]の呪文は判定は対象ごとに個別の対抗判定で処理する。
[範囲:N、連続N]の様な範囲呪文は判定は1対多の対抗判定で処理する。
【火弾】を3体の対象A、B、Cに使用したら術者はA、B、Cそれぞれに1回ずつ対抗判定を行う。
【火球】を対象A、B、Cを範囲に含んで使用したら、術者は1度だけ判定しその達成値に対してA、B、Cはそれぞれ対抗判定を行う。
呪文の効果の適用
呪文が何らかの効果を持つ判定結果になったら呪文の[効果]の説明に従って効果を[範囲]内の対象に適用する。ダメージや回復などの処理は「ダメージ、呪文の量的効果」に従う。
複数対象への効果適用
[範囲:対象N]の呪文は対象ごとに量的効果のダイスを振る。
[範囲:N、連続N]の呪文は一度だけ量的効果のダイスを振り、同じ効果を適用する。
いずれの場合も対抗判定の結果によって対象毎に量的効果は軽減される。
【火弾】を対象A、B、Cに使用し、Aに呪文成功、Bに半成功、Cは防御成功だった。ダメージはA〜Cそれぞれに算出し、Aは2D6=8、Bは2D6=6の半分で3、Cは2D6=9の1/5で1となる。
【火球】の範囲に対象A、B、Cがいて、Aに呪文成功、Bに半成功、Cは防御成功だった。ダメージは一度だけ算出して2D6=8だった。Aは8点、Bは半分の4、Cは1/5の1点のダメージを受ける。
呪文の効果時間
呪文は2サイクル以上にわたって効果が持続するものがある。呪文の効果時間は呪文データの[効果時間]で指定され、次の種類がある。ここでの説明は簡単なものにとどめるので詳細は「呪文データ」を参照すること。
- 「瞬間」は効果を解決したら即座に終了する。
- 「維持」は術者の行動順ごとに維持コストの消費と再判定によって効果時間を延長できる。
- 「持続・継続」は術者が指定されたタイミングで判定に成功する限り継続する。
- 「持続・終了」は対象が指定されたタイミングで判定に成功すると終了する。
- 1イベント、nD6時間のように具体的な時間が設定されている場合、その間呪文の効果が継続する。
魔力の消滅
イベント内で生み出した魔力はイベントの終了時に消滅する。魔力はイベントをまたいで維持できない。戦闘イベント中に生み出した魔力を戦闘イベント終了後に使うことはできないし、逆に戦闘イベント前に魔力を生み出しておいて戦闘イベントで使うこともできない。
呪文のその他ルール
呪文の決定的失敗
呪文使用時の《呪文投射》か《対応呪文》に失敗した場合、その呪文はイベント終了時まで使用できなくなる。使用できなくなるので後述の「失敗した呪文の継続詠唱」もできず、呪文には失敗してしまう。フレーバー的には呪文の一部を度忘れしてしまう。呪文書を見直せばすぐに問題なくなるがそのために1通常サイクルを費やさなければならない。
焦点具と呪文動作
一般的に術者は呪文を使用する際に焦点具を使用し、なんらかの呪文動作を行う。これらは呪文を使用する際に必須ではないが、呪文を使用する際にいずれかが欠けていれば呪文使用の判定は不利に、両方が欠けていれば非常に不利になる。
焦点具
焦点具は呪文を使用する際に用いる道具でスタッフやロッド、ワンド、オーブ、トーテム、聖印などが一般的に用いらる。呪文使用時に焦点具は少なくとも片手に持っていなければならない。焦点具を持つ手に他のものを持っていてはならない。
焦点具は武器と同じく収納状態、非準備状態、準備状態を持つ。武器でもある焦点具(データを参照)は準備状態なら両方で準備状態、非準備状態や収納状態も同様だ。
- 収納状態
-
懐に収めたワンド、ベルトやバックパックに差し込んだロッド、ポーチに収められたオーブのようにすぐに取り出すには手間な状態。首にかけた聖印は外して手に持たないと戦闘中に扱えないのでこれも収納状態である。
収納状態の焦点具を準備状態や非準備状態にするには主行動が必要だ。
- 非準備状態
-
移動中単なる杖として持っているだけのスタッフやロッドなど、すぐ準備状態にできる状態。
非準備状態の焦点具を準備状態にするには補助行動が必要だ。
焦点具を収納状態にするのは主行動が必要だ。
- 準備状態
-
手に持っていて使用できる状態。両手武器でもある焦点具は片手で持っても焦点具としては準備状態にできるがこの状態では武器として非準備状態である。片手を他のことに使うためにあえてこのような状態にするのは自由だ。
焦点具が非準備状態になる行動は武器に準じる。
焦点具を収納状態にするのは主行動、非準備状態にするのは補助行動が必要だ。
呪文動作
呪文を詠唱する、印を結ぶ、空中に呪文のサインを描く、などが「呪文動作」だ。標準の呪文動作は呪文の詠唱で、他の呪文動作は特技〈呪文動作〉で取得しなければ使用できない。
失敗した呪文の継続詠唱
主行動で呪文に失敗した時に術者は次の行動順まで同じ呪文の詠唱を続けることができる。受動側の呪文に対する防御成功の場合は呪文自体は発動しているので呪文詠唱の継続を行えない。割込行動、即時行動、補助行動、受動行動の呪文では時間的余裕がないので呪文の継続詠唱はできない。
呪文詠唱の継続を選択したなら次の行動順の主行動で魔力(1)を消費することで同じ呪文を再度判定できる。呪文の距離や範囲などを拡大していたならそれらも宣言時のままだ。継続詠唱でも再度失敗して更に継続詠唱を続けることは問題ない。
呪文の継続詠唱中(次の行動順で呪文の判定を行うまで)は割込行動と即時行動を行えない。補助行動と受動行動は行えるが別の呪文を使うことはできない。呪文の継続詠唱中に割込行動や即時行動、補助行動や受動行動で別の呪文を使ったなら呪文詠唱を継続できなくなり継続詠唱中の呪文は失敗する。
【火球】を[距離:20]、[範囲:7]に拡大して魔力(5)で使用して失敗した。術者は【火球】を継続詠唱し次の行動順で魔力(1)を消費することで再度判定できる。継続詠唱のための魔力が足りなければ、再判定の前に補助行動で魔力導出することは問題ない。
ただし、次の行動順までに【消呪】を使ったなら継続詠唱できなくなり【火球】は失敗する。
呪文の重ねがけ
呪文を効果範囲と時間が重なる様に使用した場合、次のように判断する。
- [範囲:対象/対象n]と[範囲:nマス/連続nマス]は効果範囲が重なっていないものとして扱う。[範囲:対象/対象n]同士や[範囲:nマス/連続nマス]の効果が重なるマスは効果が重なっているとして扱う。
- 同一の呪文は後から成功した呪文だけが効果を発揮する。
- ダメージとダメージ、回復と回復は別の呪文でも後から成功した呪文だけが効果を発揮する。ダメージと回復の様に効果が異なる場合は個別に効果を発揮する。
- 効果が矛盾する呪文は後から成功した呪文だけが効果を発揮するが、効果が矛盾しなければ両方の効果が発揮される。
呪文の投射位置のズレ
呪文は明確な目標物を標的とするなら投射位置がズレることはない。[範囲:対象、対象N、連続N]の呪文は必ず狙った場所で発動する。[範囲:直径N]の呪文は術者が目測を誤る可能性がある。例えば、【火球】を隣接して戦っている敵だけを範囲に含めようと明確な目標のない場所を中心に使った時、正確な位置に打ち込める保証はない。
[範囲:直径N]の呪文を中心とした3×3の範囲に明確な目標物がないなら、D12を振って1〜8が出たら狙った場所の隣接マスを中心としてしまう。9〜12の場合は狙い通りの場所を中心とする。1〜8は1から時計回りになるが、どこが1のマスかはD12を振る前に決めておくこと。明確な目標物とはクリーチャーや目立つ物体(他と明確に区別できる木とか岩など)である。部屋の隅や扉も明確な目標物だが特徴の無い壁はそうではない。
投射位置のズレは必ず適用しなければならないわけではない。プレイヤーの誰かかGMが申告したときだけ適用する。
ダメージ、呪文の量的効果
クリーチャーの攻撃が攻撃側成功か半成功なら相手にダメージを与える。呪文が攻撃側成功か半成功か防御成功した場合、対象にダメージ、回復、などの量的効果を与える。これらの数値的なパラメータへの効果は全て同じルールで処理する。
ダメージ、量的効果の決定
効果値の決定
効果値は相手に防御されなかった時に攻撃や呪文が与えるダメージや量的効果のことで次のとおりに計算する。
| 効果値 | ダイス + 攻撃側効果強度 - 防御側効果強度 |
|---|
※ ダイスは武器ごとに決められたダメージや呪文の量的効果のダイス(固定値を含むか固定値の場合もダイスの値とする)。
※ 攻撃側効果強度は攻撃側が能動判定に使用した技能の効果強度。
※ 防御側効果強度は防御側が受動判定に使用した技能の効果強度。
※ 防御側が受動行動を取らなかった(取れなかった)場合、防御側効果強度は適用しない。
※ ダメージや量的効果が発生するなら最低値は0。
呪文の量的効果には[効果:ダメージ、回復、擬似耐久度、軽減]がある。
防御による軽減
行為判定の結果が半成功や防御側成功ならダメージや量的効果を軽減できる。下表の通りにダイスの効果を軽減する(端数切り捨て)。「--」の結果は攻撃や呪文が失敗したか完全に防御されているためダメージや量的効果の算出するまでもなくダメージや量的効果は発生しない。
| 判定結果 | 武器 | 呪文 |
|---|---|---|
| 能動側成功 | 効果値のまま | 効果値のまま |
| 半成功 |
主武器:効果値×1/2
副武器:効果値×1/3
|
効果値×1/2 |
| 防御側成功 | -- |
ダメージ:効果値×1/5
その他 :--
|
| 攻撃側失敗 | -- | -- |
※ 呪文は[効果:ダメージ]の場合のみ防御側成功でもダメージを与えることができる。
武器のダメージがD10+1、攻撃側の効果強度が1、防御側の効果強度が2とする。
攻撃成功で攻撃側のダメージがD10=5ならダメージは5+1+1-2=5である。
半成功なら効果値は1/2になるので(5+1+1-2)/2=2(2.5の端数切り捨て)である。
防御側成功や攻撃側失敗はダメージを与えられないのでダメージは算出しない。
術者の効果強度が2、対象の効果強度が1とする。
[効果:ダメージ・耐久度(2D6)]の呪文に対し防御側成功した。[効果:ダメージ]の呪文は防御側成功でもダメージを与えるのでダメージを算出し、2D6=11なら(11+2-1)/2=2(2.4の端数切り捨て)である。
[効果:回復・耐久度(2D6)]の呪文は有益な効果なので対象は受動行動を取らない。呪文に成功して2D6=7なら[耐久度]を7+2=9点回復する。受動側が受動行動を取っていないので効果強度を引かない。
[効果:持続・終了(判断:行動終了時)、作業量(1+n)]の呪文は作業量(1+n)が量的効果なのでこれをダイスとして扱う。n=1で使用して半成功なら(1+1+2-1)/2=1(1.5の端数切り捨て)で作業量1の効果になる。
決定的成功の効果
攻撃側の判定結果が決定的成功だった場合、次の効果を適用する。この効果は防御側が判定に成功して半成功だった場合でも適用する。
- 武器、呪文のダメージや量的効果はダイスの最大値として扱い、更に判定時のD10の目を加える。
- 武器攻撃で1点以上のダメージを受けた防御側は[耐久度]が1以上でも死亡判定を行わなければならない。
- [範囲:対象、対象N]のダメージ呪文で1点以上のダメージを受けた防御側は[耐久度]が1以上でも死亡判定を行わなければならない。[範囲:N、連続N]の呪文にこの効果はない([耐久度]が0以下にならない限り死亡判定は行わない)。
武器のダメージがD8、攻撃側の効果強度が0、防御側の効果強度が1とする。
攻撃側がD12=12、D10=2で決定的成功、防御側も成功なら結果は半成功である。ダメージは(8+2+0-1)/2=4(端数切り捨て)で、防御側は死亡判定が必要だ。
特技によるダメージ修飾
[宣言:打撃]の特技にはダメージを拡大、[宣言:対応・打撃]特技にはダメージを軽減するものがある。これらについて簡単に説明しておく。詳細は特技の使用と個々の特技データを参照すること。
[宣言:打撃]の効果は効果値のダイスに含まない。例えば〈強打〉はD6点のダメージを追加するが、このD6の追加ダメージは半成功でも1/2にならない。
[宣言:対応・打撃]の特技は[宣言:打撃]の特技の宣言と効果の決定が終わった後で宣言する。つまり、ダメージがいくらになるかわかった後でどうするかを決めて良い。
ダメージ、量的効果の適用
ダメージ
クリーチャーがダメージを受けた場合、特別の指定がないなら[耐久度]の現在値が減少する。
ケネスは[耐久度:12]の状態から5点のダメージを受けた。彼は[耐久度:7]になる。
余力によるダメージ軽減
全てのクリーチャーは余力(n)を消費する毎に耐久度にダメージをnD6点軽減する事ができる。余力によるダメージ軽減はダメージ計算の最後に宣言する。一度宣言した後で余力を追加して消費することはできない。
ケネスはさらに8点のダメージを受けた。このままでは死亡の可能性があるので余力(2)を使ってダメージを軽減する。ダメージ軽減は2D6で出目は7だったのでダメージは1点で済み[耐久度:6]になる。
耐久度と状態
[耐久度]の値によってクリーチャーの状態は次のようになる。
- 耐久度1以上
-
ペナルティを受けず通常どおり行動できる。
- 耐久度0〜致死点
-
耐久度が0以下のクリーチャーは瀕死状態になる。
瀕死状態になった時と瀕死状態で耐久度が減少した場合、死亡判定を行わなければならない。死亡判定に失敗したクリーチャーは死亡状態になる。
- 耐久度が致死点以下
-
耐久度が[致死点]以下まで減少したクリーチャーは完全死する。
耐久度が0以下になるダメージを受けた場合、障害や大きな傷が残るような重大な怪我だとすることもできる。これはGMがNPCを離脱させたい時などに使うものでPCには適用しない。PCの怪我は大抵は呪文で回復するし、呪文は障害が残らないほどの治癒力がある。第一、PCがリタイアするのはプレイヤーにとって面白くないしGMにとっても困る。
呪文の量的効果
ダメージ以外の呪文の量的効果について簡単に説明する。詳細は呪文データを参照すること。
回復
回復は呪文が指定したパラメータを回復する。
移動力
移動力を一時的に増減させる。
擬似耐久度
擬似耐久度は対象のクリーチャーに一時的な耐久度を与える。擬似耐久度はクリーチャーの[耐久度]とは別に管理されるが、ダメージはまず擬似耐久度に与えられ、疑似耐久度が0になったら[耐久度]に与えられる。
軽減
軽減は武器や呪文による打撃を対象とし、そのダメージ自体を軽減する。
持続呪文、幻覚
呪文の効果は様々だが、これらは効果が1サイクル以上持続する可能性がある呪文である。効果の持続、終了は作業判定で処理する。
死亡判定
判定は[頑健値]で目標値2の判定である。判定に失敗なら死亡するが、余力(1)の消費で死亡を回避できる。判定を行う代わりに気絶しても良い。クリーチャーがすでに気絶しているなら選択できない。
耐久度が1以上で死亡判定に失敗した場合、失敗した時点で耐久度は0になる。
連続攻撃の場合、死亡判定は連続攻撃終了後に1回だけ行う。連続攻撃中の個々のダメージに対して死亡判定は行わないし、連続攻撃中に攻撃側の決定的成功に加えて防御側の[耐久度]が0以下になったとしても死亡判定は連続攻撃終了後に1回だけ行う。
気絶、瀕死、死亡、完全死
これらの状態の詳細な説明は次の通りである。
気絶
クリーチャーは意識を失っており何もできない。次のペナルティを受ける。
- 無防備かつ転倒状態である(状態異常を参照)。
耐久度が1以上の場合、毎サイクル自分の行動終了時に[頑健値]の判定に成功すれば意識を取り戻す。
瀕死
耐久度が0以下で致死点より大きく、死亡していない状態である。次のペナルティを受る。
- 能動行動をとった場合、行動終了時に耐久度を1点失う(死亡判定が発生する)。
- 回復イベントで余力と魔那の回復を行えない。
- 休息では通常の耐久度回復は行えない。休息を取った時(原則0時の時点)で[頑健値]の判定を行い、成功すれば[耐久度]を1回復し、失敗すれば1失う。休息を取らなかった場合は毎日0時に[耐久度]を1失う。耐久度を失った場合は死亡判定を行わなければならない。
クリーチャーの耐久度が1以上になった時点で瀕死ではなくなる。瀕死かつ気絶状態だった場合、瀕死から回復しただけでは気絶状態からは回復しない。
死亡
「死亡判定」に失敗し耐久度が[致死点]に達していない場合である。死亡は気絶および瀕死に優先する。気絶状態のペナルティに加えて次のペナルティを受ける。
- 無防備かつ転倒状態である(状態異常を参照)。
- 通常サイクル毎の自分の行動順終了時に[頑健値]で判定し、失敗すると耐久度が1点減少する。
- 回復イベントによる回復を行えない。
- 呪文でも死亡状態での効果が明記されていない回復を受け付けない。
完全死になる前に耐久度を1以上にできればクリーチャーは気絶状態になる。
モンスターやNPCは原則として死亡=完全死だ。死亡状態が意味を持つのはPCや重要NPCが蘇生できる可能性を持つ場合だけだ。
完全死
クリーチャーの耐久度が[致死点]に達した状態である。完全死は他の全ての状態に優先する。完全死したクリーチャーはゲームから取り除かれる。
特技の使用
クリーチャーは戦闘に関係する特技をして特殊な行動を行ったり、移動能力や戦闘能力、呪文の威力などを強化したりできる。
特技の使用手順
特技の宣言
クリーチャーは特技をどの対象に使用するかを宣言する。特技の宣言タイミングは様々なので特技データの[宣言]と[効果]の説明に従って処理する。
使用を宣言した特技は使用不能状態になる(特技の使用可能、使用不能状態については後述)。すでに使用不能状態の特技でも[再使用:余力(1)]の様に再使用コストが設定されている特技は使用不能状態でもコストを支払うことで使用できる。
効果の解決
特技の[効果]に従って効果を適用する。
攻撃が成功し、ダメージが6点だった。プレイヤーは〈強打〉を宣言しダメージを強化することにした。〈強打〉による追加ダメージはD6でダイス目は4だったのでダメージは6+4=10になる。
特技の使用制限
特技の重複使用
同じ特技は同一のタイミングで2回以上使用できない。異なる特技は原則同時に使用する事ができる。個別に制限がある場合は個別の制約が一般的なルールよりも優先される。
〈強打〉を1回の攻撃に2回使用することはできない。連続攻撃で2回の攻撃が成功した時に1回目と2回目のダメージにそれぞれ〈強打〉の効果を適用するのは効果が重複しないので可能だ。
〈強打〉と〈呪力強打〉は異なる特技なので1回の攻撃に両方を使用できる。
行動追加と行動修飾
特技の効果として即時、割込行動(攻撃、移動)、追加の主行動、行動順の追加を行えるものがある。このような特技によって追加された行動自体はそれぞれの行動ルールに従わなければならない。
割込攻撃と割込移動の効果を持つ特技を同一機会に両方使用することはできない。割込行動は1回の使用機会に1つしか行えないからである。
【防護】の呪文は割込行動なので同様に【防護】と他の割込タイミングの特技の両方を使うことはできない。
行動の追加でない特技の効果は判定やダメージ等の行動への修飾である。これらは先述の重複使用制限に掛からなければ併用できる。
特技の使用可能・使用不能状態
特技は使用可能か使用不能か状態をとる。使用不能状態の特技は特技の[回復]の条件を満たしたら再度使用可能になる。つまり、特技は[回復]してから次の[回復]までの間に原則として1回しか使用できない。通常、特技はシナリオ開始時点で使用可能状態である。
ただし、[再使用]で再使用コストが設定されている特技は使用不能状態でもコストを消費して使用できる。なお、使用可能状態の特技についても再使用コストで使用しても良い。この場合、特技は使用可能状態を維持する。
戦闘中の位置管理
戦闘中の位置管理について説明する。
戦闘グリッド
戦闘中の位置管理のために正方形のグリッドを使用する。
具体的な距離との換算が必要な場合、1マスは1辺が1.5mである。通常、マップは3m四方を基準として考えるので、それを4分割して1人分のスペースとして扱う。
移動方向と距離
グリッドは縦横斜めいずれの方向も同じ様に扱い、最短でたどり着けるマス目の数が距離になる。図の同じ色のマスが中心にいるクリーチャーからの同一距離になる。
クリーチャーの向き
戦闘中、クリーチャーは敵の攻撃などに対して自動的に(宣言がなくても)適切な方向を向く。なので気絶しているとか拘束されているなど特殊な状況でない限り、敵に背後から攻撃されることはない。
ただし、特技や呪文の効果で強制移動させられる時など、瞬間的にその時点の方向が必要になる場合がある。青いクリーチャーが赤いクリーチャーの方を向いている場合、前後左右は右図のようになる。右前は右としても前としても扱う。左前、右後、左後も同様である。なので、青いクリーチャーが後方に強制移動する場合は左後、後、右後のどれかに移動することになる。
移動
移動は次の手順で解決する。
移動の宣言と移動力の決定
移動の宣言
クリーチャーは主行動か補助行動で移動を宣言する。
移動力の決定で移動力が不足だったとしても移動を宣言した時点で行動の消費は決定する。
移動力の決定
クリーチャーの移動力を下表の通りに決定する。
| 行動種別 | 移動力 |
|---|---|
| 補助行動 | 1+脚力マス |
| 主行動 | 7もしくは2D6+脚力マス |
※ 主行動の移動でダイスを振った後に7を選択することはできない。
移動と移動力の消費
クリーチャーは移動力(1)を消費するごとに1マス進める。移動力は0未満にはできない。
「移動困難な地形」で後述するが移動力(2以上)のマスはあり得る。クリーチャーの移動力がマスに進入するのに必要な移動力より大きいならそのマスには進入できない。
クリーチャーは移動中、進行方向に対して後ろ(左後、後、右後)に進むことはできない。この制限は移動中だけである。一旦移動を終えたなら次の移動開始時には任意の方向に移動できる。
[脚力]の使用
クリーチャーは移動中に一度だけ脚力(1)を消費して移動力にD6を加えることができる。移動力(2以上)は使用できない。
脚力は移動中の任意のタイミングで使用できる。例えば、呪文などで移動力を減らされたタイミングで使用できる。
脚力の消費は主行動か補助行動の移動力の決定後だ。例えば[脚力:2]のクリーチャーが補助行動の移動で脚力を使う場合、まず補助行動の移動力(3)を決定してから脚力(1)を使って移動力を増やす。補助行動の移動力を決定する前に脚力を消費すると移動力を1点損するので注意すること。
ケネスは脚力(1)を消費して補助行動の移動力を増やすことにした。
D6は4だったので補助行動の移動力3(1+[脚力:2])を加えて7になり、[脚力:1]になる。
移動終了はキャラクターが移動終了を宣言した時なので移動力が0になった時点ではまだ脚力を使用できる。
敵の支配領域の影響や特技、呪文によって移動を終了させられたときは脚力を使用できない。これらによって移動終了となった時点で移動中ではなくなるし、直前に脚力を使っても直後に移動終了になるので無意味だからだ。
移動の終了
クリーチャーが移動の終了を宣言したら移動は終了する。
支配領域(ZOC)
クリーチャーは隣接マスにいる敵対的なクリーチャーの行動を制限することができ、クリーチャーの隣接マスのことを「支配領域」と呼ぶ。敵対的な相手の支配領域マスから別のマスに移動するときには《逃走》の対抗判定が必要だ。判定は移動するクリーチャーが能動側、移動を妨げるクリーチャーが受動側である。《逃走》の対抗判定の結果は次の表の通りになる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 能動側成功 | その移動の間、移動制限を受けずに移動できる。 |
| 半成功 | 判定した地点で移動力(1)を失う。受動側の支配領域のマスの移動力(2、本来の値+1)が必要。 |
| 受動側成功 | 判定した地点で移動力(2)を失う。受動側の支配領域は移動できない。 |
| 能動側失敗 | 判定を行った地点から移動できない。 |
同じ相手の支配領域を連続して移動する場合は判定は1回だけ行い、支配領域を移動中同じ効果を適用する。
2体以上の敵と隣接している場合は隣接している全ての敵との1対多の対抗判定を行う。判定結果のペナルティはそれぞれの敵ごとに適用される。
支配領域での移動の例
原則的なルールの説明だけではわかりにくいのでいくつか具体例を示す。
基本
敵の隣を通り抜ける場合は次のようになる。
右の赤のクリーチャーが(1)〜(5)の移動をしようしている。赤のクリーチャーは (2)までは問題なく移動できるが(2)から(3)への移動は青のクリーチャーの支配領域からの移動になるため《逃走》の対抗判定が必要になる。
青のクリーチャーの移動力を7とする。(2)まで移動した時点で残りの移動力は6。
対抗判定に成功以上なら制限なく移動できるので(5)まで十分に移動できる。
対抗判定に半成功の場合、(2)で現在の移動力から移動力(1)を失い残り移動力は5になる。敵の支配領域は1マスごとに移動力(2)を消費するので(2)→(4)までで残り移動力は1。(5)は敵の支配領域ではなくなるので移動力(1)で移動できるので(5)まで到達できる。
対抗判定が受動側成功なら(2)で移動力(2)を失い残り移動力は4。敵の支配領域を移動できないのでここで移動を終える。
能動側失敗なら(2)から先に移動できない。
逃走
敵から離れる場合の例は次のようになる。
赤のクリーチャーが青のクリーチャーから逃げるため主行動で移動しようとしている。赤のクリーチャーの移動力は3とする。
《逃走》が成功以上なら敵の支配領域を離脱できるので (1)〜(3)と移動できる。
半成功だった場合、判定した地点で移動力(1)を失ったなら残りは移動力(2)。(1)から先は青のクリーチャーの支配領域ではないので(2)まで移動できる。
受動側成功だった場合、判定した地点で移動力(2)を失ったなら残りは移動力(1)。(1)は青のクリーチャーの支配領域ではないので(1)まで移動できる。
能動側失敗の場合は移動できないので元の場所に止まったままになる。
複数の敵の支配領域
複数の敵に囲まれている場合、移動制限可能な全ての敵と1対多の対抗判定を行って移動制限を解除できないと移動できない。
赤のクリーチャーが青のクリーチャーから逃げようとしている。この場合、赤いクリーチャーが両方の青いクリーチャーに対し1対多の《逃走》の対抗判定を行う。移動力(5)で移動開始とする。
両方に成功なら(1)〜(3)、さらに移動力(2)残っているので図の外まで移動できる。
一方に成功、もう一方に半成功の場合、半成功の場合、移動開始地点で移動力(1)を失うが、移動力は4あるので図の外まで移動できる。
一方に半成功、もう一方が受動側成功だった場合、移動開始地点で移動力(1+2)を失うので(2)までしか移動できない。
能動側失敗の場合、移動できない。
2回以上の敵との隣接
複数の敵に囲まれている場合は1対多の対抗判定だが、別個に複数の敵の支配領域を通る場合はそれぞれに判定を行う。
赤のクリーチャーが(1)〜(4)に移動しようとしてA〜CのZOCを通過する場合、(1)に移動した時点でAと、(3)に移動した時点でB、Cと《逃走》の対抗判定を行う。
移動開始時に移動力(9)でA〜C全員に対して半成功だった場合、次の様になる。
(1)に移動して残り移動力(8)、ここで半成功で移動力(1)を失い残り移動力(7)、(2)〜(3)はAの支配領で移動困難なので2マス移動で移動力4消費で残り移動力(3)、(3)の地点でBとCに半成功で移動力(1+1)を失ったなら残り移動力(1)、(4)はBとCの支配領域で移動困難なのでこれ以上移動できない。結果、(3)の地点で移動を終了する。
移動に関するその他のルール
移動困難な地形
戦場の地形によってはクリーチャーの移動を困難にしたり、何らかの制約を与えるものがある。戦場でよくあるのは次のようなものだ。[地形効果]は次項で説明する。
- 通常地形
-
移動に制約はない。移動力(1)で1マス移動できる。
- 悪い足場
-
[地形効果:移動困難]
ぬかるんだ地面、足が沈み込む砂地、氷の上、ふくらはぎまでの雪のような歩きにくい地面などが当てはまる。
- 味方のマス
-
[地形効果:移動困難、移動終了不可]
味方のクリーチャーが占めるマス。そのクリーチャーが進入を認めている場合。
- 敵のマス
-
[地形効果:進入不可]
敵のクリーチャーが占めるマス。そのマスのクリーチャーが進入を認めていない場合。
- 部分的に物体が占めるマス
-
[地形効果:移動困難、移動終了不可]
通り抜けることはできるが、その場に止まって戦闘行為を行うには十分なスペースがないマス。邪魔になる程度の箱や岩があるなど。
- 大半を物体が占めるマス
-
[地形効果:進入不可]
通り抜けることができない大きな物体が占めるマス。壁や大きな岩、木などがあるなど。
地形効果
地形効果の説明は次の通りだ。
- 移動困難
-
移動困難な地形に進入するためには移動力(2)を消費しなければならない。
処理の煩雑さを排除するため原則として移動困難な地形の移動力は2だが、GMは移動力(3以上や乱数)を要求する地形を設定しても良い。このような地形は移動困難(3)や移動困難(D6+1)のように必要な移動力と共に表す。乱数の場合、必要な移動力は進入する直前に決めるし、クリーチャーごとに決め直す。このような地形に対して特技や呪文の移動困難を無視する効果は移動力を1軽減する(最低1)効果として扱う。
- 《運動》判定
-
対象マスに進入するには《運動》の判定に成功する必要がある。この判定は移動の一部であり別途行動を消費しない。判定前に移動力(n)を消費することで基準値に+nできる。
対象マスに進入するために必要な移動力は《運動》の判定を行った時点で消費する。《運動》の判定を行った時点で武器や焦点具は非準備状態になる。
判定に成功すれば対象マスに進入できる。
半成功の場合は再判定可能だが、判定ごとに移動力を消費する。
失敗したら移動を終了する。武器や焦点具はクリーチャーの居るマスに落下した状態になる。
- 移動終了不可
-
移動終了不可なマスは通過できるがそこにどどまれない。通過できないなら進入する前に移動を終えなければならない。
- 進入不可
-
進入不可のマスに入ることはできない。原則として他の物体がそのほとんど以上を占めているか侵入を妨害するマスは進入不可能である。
高低差
段差がある場所への移動も移動を困難にする。クリーチャーと相対的な比較で目安は次のとおりだ。目安は人間型のクリーチャーの場合である。例えばネコが頭の高さを登るのは通常地形だろう。このような判断はGMが行う。
- 腰より高いか低い
-
移動困難な地形である。
- 腰〜胸くらいの高さ
-
移動困難かつ《運動》判定が必要である。
- 胸から頭くらいの高さ
-
移動困難かつ不利な《運動》判定が必要である。
- 腰の高さより低い
-
移動困難かつ《運動》判定が必要である。この《運動》判定は「様々な状況」-「過酷な状況」-「落下」のルールに従う。
斜め移動の制限
図の青の様に移動前(1)と移動後(2)のマスに隣接するマスの一方が進入不可能なら直接(1)→(2)と移動できず回り込まなければならない。
赤の様に隣接マスの両方が進入不可能(3の場所)なら角を通り抜けることはできない。
隣接マスの一方か両方が移動困難か移動終了不可のマスは制限なく斜めに移動できる。
特殊な移動
呪文や特技の効果で発生する移動について説明する。
強制移動
移動先と移動経路は強制移動を発生させた特技や呪文の使用者が決定する。
敵の支配領域と経路上の移動困難と高低差±1を無視する。移動不可能の影響は受ける。
強制移動させられるクリーチャーは脚力を消費して移動距離をD6減らすことができる。
強制移動は行動ではないので即時行動や割込行動の対象にできない。
瞬間移動
移動先は瞬間移動を発生させた特技や呪文の使用者が決定する。瞬間移動には移動経路はなく、直接移動先に出現する。そのため、敵の支配領域と移動困難、高低差の影響は無視する。
瞬間移動に対して脚力を使用することはできない。
瞬間移動は行動ではないので即時行動や割込行動の対象にできない。
戦闘の例
サンプルキャラクターのケネス・ロイド・ウェバーとアルフォンス・フェイリィとゴブリン3体の戦闘を例に戦闘の様子を説明する。これは呪文や特技も使ったほぼ完全な戦闘の例である。
それぞれの主な能力は次の通り(攻撃回数〉、〈追加打撃〉は武器データに反映済みである)。
ウォーハンマー[ダメージ:2D4][回数上限:2]
バスタードソード[ダメージ:D8+1/ D10+1][回数上限:2]
長弓[ダメージ:D10][回数上限:1][距離:11]
近接攻撃[ダメージ:D8][回数上限:2]
遠隔攻撃[ダメージ:D10][回数上限:1][距離:10]
マスターはPCとゴブリンの間の距離を2D6で決めることにした。2D6は7で下図の様になっている。
マスターはゴブリンは近接武器を準備済みでPCは好きな武器を準備して良いとした。
ケネスは遠隔武器を持っていないのでウォーハンマーを構える。ウォーハンマーは焦点具でもあるので同調しておく。アルフォンスは1回は一方的に攻撃できると考えて長弓を用意した。
行動順を決定する。マスターは面倒なのでゴブリン側は同じ行動順で行動することにした。それぞれダイスを振り、ケネスは2、アルフォンスは9、ゴブリンは1だったので行動順はアルフォンス、ケネス、ゴブリンになる。これは戦闘が終わるまで変わらない。
アルフォンスは弓でゴブリンAを攻撃する。彼の長弓は10マスまでが「近射」なので補助行動で矢を装填してすぐに攻撃できる。D12+D10 を振って、5と4で9、ゴブリンAの防御は10と4で14で《防御》の基準値を超えたので失敗。長弓のダメージはD12で5点となった。
| アルフォンス | ゴブリンA | 結果 | |
| 攻撃1 | [5,4:9] | [10,4:14] | 攻撃成功:ダメージ5 |
ゴブリンAは余力2点を使ってダメージを軽減する。2D6は4で4点のダメージを軽減し1点のダメージを受ける。ゴブリンAの余力、耐久度は次のようになる。
ゴブリンA
| 攻撃1:[余力(2):軽減(4)] | → | [余力:1/3][耐久度:9/10] |
その後補助行動で3マス前進する。
ケネスは[魔那]を1点消費して魔力導出を行う。D6は5で魔力は5点になる。
ケネス
[余力:4/4][耐久度:12/12][魔那:1/2][魔力:5]
ケネスも補助行動で3マス前進する。
現在の位置は次の様になっている。
ゴブリン達の手番だ。マスターはゴブリンは脚力(1)を使って補助行動で移動し、攻撃すると宣言する。脚力の消費は移動後なので最低でも3マス移動できるため隣接マスに到達する。プレイヤー達はゴブリンが脚力を消費してくることを想定しておらず驚いたが読みが甘いと言わざるを得ない。マスターはゴブリンが近接武器を準備していると宣言した時点で行動順が後ならPCが近づいてこない場合は主行動で隣接、近づいてくるなら脚力消費と決めていた。
マスターはゴブリンA(図の一番上)はアルフォンス、C(一番下)はケネス、B(真ん中)はD6で1〜3でアルフォンス、4〜6でケネスとした。ダイスは2でアルフォンスとなった。
ゴブリンAの攻撃は1回目がD12=8、D10=3で達成値11の成功。D12>D10で連続攻撃の条件を満たしているので2回目はD12=4、D10=6で達成値10の成功。D12<D10で連続攻撃終了だが、[上限回数:2]なのでD12>D10だったとしても3回目の攻撃はない。アルフォンスは1回目に対してD12=7、D10=6で達成値13の成功。1回目を防御したので2回目の防御は不要となる。
| ゴブリンA | アルフォンス | 結果 | |
| 攻撃1 | [8,3:11] | [7,6:13] | 防御成功 |
| 攻撃2 | [4,6:10] | 不要 | 1回目防御成功により不発 |
ゴブリンBの攻撃は失敗した。
| ゴブリンB | アルフォンス | 結果 | |
| 攻撃1 | [10,7:失敗] | 不要 | 攻撃失敗 |
ゴブリンCの攻撃も失敗した。
| ゴブリンC | ケネス | 結果 | |
| 攻撃1 | [7,5:失敗] | 不要 | 攻撃失敗 |
PCにはツキがある様だ。
アルフォンスは弓をその場に投げ捨て(補助行動)、バスタードソードを抜く(主行動)。盾を構える余裕はないのでバスタードソードは両手持ちにする。主行動を消費したので攻撃はできない。
ケネスはゴブリンBを攻撃し、決定的成功、失敗。
ゴブリンBの防御はD12が11、D10が3で自動的失敗。
| ケネス | ゴブリンB | 結果 | |
| 攻撃1 | [12,3:決定的成功] | [11,3:自動的失敗] | 決定的成功 |
| 攻撃2 | [7,7:失敗] | 不要 | 攻撃失敗 |
決定的成功なので武器の[ダメージ:2D4]の最大値に判定時のD10の目を加えて11点のダメージ。ゴブリンは当然余力を使って軽減する。
ゴブリンB
| 攻撃1:[余力(3):軽減(10)] | → | [余力:0/3][耐久度:7/10] |
しかし、ダメージを軽減しきれなかった。決定的成功で1点以上ダメージを受けたので死亡判定が発生する。結果はD12=6、D10=9で15、[頑健値:10]なので失敗したので死亡する。ウォーハンマーがゴブリンのコメカミでも粉砕しただろう。やはりプレイヤーはツイているようだ。
ゴブリン側の行動。ゴブリンBは死んだのでゴブリンAはアルフォンスを、Cはケネスを攻撃する。
ゴブリンAの攻撃は失敗。
| ゴブリンA | アルフォンス | 結果 | |
| 攻撃1 | [9,5:失敗] | 不要 | 攻撃失敗 |
ゴブリンCの攻撃はケネスが防御に成功した。
| ゴブリンC | ケネス | 結果 | |
| 攻撃1 | [2,2:4] | [10,2:12] | 防御成功 |
アルフォンスはゴブリンAを攻撃する。残念ながらD12≦D10だったので攻撃は1回で終了だ。5点のダメージを与えた。
| アルフォンス | ゴブリンA | 結果 | |
| 攻撃1 | [6,6:12] | [8,2:10] | 攻撃半成功:ダメージ5 |
ゴブリンAは残り1点の余力を使って軽減する。
ゴブリンA
| 攻撃1:[余力:1:軽減3] | → | [余力:0/3][耐久度:7/10] |
ケネスはゴブリンCを攻撃し、失敗した。
| ケネス | ゴブリンA | 結果 | |
| 攻撃1 | [9,6:失敗] | 判定不要 | 攻撃失敗 |
ゴブリンAはアルフォンスを攻撃する。1回目の攻撃が半成功しD8=8。半成功なので1/2して4点のダメージを与える。更に連続攻撃の条件を満たしたので2回目の攻撃を行い成功で4点のダメージを与た。
| ゴブリンA | アルフォンス | 結果 | |
| 攻撃1 | [9,2:11] | [1,3:4] | 攻撃半成功:ダメージ4 |
| 攻撃2 | [3,3:6] | [7,8:失敗] | 攻撃成功:ダメージ4 |
アルフォンスは余力を使ってダメージを軽減する。ダイス目が悪くそれなりのダメージを受けてしまった。
アルフォンス
| ゴブリンAの攻撃1:[余力(1):軽減(2)] | → | [余力:4/5][耐久度:11/13] |
| ゴブリンAの攻撃2:[余力(1):軽減(1)] | → | [余力:3/5][耐久度:8/13] |
ゴブリンCはケネスを攻撃する。1回目が自動的成功だったので2回目の攻撃も行えるがこちらは失敗。ケネスは防御に半成功してダメージは2点。これは軽減せずそのまま受けることにした。
| ゴブリンC | ケネス | 結果 | |
| 攻撃1 | [11,7:自動的成功] | [4,7:11] | 攻撃半成功:ダメージ2 |
| 攻撃2 | [9,5:失敗] | 不要 | 攻撃失敗 |
ケネス
| ゴブリンCの攻撃1: | → | [余力:4/5][耐久度:10/12][魔那:1/2][魔力:5] |
アルフォンスにできることは攻撃することだけなので、ゴブリンAを攻撃する。
| アルフォンス | ゴブリンA | 結果 | |
| 攻撃1 | [8,8:失敗] | 判定不要 | 攻撃失敗 |
ケネスはアルフォンスを【治癒】で回復しようと思い呪文データを確認したところ【治癒】は魔力(1)を余分に支払うと補助行動で使用できる。自分も攻撃することを優先して補助行動で【治癒】を使用することにした。
D12=7、D10=6、達成値13で《対応呪文》に成功。しかしD10=1でアルフォンスの耐久度は1しか回復しなかった。
アルフォンス
| 【治癒】:1点回復 | → | [余力:3/5][耐久度:9/13] |
ケネス
[余力:5/5][耐久度:10/12][魔那:1/2][魔力:3]
続いてゴブリンBを攻撃する。
| ケネス | ゴブリンC | 結果 | |
| 攻撃1 | [5,3:8] | [10,3:失敗] | 攻撃成功:ダメージ7 |
| 攻撃2 | [8,7:失敗] | 判定不要 | 攻撃失敗 |
ゴブリンCは余力を使ってダメージを軽減する。
ゴブリンC
| 攻撃1:[余力(2):軽減(9)] | → | [余力:1/3][耐久度:10/10] |
ゴブリンAはアルフォンスを攻撃する。
| ゴブリンB | アルフォンス | 結果 | |
| 攻撃1 | [10,4:失敗] | 判定不要 | 攻撃失敗 |
ゴブリンCはケネスを攻撃する。
| ゴブリンC | ケネス | 結果 | |
| 攻撃1 | [6,4:10] | [8,8:失敗] | 攻撃成功:ダメージ6 |
| 攻撃2 | [3,3:6] | [6,8:失敗] | 攻撃成功:ダメージ8 |
相手はゴブリンとはいえ2回の攻撃成功のダメージは危険なので、余力で軽減する。
ケネス
| 攻撃1:[余力(1):軽減(5)] | → | [余力:4/5][耐久度:9/12][魔那:1/2][魔力:3] |
| 攻撃2:[余力(1):軽減(2)] |
ダメージの軽減が少なすぎる! しかし才能が彼を救った。ケネスには〔身かわし〕があるのでここから余力(1)をダメージ軽減に使用できる。
| 攻撃2:[余力(1+1):軽減(2+4)] | → | [余力:2/5][耐久度:7/12][魔那:1/2][魔力:3] |
アルフォンスはゴブリンAを攻撃する。
| アルフォンス | ゴブリンA | 結果 | |
| 攻撃1 | [6,1:7] | [9,6:失敗] | 攻撃成功:ダメージ11 |
| 攻撃2 | [12,1:決定的成功] | [3,5:8] | 攻撃成功の半成功:ダメージ6 |
凄まじい一撃が入った。2回目の攻撃は決定的成功だがゴブリンも防御に成功したのでダメージは半減する。D10+1の最大ダメージ11に判定時のD10の目1を加えて12点の1/2で6点になる。ゴブリンAはもはやダメージを軽減できないのでそのまま切り刻まれる。
ゴブリンB
| 攻撃1: | → | [余力:0/3][耐久度:-5/10] |
| 攻撃2: | → | [余力:0/3][耐久度:-10/10] |
ゴブリンAは耐久度が致死点に達したので死亡判定を行う必要もなく完全死する。
アルフォンスは補助行動で移動してゴブリンCに隣接しておく。
ケネスは先ほどと同じ行動をとる。ただし、今回の回復対象は自分にする。
《対応呪文》の判定はD12=4、D10=9で成功し、回復はD10=10。出目が極端だ。
ケネス
| 【治癒】:10点回復 | → | [余力:2/5][耐久度:12/12][魔那:1/2][魔力:1] |
続いて主行動でゴブリンCを攻撃したが失敗した。
| ケネス | ゴブリンC | 結果 | |
| 攻撃1 | [10,6:失敗] | 判定不要 | 攻撃失敗 |
ゴブリンCはもはや勝ち目はないと主行動で逃げようとする。まず、移動力は残りの脚力(1)を使ってD6=5、主行動の移動力はダイスをふらず7を選択、脚力の減少は移動後なので脚力1を加えて合計13。ゴブリンCはアルフォンスとケネスの両方の支配領域にいるので双方に対して1対多の《逃走》を試みる。アルフォンスもケネスもゴブリンを見逃す気はない。ゴブリンは「逃げ足」を持っているので判定が有利になりD12を2個振って好きな方を選択できる。判定はD12=8と5、D10=7だったのでD12=5を採用して達成値12、対抗判定はアルフォンスがD12=12、D10=7で失敗、ケネスがD12=2、D10=1で達成値3。ゴブリンの《逃走》はアルフォンスに対して成功、ケネスに対して半成功。
ゴブリンはケネスに対して半成功だったので移動力(1)を失って残りは移動力(12)である。ゴブリンはアルフォンスの移動制限を受けないため、右側に向かって一直線に移動する(実際には画像の外2マスまで移動するが見切れるので右端にゴブリンを記載している)。
アルフォンスもケネスも補助行動の移動ではゴブリンに追いつけないので追いかけるのを諦める。ケネスはまだ魔力が1点残っているので【治癒】をアルフォンスにかけておく(注意:第7サイクルはまだプレイヤーが全力でゴブリンを追いかける可能性があったのでマスターは戦闘終了にしていない。なのでケネスには行動機会が残っている)。【治癒】はD12=4、D10=1で成功し、回復量はD10=6でアルフォンスのダメージは全快した。
アルフォンス
| 【治癒】:6点回復 | → | [余力:3/5][耐久度:13/13] |
ケネス
[余力:2/5][耐久度:12/12][魔那:1/2][魔力:0]
2人が追いかけてこないので、ゴブリンは全力で走り去った。
ゴブリン1体を逃しましたが戦闘終了。幸運に恵まれたこともあってそれほどの被害なく勝つことができたが、余力が減少しているので休憩を取る必要があるだろう。だが幸いにも2人とも耐久度のダメージは残っていないので、休憩すればまだ探索を継続できる。
探索イベント
探索イベントは戦闘以外の行動を解決する手順である。ここに示す手順は完全な探索イベントの処理手順だ。1回の判定だけで結果を決定する場合などは適宜手順を省略しても良いが、行動順などが問題になる場合はこのルールを参照すること。
探索の手順
探索イベントは多くの場合作業判定になるためサイクル処理で解決する。
探索開始の確認
マスターが探索開始を宣言し、プレイヤーが探索開始を確認した時点で始まる。
探索開始の時点でマスターは探索の目的は何か、どのような手段をとるのか、終了条件(成功、失敗)は何かを決定しなければならない。終了条件は必ずしもプレイヤーに明かす必要はないが、目的と手段はプレイヤーとの間で明確にしておく必要がある。
プレイヤーが部屋の中にNPCの手記などが隠されていないか調べたいと言った。マスターは部屋の中で何か情報になりそうなものを探すという目的で、《仕掛》での作業とした。何があるかはわからないので目標値や終了条件はプレイヤーには伝えないことにした。
プレイヤーの1人が探索には参加せず、見張りに立ちたいと言ったので、マスターはそれを了承し見張りに立つキャラクターは《隠密》で見張りを行えるとした。
参加者と行動順の決定
イベントに参加するクリーチャーの行動順を決定する。探索イベントでは行動順の扱いは戦闘よりも単純で、原則として陣営ごとにまとめて行動順を決定する。つまり、PC側と敵側のどちらが先に行動するかだけを決めて行動すれば良いということだ。ただし、マスターが任意に行動順を決められないと判断した場合は戦闘と同じように行動順を決定する。
手記の探索の例では行動順はあまり重要ではない。マスターは探索と見張りの2グループで処理することとし、それぞれのグループ内の行動順は適当にして良いとした。
探索行動サイクル
クリーチャーの行動順に従って順番に行動を処理する。作業判定を行なっている場合は1サイクル分の成否判定と進捗、それ以外は一般行為判定を行うか判定の必要ない行動を処理することになる。
ほとんどの場合、探索イベントは戦闘イベントほどタイミングや行動量、位置関係にシビアではない。戦闘イベントの様に主行動と補助行動に分けて処理する必要はなく、補助行動に相当する行動は任意に行えることにして構わない。補助行動扱いになる行動も戦闘中などとは異なる。例えば道具の持ち替えは戦闘中なら主行動か主行動+補助行動が必要だが探索行動中は補助行動レベルだ。最終的にはGM判断だが数秒程度でできる準備などは補助行動扱いと見做して良い。
罠などがある場合、位置関係が重要になることがあるが、位置関係は戦闘のように個別の移動を管理するのではなく、サイクルごとの開始時点にどのクリーチャーがどこにいるのかを確認すれば良い。
マスターは探索開始時にキャラクターが部屋のどの辺りにいるかを決め、変更がある場合はサイクル開始時に宣言するようプレイヤーに指示した。また、探索は「作業のフォロー」が可能で、フォローに回りたいキャラクターはフォローしたいキャラクターの行動開始時に宣言することとした。
後は見張り、探索グループの順で処理することとし、見張りは《隠密》の判定、探索は《仕掛》での作業判定で処理する。
探索の継続判断
探索イベントはプレイヤーが探索をやめることを宣言するか、外的要因によって探索を継続できなくなるまでサイクルを繰り返す。
探索イベントには戦闘イベントの様に敵を全て倒したというような明確な終了条件がないため、何もないところで延々と何かないか探し続けるようなことが起こり得る。マスターはそれ以上捜索しても何もないことを明らかにして探索イベントを終了させても良い。
数サイクル捜索して日記を発見した。とりあえずの目的は達したが、一部のプレイヤーはまだ何かあるかもしれないと考え捜索を継続すると宣言した。しかし、もう何もないのでマスターはこれ以上何もないことを伝え、捜索を終了とした。ただし、プレイヤーが捜索継続を宣言したので捜索を終えたのはD6通常サイクル後とした。
探索終了の確認
マスターが作業の終了を宣言し、プレイヤーがそれを確認した時点で終了となる。
作業判定
作業判定は目的を達成するために幾つかの工程を必要とするような行動を処理する方法だ。また、ちょっとしたミスなら再判定可能な行動を解決するためにも使用する。例えば罠や鍵を外す、高さ10mの崖を登る、1Kmの遠泳、などの行動は作業判定で処理する。
作業パラメータの決定
作業判定を行うことになった場合、マスターは難易度や複雑さに応じて作業パラメータを決定する。言うなれば作業パラメータは戦闘における敵の能力に相当する。決定すべきパラメータは以下の通りである。
作業パラメータは作業の進捗状況によって変化させることもできる。進捗状況でパラメータを変化させる場合、[段階]で進捗度に応じて変化するパラメータを、それよりも前に作業全体で共通のパラメータを記述する。
- 作業量
-
作業量は1以上の値で進捗(後述)によって減少し、0になったら作業は完了する。作業量が大きいほど手間がかかる作業ということだ。作業量が1〜3なら1回の成功、4〜7なら2回、8〜10なら3回、11〜14なら4回が目安になる(作業量=成功回数×3.5)。
- 段階
-
作業パラメータが状況によって変化する場合に使用する。[段階:条件]の形式でパラメータが変化する条件を示し、その後にパラメータを記述する。[目標値]と[半成功]、[失敗]は進捗に応じて変化することの多いパラメータだ。[サイクル]も段階に応じて変化する可能性がある(途中から時間のかかる作業になることはありえる)。
条件には残作業量がよく使われるが、[段階:午前]と[段階:午後]の様に時間によってパラメータを変えることもできる。
- 目標値
-
判定時の目標値だ。原則的には[目標値:2]で作業量で難易度を調整するが、[目標値]が高く[作業量]が少ない判定もありえる。「複雑な鍵」の例の様に[段階]を設けて[目標値]に変化をつけることもある。
- 半成功、失敗
-
判定時に半成功か判定失敗した時のペナルティである。ペナルティが複数列挙されている場合は全てを適用する。
- 進捗減少、後退
-
進捗減少は進捗半減、進捗1、進捗なしのいずれか。進捗半減は効果値を1/2(端数切り捨て)にする。進捗1は1だけの進捗が得られる。進捗なしは進捗を得られない。
後退は進捗を得られないばかりか作業量が増える。後退D6ならD6だけ作業が後退する。
後退は余力(1)を支払うことで「進捗なし」にすることができる。
- 材料
-
1回分の作業に必要な材料を失う。材料の残りがない状態でこのペナルティになったら作業は失敗する。
余力(1)を支払うことで無視できる。
- 作業断念
-
作業完了は不可能だと判断して作業をやめる。技能基準値や強度が上昇する、有力なアイテムを入手するなど明らかな前進がない限り作業を再開できない。
余力(1)を支払うことで無視できる。
- 失敗確定
-
決定的なミスをした。作業に失敗する。
余力(1)を支払うことで無視できる。
- サイクル
-
作業1サイクルに必要な時間だ。省略時は通常サイクルでの作業だが、それ以外の場合は緊急サイクルや1時間などのように設定する。
- 説明
-
作業の説明である。作業失敗時の効果と作業完了時の効果は必ず決めておく。
作業判定は判定時の「失敗確定」以外にも失敗になることがある。後退しすぎて作業量が限界を超えた、時間切れ、材料が無い状態で材料の追加が必要になったなどがよくある作業失敗条件だ。このような作業失敗条件があるならそれも決めておく。作業失敗の条件によって失敗時の効果が異なることもあり得る。例えば鍵開けで失敗確定なら鍵を壊してしまって開けられなくなるが、時間切れなら敵がやってくるなど。
失敗した作業は原則何の成果も生まないが、作業によっては作業は途中までの成果を評価することもある。例えば、塹壕を掘るといった作業がこの様なパターンで完了できなかったとしても部分的な効果が得られるのは妥当だ。
作業判定の進め方
作業は探索イベントとして扱い、サイクル毎に行動を処理する。作業では1回の判定失敗が即作業全体の失敗にはならないが、1回の判定成功で作業が完了するとも限らない。作業判定は次の手順で行う。
- 毎サイクル1回、作業参加者はマスターが指定した技能や能力値で判定する。
- 判定結果によって作業進行か作業ミスの処理を行う。
- 毎サイクルの終了時に作業終了を判断する。作業完了、作業失敗確定、作業を諦める場合はそれぞれの結果を適用し作業を終える。作業を継続する場合は1から繰り返す。
判定
通常、作業判定は目標値に対する基本行為判定で、判定結果は次の通りである。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | 通常は進捗のダイス目を最大として扱い判定時のD10の目を加える。 |
| 成功 | ダイスを振って進捗を決定する。 |
| 半成功 | [半成功]の効果を適用する。 |
| 失敗 | [失敗]の効果を適用する。 |
| 決定的失敗 | [失敗]の効果を適用する。当人も味方も余力、特技、呪文で結果を改善できない(経験値は使用できる)。 |
作業進行
判定が成功の場合か半成功で進捗がある場合は作業が進行する。作業の進捗はダイスと判定に使用した技能の効果強度から次の通りに求める。進捗の分だけ[作業量]を減少させ、[作業量:0]に達したら作業は完了する。
| 進捗(効果値) | ダイス + 効果強度 |
|---|
進捗を決定するときに振るダイスは次の表を参照すること。
| ダイス | 設備・道具 |
|---|---|
| 1〜D4 | 不十分な道具しかない場合。なんとか使える道具などがある場合がD4、ろくに使えるものがなければD2や1になる。 |
| D6 | 標準状態での進捗。作業によって標準状態に何が必要かは異なり、鍵開けや罠の解除にシーブズツールがある場合が標準だが、《運動》や知覚に頼る作業(隠された物を探す、物を隠す、など)は道具を使用していない状況が標準状態なる。 |
| D8 | 専門の道具があるような場合。鍵開けなら専用のピッキング道具がある、登はんで鉤爪やアイゼンなどの滑落しづらくする道具を持っているなどの場合。 |
| D10 | 恵まれた設備が揃っている場合。罠の解除や鍵開けなら専用の工房などで作業するなど。登はんならハンマーとハーケン、ロープがある、などの状況。 |
宝箱の罠をシーブズツールで解除する場合の進捗はD6、作業台や様々な工具が十分にある工房での作業ならD10、数本の針金とナイフくらいしか無いならD4になる。
先述の宝箱の罠[作業量:7]を解除する。キャラクターの技能は《仕掛け:14:1.5》だ。
進捗のダイスは通常通りD6で効果強度は強度1.5の端数を切り捨てて1、結果D6+1になる。
1サイクル目はD12=5、D10=3で成功した。進捗はD6=3で効果強度1を加え合計4。[作業量:3]になったがまだ作業は必要だ。
2サイクル目はD12=7、D10=2で成功し、進捗はD6=1で進捗2。まだ、作業は終わってないが[作業量:1]になったのでもう一回成功すれば作業完了だ。
作業ミス
判定結果が半成功か失敗でペナルティがある場合、それを適用する。
判定失敗の場合、クリーチャーは余力(1)を消費することで半成功時のペナルティに軽減することができる。余力による軽減の効果はそれぞれのペナルティの説明を参照すえうこと。複数のペナルティがある場合は個別に余力を消費しなければならない。判定に決定的失敗の時は余力を消費できないのでこれは行えない。
クリーチャーがペナルティとして「失敗確定」を適用した場合、材料の残りがない状態で失敗した場合、作業は失敗に終わる。
3サイクル目の判定は半成功だった。[半成功:後退D4]なので進捗が後退する。D4=4だったので[作業量:5]になってしまった。
4サイクル目の判定は失敗だった。[失敗:後退D6、失敗確定]なのでこのままだと作業失敗が確定するが余力(1)を消費して「後退D6」に留める。D6=3で[作業量:8]になってしまった。
作業の継続・終了判断
1サイクル毎の作業進行、作業ミスの処理をしたら作業終了か作業継続かを判断する。作業終了となるのは次の3パターンでそれ以外の場合は作業を続ける。
作業完了
[作業量:0]に達したら作業を完了して終了する。その作業の成果を得る。
作業失敗
作業失敗になるのは次の様な場合である。これら以外にも個別に失敗条件が定められているならそれに従う。
- 「失敗確定」を適用した。
- 材料が不足の状態で材料を消費しなければならなくなった。
- 制限時間がある場合、その時間内に作業を完了できなかった。
作業失敗になったら定められた失敗効果を適用する。何が原因で作業失敗かによって失敗効果が異なることはあり得る。
作業中断
作業完了でも失敗確定でもない状態で一旦作業を諦めることもできる。諦めた作業の成果はないが失敗でもないので失敗確定時の効果も発生しない。例えば、宝箱の罠の解除の完了が厳しくなったため諦めると言うのは十分あり得る。
作業によっては中断が失敗と等しい場合もある。例えば、崖の登はん途中でを諦めたら落下するし、遠泳を途中で諦めたら溺れる。品物の作成を途中で諦めたら品物を納品できない。このような中断できない作業を途中で諦めたら失敗確定となる。
マスターが認めるなら諦めた作業は再開できる。再開する際、以前の進捗は無駄にはならないが中断した期間によって[作業量]をある程度増やしても良い。一旦やめた作業を再開するときにはそれなりのオーバーヘッドが生じるものだ。
このキャラクターは[余力:3/4]になった上[作業量:8]と開始前よりも難しい状況になってしまった。まだダンジョンの探索は終わっていないのでここでこれ以上余力を消費したくない。一旦、宝箱の罠解除は中断して探索を再開することにした。
複数人での作業
作業内容によっては複数のクリーチャーが作業に参加したり、作業自体には加わらないまでも作業のフォローをすることは十分あり得る。このような状況での取り扱いについて説明する。
複数の作業者
多くの場合、2人以上で一つの作業を進めることができる。基本的な扱いは次の様になる。
- 作業に参加するクリーチャーそれぞれが毎サイクル1回ずつ作業処理を行う。
- 作業の進行、後退は参加者全員の結果を単純に足し合わせる。
- 作業完了になるのは一人の作業の場合と同じく[作業量:0]に達した場合である。
- 作業失敗するのは参加者の誰かが失敗の条件を満たした時だ。
- 作業を諦めるのは全員が作業を諦めた場合である。一部の参加者が作業を諦めた場合でも残りの参加者だけで作業を継続することができる。一度諦めた参加者も作業が終わっていなければ再び参加することができる。
作業は状況によって上記の原則どおりではない場合もあり得る。マスターの判断で部分的なルール適用を適宜変更しても良い。参考までに例を挙げる。
- 1サイクルの進捗は参加者のうち最大の1人だけを採用する、上限を制限するなど。完全な並行作業ができない場合、この様な制限を設けるのは妥当だ。
- 参加者全員が作業失敗確定しない限り作業を続けられるというのもあり得る。例えば塹壕掘りなどの単純作業の場合、一部の参加者が失敗確定しても他の場所は作業できるし、早く終わったメンバがいれば失敗確定した場所の作業を肩代わりできる。
作業のフォロー
作業のフォローに入ったクリーチャーは判定しないが、作業しているクリーチャーの余力消費を肩代わりできる。複数人で作業する場合に一部のクリーチャーがフォローに回ることもできる。例えば技能の高い2人が作業し、他の3人がフォローに回るなどすれば効率良く作業を進めることができる。
マスターは作業によってはフォローできる最低限の技能基準値を設定しても良い。例えばある罠の解除のフォローには《仕掛》の基準値が9以上必要といった具合。
対抗判定での作業
あまりないが対抗判定での作業もあり得る。対抗判定での作業では判定結果と進捗の算出は次の様になる。
判定結果
対抗判定での作業の場合判定結果は次の様になる。進捗を進められるのは能動側だけだ。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 能動側成功 |
ダイスを振って進捗を決定する。 能動側が決定的成功ならダイス目は最大値とし、判定時のD10の目を加える。 |
| 半成功 | 進捗は成功時の1/2(端数切り捨て)になる。 |
| 受動側成功 | 半成功時のペナルティを適用する。 |
| 能動側失敗 | 失敗時のペナルティを適用する。 |
進捗
対抗判定での作業には受動側がいるので受動側の効果強度を進捗から引く。
| 進捗(効果値) | ダイス + 能動側効果強度 - 受動側効果強度 |
|---|
呪文の使用
呪文は探索イベントでも使用できる。呪文の使用手順は戦闘イベントの通りだが、呪文の使用は緊急サイクルでの処理を前提としているので探索のサイクル(通常サイクル)の場合、時間に余裕がある。そこで行動順などが問題にならない場合、次のように処理を簡略化する。これが問題になる様ならそのイベントは緊急サイクルとして処理する。
魔力導出
通常サイクルでの処理中に呪文を使用する場合は魔那を2点以上消費して一度に2D6以上の魔力導出をして良い。
呪文の使用
複数回の呪文を使用しても良い。
特に危険のない落ち着いた状況で呪文を使用する場合、呪文使用の判定は常に有利として良い。
緊急サイクルで行動中は落ち着いた状況ではない。通常サイクルでの行動中はGMの判断だが、敵が迫ってきている(逃走中である)などの場合を除いてほとんどは落ち着いた状況とみなせる。回復イベント中は落ち着いた状況だ。
キャラクターの1人が探索中に呪文で仲間の治療をしたいと言った。この場合、1サイクルの間に好きなだけ魔力導出を行い、必要なだけ呪文を使っても構わない。
魔力の消滅
通常サイクルで行動中に魔力を維持している間は能動行動として《呪文投射》、《対応呪文》、《儀式魔法》以外の技能を使えない。能動行動としてこれら以外の技能を使用したなら魔力は消滅する。1通常サイクルほどの時間を別の行動に費やす必要がある状況では魔力の維持に集中力を割くことができないためだ。
緊急サイクルと同じくイベント終了時に魔力は消滅する。
盗賊のニノンが宝箱の罠を解除している。ケネスは罠の解除が終わるまで不測の事態の備えて魔力を用意しておくことにした。ケネスはニノンの作業をフォローするなど他の行動は一切行えない。また、生み出した魔力は罠解除の作業終了時(成否にかかわらず)に使用されることなく消滅する。
特技の使用
特技によっては探索イベントで使用されるものがある。特技の使用手順は戦闘イベントと変わらないので戦闘イベントの手順通りに解決する。
回復イベント
キャラクターの消耗を回復するためのイベントについて説明する。
小休止
小休止は戦闘や探索を行っていなければ任意のタイミングで取ることができる。小休止には5分かかる。
小休止を行った場合、次の回復効果を得る。
- 前回の回復イベント(小休止、休息、休憩)以降に失った余力の1/2(端数切り捨て)を回復する。
- 前回の回復イベント(小休止、休息、休憩)以降に失った魔那の1/2(端数切り捨て)を回復する。
- 脚力を最大値まで回復する。
- 回復タイミングが小休止の特技が再使用可能になる。
ケネスは戦闘で[余力:2/5][魔那:1/2][脚力:0/1]となっている。この戦闘イベントの直後に小休止をとった。前回の回復イベント直後の状態は[余力:4/5][魔那:2/2][脚力:1/1]だったとする。
余力は2点の消耗なので半分(端数切り捨て)で1点回復する。
魔那は1点の消耗なので半分(端数切り捨て)だと回復は0。
脚力は全快する。
結果、ケネスは[余力:3/5][魔那:1/2][脚力:1/1]となる。
休憩
休憩は休息と休息の間に1回だけ行うことができる。休憩には少なくとも食事と30分を必要とする。ある程度の安全が確保できる状態でなければ休憩を取ることはできない。例えば、ダンジョンの中で未探索の通路や部屋と隣接した場所などは安全が確保できていないとみなす。
休憩を行なった場合、次の回復効果を得る。
-
余力と魔那をそれぞれ最大値の(D6+4)/10(端数切り捨て)まで回復する。回復前の値から現在値が1点も回復しないなら1点だけ回復する。
D6は2個振って好きなように余力と魔那に割り当てて良い。
魔那を持たないキャラクターは2個振ったダイスの大きい方を余力の回復に充てて良い。
- 脚力を最大値まで回復する。
- 回復タイミングが休憩、小休止の特技が再使用可能になる
ケネスは[余力:0/5]、[魔那:1/2][脚力:0/1]の状態で休憩した。
余力はD6=4だったので最大値の80%まで回復し[余力:4/5]、魔那はD6=5だったが最大値2の90%(端数切り捨て)は1なので現在値から回復していないので1点だけ回復して[魔那:2/2]。脚力は[脚力:1/1]になる。
休息
休息は十分な食事と睡眠をとっている状態を指す。休息は1回あたり7時間以上を必要とし、そのうち6時間以上を睡眠にあてなければならない。見張りなどのために睡眠が分割されても良い。休息と休息の間は12時間以上の時間が経過しなければなならない。通常状態のキャラクターは休息終了時に次の回復効果を得る。状態異常の場合は各状態異常のルールに従う。
- 耐久度をD6点回復する。
- 余力、魔那、脚力を最大値まで回復する。
- 回復タイミングが休息、休憩、小休止の特技が再使用可能になる。
その他回復イベントにまつわる処理
回復イベント中の呪文使用など
回復イベント中に呪文などで回復することはできる。余力や魔那の回復は呪文などを処理した後で行う。
ケネスは戦闘を終えて[耐久度:4/12][余力:1/5]、[魔那:1/3]になっている。小休止を取って余力と魔那を回復したいのだが耐久度も回復したい。
彼はまず、呪文で耐久度を回復する。魔力導出のため魔那を消費し[耐久度:12/12][余力:1/5]、[魔那:0/3]となった。
続いて小休止で余力と魔那を回復する。前回の回復イベント直後の状態は[余力:4/5]、[魔那:2/3]だた。余力は前回の回復イベントから3点減少しているので1点の回復。魔那は2点の減少(戦闘で1、耐久度の回復のために1だが、この間に回復イベントは行っていないので前回の回復イベント直後の状態からの差である2の減少として計算)なので1点回復する。最終的に、[耐久度:12/12][余力:2/5]、[魔那:1/3]になる。
回復の適用範囲
回復イベントは原則的にパーティ全体に適用する。例えば、A、B、Cの3人がいるときにAだけが小休止をとってBとCは小休止しないというのはできない。
回復イベントの中断
小休止と休憩は敵の襲撃を受けるなどで中断された場合、回復イベントはキャンセルされる。余力や魔那、耐久度の回復は行えないが、キャンセルされた回復イベントは取り直すことができる。休息は敵の襲撃などで一時的に中断されても30分以内に再開できるならキャンセルされない。
ケネスは戦闘を終えて小休止を取ろうとしたら、ゴブリンに襲われた。このゴブリンとの戦闘はによって小休止が中断されたのでケネスは余力と魔那を回復できない。
ケネスはゴブリンをなんとか倒し、今度こそ小休止を取る。この時の回復は小休止中断前と小休止中断となった両方の戦闘での消耗を対象にする。中断された小休止はキャンセルされたため、最初の戦闘までの消耗が回復の対象になるためだ。
技能
ここでは各技能でどのようなことができるか、典型的な技能の使用法にはどのようなものがあって結果をどのように評価するかを説明する。技能は次の書式で説明する。
《主・副近接》
[主能力:武勇][副能力:なし]
格闘、刀剣、槍・長柄武器、斧・鈍器を使用した近接戦闘を行う技能だ。…
《技能名》は技能の名称である。
[主能力:武勇]、[副能力:なし]の部分は技能を算出するために使用する能力値である。主能力は能力値の値をそのまま使用する。[反応/技術]のように2つの能力値が書かれている場合は能力値の平均を使用するが、[能力1/能力2]の能力1が奇数なら端数切り上げ、能力2が奇数なら端数切り捨てる。副能力は能力修正値を加算する。
[戦闘技能]がついている技能は戦闘技能、ついていなければ陽戦闘技能である。戦闘技能と非戦闘技能では技能経験値取得と成長に違いがある。
以降のテキストは技能に関する説明である。主な使用方法や判定の指針についても説明する。
原則として技能は対象とする行動の能動側と受動側の行動の両方の技術を含む。例えば、隠密行動を行うのもそれを発見するのも《隠密》で判定する。この原則に基づくとほとんどの対抗判定は能動側と受動側が同じ技能を使用して判定すれば良いということになる。
例外的に戦闘(《主・副近接》、《投射》、《防御》)や呪文関連(《呪文投射》、《対応呪文》、《儀式魔法》、《生体防御》、《精神防御》)の技能は能動行動と受動行動の技能が分かれる。
《主・副近接》
[主能力:武勇][副能力:なし][戦闘技能]
格闘、刀剣、槍・長柄武器、斧・鈍器を使用した近接戦闘を行う技能だ。格闘、刀剣、槍・長柄武器、斧・鈍器のどれが《主近接》でどれが《副近接》かはクラスごとに指定される。《主・副近接》は特技で許可された場合以外、受動行動に使用できない。
技能の成長に関して《主近接》と《副近接》は同一の技能として扱う。キャラクターが《副近接》を使用して技能成長のチェックを得た場合、《主近接》のチェックを増やす。1回のシナリオでは《主近接》か《副近接》のどちらかで1回だけチェックでる。
技能成長では《主近接》だけを成長させることができ、《副近接》は《主近接》の成長に伴って自動的に成長する。基準値は《主近接》が1点成長すると《副近接》も1点成長する。強度は《主近接》の1/2で端数は0.5きざみで丸める。例えば《主近接》の強度が1.5なら《副近接》の強度は1.5./2=0.75なので丸められて0.5になる。
《投射》
[主能力:技術/反応][副能力:武勇][戦闘技能]
弓や投擲武器など遠隔武器で攻撃する場合の技能だ。《投射》は敵の攻撃を防御するための受動側の技能として使用できない。遠隔武器はクラスごとに主遠隔と副遠隔に分けられるが、いずれも《投射》で判定する。
遠隔武器の射程内でも目視できないものは攻撃できない。暗所で相手が見えない可能性がある場合は《隠密》で相手を発見しなければならない。逆に相手を目視できていれば明るさや視界による影響は受けない。
《防御》
[主能力:反応][副能力:なし][戦闘技能]
近接戦、射撃戦に対する防御専門の技能で《主・副近接》、《投射》への受動行動は本技能で判定する。呪文によっては受動判定に使用する技能が《防御》のものもある。
《生体防御》
[主能力:天命][副能力:判断][戦闘技能]
《生体防御》はクリーチャーの炎や冷気、電撃などに対する抵抗力だ。ゲーム中では主に耐久度にダメージを与える呪文に対する防御手段として使用し、呪文の対抗判定で[防御:《生体防御》]と指定されている場合の受動側の判定に使用する。
《精神防御》
[主能力:判断][副能力:天命][戦闘技能]
《精神防御》はクリーチャーへの精神的な影響への抵抗力だ。ゲーム中では主に精神的な効果を持つ呪文に対する防御手段として使用し、呪文の対抗判定で[防御:《精神防御》]と指定されている場合の受動側の判定に使用する。
《逃走》
[主能力:判断/反応][副能力:天命]
戦闘中に敵の妨害をかいくぐって移動する、反対に隣接する敵を自由に移動させないために使用する。隣接している敵から離れる場合や敵の隣接マスを移動する場合、《逃走》で半成功以上の結果が必要である。処理の詳細は戦闘ルールの「支配領域」を参照すること。
《運動》
[主能力:反応][副能力:技術]
速く走ったり、何かを飛び越えたり、よじ登ったりするなど、運動能力を要求される場合に使用する。跳躍など一瞬で終わる行動は1回の判定で結果を出す。遠泳や登はんなどある程度時間が掛かる行動は作業として解決する。
《運動》の基本行為判定
例えばそれほど高くない(作業は必要ない程度の)壁をよじ登れたかとか用水路を飛び越えられたかとかの行動は基本行為判定で解決する。成功すれば目的を達する。半成功は成功の基準に達していないので失敗と同じだが、失敗の状況をマシにしても良い(例えばを越えるのに失敗なら転倒するが半成功なら立っていられるとか)。状況が許すならば半成功や失敗時に余力(1)を消費することで「失敗する前にやめたこと」にできる。
判定時の目標値は求められる成果と状況を総合的に判断して決める。難しければ目標値を設定するし、簡単なら基準値に修正を与える。例えば幅跳びなら跳躍しなければならない距離、地面の状況、助走が十分取れるか、荷物を持っているか、などを考える。登はんなら勾配、壁面につかみどころはあるか、が重要だ。水泳なら水の流れや水温を考慮する。
行動の助けになる道具などがあれば技能の基準値に+1〜+3の修正を与えてもよい。例えば登はんならルートを示してくれる先行者がいるだけで+1の修正があっても良い。岩登りで先行者がルートを切り開きつつ、難しい場所にロープを用意してくれるなら+2くらいになる。水泳なら浮き袋があると+1の修正か修正がなくとも失敗した時のペナルティがマシになる。
《運動》の基本行為判定は一瞬で終わるので緊急サイクル中でも使用するが、戦闘中などの緊迫した場面で使うものではない。敵に追われているような場面で使うことは想定できるが、まだ戦闘になっていない(敵が主行動で最大の移動をしても若干余裕がある程度離れている)程度の余裕がある状況であるべきだ。
戦闘中のこういった行動は戦闘中の移動ルールや〈特技〉に組み込まれているのでそちらを使うこと。
冒険者の《運動》に何mジャンプできたとかの記録を厳密に求める意味はないが求め方を説明しておく。
判定に成功しているなら達成すべき最低限の記録はクリアしているのでそれに係数×D10(単位)を加えれば良い。例えば幅跳びで少なくとも3mとジャンプするときなら300+10×D10cmというふうに求める。半成功の時は微妙に足りてないのでD10cm足りなかったとかにすれば良い。
《運動》の対抗判定
同一条件での対抗判定
誰が速く走れるかの様に同一条件で競うのは能動側、受動側のない対抗判定で解決する。参加者同士の条件は同じなので目標値は設定しなくて良い。
シンプルに解決するなら参加者がそれぞれ判定して判定し、成功したら効果値を「ダイス+効果強度」で求める。決定的成功時はダイス目を最大値とし判定時のD10を加える。失敗したら効果値は0だ。効果値が大きい方の勝ちになる。ダイスは何でも良いが決着がつきやすいようにD10くらいにした方が良いだろう。
同一条件でない対抗判定
バスケットボールで1on1の勝負をする様な場合だ。これは普通に能動側、受動側のある対抗判定で解決する。能動側がどちらかは競技によって異なる。バスケットボールの1on1なら攻撃側が能動側、守備側が受動側だが、野球のように投げたボールを打てるかどうかならピッチャーが能動側だ。基本的には先に仕掛ける方が能動側になる。
判定は能動側成功なら能動側のポイント、能動側失敗か受動側成功なら受動側がポイントを防いだ、半成功ならやり直しだ。バスケットボールの1on1なら半成功はポイントにならなかったが攻撃側がリバウンドをとってもう一回攻撃、投げたボールを打てたかどうかならファウルにして粘った、と言う感じだ。
効果値を求めるかどうかは競技によって異なる。バスケットボールの1on1なら得点したかどうかだけなので効果値を求める必要はないだろう。野球の場合、D10で1〜4は単打、5〜7は二塁打、8〜9は三塁打、10は本塁打のように効果値を求める。
勝負の回数を増やす
1回の判定で勝負をつけるのが味気ないなら3回判定して効果値の合計の高い方とか、先に効果値の合計が20(勝負毎に適当に設定する)に達した方が勝ちとしても良い。初期状態に差がある場合は効果値の初期状態い差をつけておくこともできる。
《運動》の作業判定
ある程度時間がかかり、途中何度か失敗の可能性があったり疲労したりすることを想定しなければならない様な《運動》だ。登はん、遠泳、長距離走があり得そうな状況と言える。作業判定のパラメータは以下を参照すること。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 |
1〜 |
マスターが想定する判定回数×2〜4とする。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 2〜 |
《運動》の基本行為判定と同じように考えるが多少異なる。状況の良し悪しは基本行為判定と同じく考慮する。1回毎に出すべき成果は考慮しない。例えば3mを1回の判定で登っても2回に分けて登っても問題ないからだ。荷物(背負い袋や武器など)の影響は運動の種類によって異なる。例えば冒険中の登坂や長距離走はほとんどの場合荷物を持ったままが前提だが、荷物を持ったまま遠泳するのはかなり難しい。 |
| 半成功、失敗 | - |
長距離走は[半成功:進捗半減][失敗:進捗1、作業断念]程度。制限時間に間に合うかどうか。 水泳は[半成功:進捗1][失敗:進捗無し、失敗確定]程度。失敗確定時は溺れる。流れが行動を妨げる場合、成否に関わらず進捗を減らす。 登はんは滑落の危険性によって[半成功:進捗なし][失敗:後退D4〜D6]から[半成功:後退D4〜D6][失敗:後退D6、失敗確定]程度。失敗確定は滑落する。 |
| サイクル | 緊急/通常 | 敵に追いかけられている時なら緊急サイクルだが、一般的には通常サイクルだ。 |
行動制限
体勢が不安定な状況下で十分に行動できるかどうかを判断するために使用する。足場の悪い場所や揺れる船の上などでの戦闘時にクリーチャーが問題なく行動できるかを判定するのが一番多い。揺れる船の中などで《仕掛》や《トリック》を使うときにも使う。
サイクル開始時にその場にいるクリーチャーはそれぞれ目標値に対する《運動》判定を行い、結果は次の様になる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | 次のサイクルも判定なしで自由に行動できる。 |
| 成功 | そのサイクルの間自由に行動できる。 |
| 半成功 |
そのサイクルの間、《主・副近接》、《投射》、《逃走》、《運動》、《隠密》、《仕掛》、《トリック》、《呪文投射》、《対応呪文》、《儀式魔法》が不利になる。 移動力は1/2(端数切り捨て)になる。 |
| 失敗 |
基本的に全ての技能判定は不利になる(《事情通》、《洞察》、《野外活動》、《話術》はマスターの判断による)。 移動はできない。 〈一般戦闘行動〉、〈戦闘特技〉、〈武技〉は使用できない。 |
《隠密》
[主能力:判断][副能力:反応]
隠れたり、見つからない様に移動したりする隠密行動を行うための技能であり、逆に隠れているものの捜索や、聞き耳を立てる等、何かを発見しようとするための技能でもある。《隠密》は対クリーチャーの技能で、物を隠したり、隠された物や秘密の扉等を発見したりするためには《仕掛》を使用する。
《隠密》の対抗判定は隠れて行動しようとする側を「隠密側」、それを見つけようとする側を「発見側」と呼び、処理を簡便にするため、行動は発見側を先に、隠密側を後にまとめて処理する。隠密行動の対抗判定では常に発見側を能動側、隠密側を受動側として処理する。そのため、隠密側は《隠密》とは別に自分の行動順で行動できる。
クリーチャーの状態
隠密行動や発見に関してクリーチャーが周囲に注意を払っているか、隠れて行動するつもりがあるかは重要である。発見側、隠密側のクリーチャーは次の状態のいずれかをとり、状態によって判定を行えなかったり、自動的に見つかったりする。クリーチャーの状態はプレイヤーの宣言によって変化する。
| 状態 | 判定 | 説明 |
|---|---|---|
| 警戒 | 通常 |
クリーチャーは十分周囲に気を配っている。冒険中のキャラクターは基本的にこの状態とみなす。 「隠れる・発見する」、「聞き耳」いずれの状況でも発見側は《隠密》判定を行える。 |
| 通常 | 不利 |
クリーチャーは周囲を特に警戒していない。冒険中でないとき、例えば宿屋にいる街中で買い物をしているなど普通の生活を送っている場合が当てはまる。 |
| 油断 | 非常に不利 |
クリーチャーは周囲を全く警戒していない。別のことに集中しているとか非常にリラックスできる環境にある場合が当てはまる。 |
| 無警戒 | 不可 |
クリーチャーは警戒できない。眠っているとか酔っ払っているなど周囲の状況に無頓着になっている状態。 |
| 状態 | 判定 | 説明 |
|---|---|---|
| 隠密 | 通常 |
クリーチャーはなるべく見つからない、目立たないように行動している。 発見側の《隠密》判定に対して受動判定を行えるが、主行動の移動でのダイスはD6になる。通常の2D6で移動した場合は《隠密》の受動判定が不利になる。 |
| 通常 | 不可 |
クリーチャーは特に隠れたりしていない。通常、クリーチャーはこの状態であるとみなす。 隠密側は受動判定を行えない。 |
| 目立つ | 不可 |
クリーチャーは目立つ行動を取っている。典型的には武器を持って攻撃しようとしている、呪文を使おうとしている、全力行動を取っている、などが当てはまる。《運動》や《仕掛》を使った行動は状況と行動内容に依存するためマスターが判断する。 この状態のクリーチャーは発見側が極度の無警戒状態でなければ自動的に発見される。 「聞き耳」の状況では発見側は《隠密》の基準値20、隠密側は《隠密》に自動的失敗として扱う。 |
隠れる・発見する
監視の目を盗んで移動したり隠れてやり過ごしたりする、逆に隠れているものを見つけるための処理手順である。「隠れる・発見する」は視認できる状況を想定している。
「隠れる・発見する」の処理を行うためには発見側は警戒状態、隠密側は隠密状態でなければならない。
処理手順
「隠れる・発見する」の処理手順は以下に従う。
サイクルは緊急サイクルとして処理する。
行動順
行動順は常に発見側のクリーチャー、隠密側のクリーチャーの順で判定する。
初期配置は隠密側と発見側の距離が15マス程度になるように配置する。
判定
発見側、隠密側に複数のクリーチャーが居たとしても、1サイクルに各クリーチャー1回ずつしか判定を行わない。その結果をもって1対多の判定として解決する。例えば、発見側A、Bと隠密側C、Dが居たとする。判定の結果、A:判定失敗、B:達成値8、C:達成値10、D:達成値:6だったとすると、AはCとD両方に能動側失敗となる。BはCに対して受動側成功、Dに対して半成功となる。
知覚距離と発見
発見側は「視界のダイス(通常はD10)+《隠密》の効果強度」で知覚距離を求める。隠密側は《隠密》の効果強度だけ自分に対する知覚距離を短くでる。ダメージ処理と同様に半成功時は1/2(端数切り捨て)で、余力(1)を消費するごとに自分に対する知覚距離をD6軽減することができる。受動側の効果強度などを引いた後の知覚距離は最低1である。隠密側成功や発見側失敗の場合でも知覚距離1は保証される。発見側から隠密側までのマス数が上で求めた値以下なら発見側は隠密側を発見できる。
発見側1人に対して複数の隠密側がいる場合でもダイスは1回しか振らない。例えば、隠密側が2人いて一方に発見側成功、もう一方に半成功でダイス目が7だったとすると、発見側成功の相手に対する知覚距離は7、半成功の相手に対する知覚距離は3になる。
図の様な配置で発見側が《隠密:12:1:3》、隠密側が《隠密:11:0:3》である。
発見側は判定に成功し、達成値7だった。隠密側Aは判定に失敗し発見側成功、隠密側Bは達成値4で半成功、隠密側Cは達成値5で半成功だった。視界は通常で発見側のD10=9、効果強度は発見側が1、隠密側が0なので9+1-0=10になる。隠密側Aまでは9マスなのでこれを発見する。隠密側Bは半成功なので10÷2=5となり5マス離れた場所までしかわからないので見つけらない。隠密側Cも半成功だがこちらは4マスしか離れていないので発見できる。
視界
視界によって隠れている相手を探すときの知覚距離のダイスが変化する。視界は周囲の明るさや見通しの良さによって決まる。
| 視界 | ダイス | 説明 |
|---|---|---|
| 良好 | D10 | 一般的な日中はこの状態。 |
| やや悪い | D8 | 明け方や夕方のかなり暗い時間帯、篝火や大きな焚き火など強い光源の周囲、小雨、賑やかな場所など。 |
| 悪い | D6 | 明るい月の晩や松明などの光源の周囲、霧や雨、人混みの中など。 |
| 非常に悪い | D4 | 半月以下の月、十分な明かりのない洞窟の中、濃霧、土砂降り、鬱蒼とした森の中など。 |
また、視界によって初期配置の距離も変える。視界が非常に悪い時に15マスから始めるのは無駄だからだ。目安はダイスの最大値+5である。これは発見側が決定的成功で発見できるほぼ最大の距離だからだ。
初期配置と知覚距離に関する注
初期配置が隠密側から発見側まで15マス程度、知覚距離のダイスがD10というのはゲーム的に意味のある距離、つまり発見側が隠密側を見つけたら捕まえるなり攻撃するなりできる距離という意味だ。それよりも離れた状態から処理するのは時間の無駄だ。
しかし、状況によってはもっと遠いところで発見することに意味があることもある。そのような場合は知覚距離のダイスの扱いを変更する。
例えば村の見張り台でオークの野盗団を警戒する様な場合、早く発見して警鐘を鳴らし迎撃体制を整える時間を確保することに意味がある。この様な場合はダイス目1につき1サイクル分迎撃体制を整える時間を確保できるというふうにすれば良いだろう。
別の例としては見張りの目を掻い潜って敵の陣地に侵入する様な場合が考えられる。この様な場合、マップにいくつかエリアを設定し、エリア1は7、エリア2は5の様に見つけやすさを設定しておく。クリーチャーがエリア2にいて知覚距離が5以上なら発見できるというふうにするのが良いだろう。
発見された隠密側に隣接したクリーチャー
発見された隠密側に隣接した位置で隠密行動を行なっているクリーチャーは自分が《隠密》に成功していても発見されてしまう。さらに隣接しているクリーチャーがいる場合、連鎖的に発見されてしまう。
図のように発見側が隠密側Aを発見した場合、BとCは自動的に発見されてしまう。Dは隣接していないので自動的に発見されることはない。
不意打ち
不意打ちは《隠密》で敵に近づき、攻撃可能な距離になったら隠密行動を放棄して攻撃を仕掛けるだけだ。隠密行動のルールでは隠密側の判定は受動行動で、発見側よりも後に行動するため、攻撃可能な距離で発見されなかったならそのサイクルは隠密側だけが攻撃できることになる。これが不意打ちの最大の効果だ。
不意打ち、つまり攻撃や呪文を使用した場合は目立つ行動なのでこれらを行なったクリーチャーは自動的に発見される。次のサイクルからは発見側も含めて戦闘イベントとして処理する。
やや特殊な扱いをするのはイベントの扱いだ。
不意打ちを行う場合、隠密側は隠密行動から攻撃を仕掛けた後まで連続した戦闘イベントとして扱うが、発見側は隠密行動中は探索イベント(緊急サイクル)、隠密側を知覚してから戦闘イベントとして扱う。隠密側は戦闘イベントが継続するので隠密行動中に魔力導出など1イベントの間有効な準備を行えるが、発見側は隠密側を認識してから戦闘イベントになる(イベントが変わる)ため魔力や呪文を準備しても無駄になる。
例えば扉の外で魔力などを準備して不意打ちを仕掛ける場合、扉の先に敵がいることを《聞き耳》などで認識していなければならない。「扉の先に敵がいるだろう」という予測では不意打ちを仕掛けることはできない。
ゴブリンがケネスに不意打ちを仕掛けようとしている。ケネスは《隠密:9:0:2》、ゴブリンは《隠密:13:0:3》である。
ゴブリンとケネスの間は現在11マス離れている。
ケネスは周囲を警戒しており、《隠密》はD12=1、D10=3だった。ゴブリンはD12=2、D10=5で達成値7の成功だ。ゴブリンは気付かれていない。ゴブリンは移動し5マス進む。
ケネスの《隠密》はD12=7、D10=6で失敗なので気づくことができない(ケネスが発見側なのでゴブリンの失敗は関係ない)。ゴブリンはさらに移動してダイス目は5、ケネスと間1マス(ケネスからゴブリンまで2マス)となった。
ケネスの《隠密》はD12=5、D10=4でで成功し、D10=4でゴブリンに気付きいた。しかし時すでに遅し、ゴブリンは1マス前進してケネスと隣接し、攻撃する。ケネスは発見のために行動済みなのでこのサイクルはゴブリンが一方的に攻撃できる。
このサイクルから行動順を決め直して通常通りの処理を行う。
一部のクリーチャーが隠密行動を継続する
隠密側の一部のクリーチャーが発見されたり、不意打ちを仕掛けたりした場合でも、それらと離れて行動しているクリーチャーは隠密状態を継続できる。この場合、戦闘イベントの手順で行動順に従って処理する。
ただし、発見側が隠密行動を継続するクリーチャーを発見するためには主行動で《隠密》判定を行う必要があることに注意すること(発見されているクリーチャーを攻撃したり呪文を使ったりしたら発見のために《隠密》判定を行えなくなる)。これを利用して囮行動を取ることができる。
監視範囲の限定
通常発見側のクリーチャーは周囲全体を監視しているものとして扱うが、監視する方向を限定する代わりに知覚距離が伸びる。右図はクリーチャーが右の辺の方向を正面にしている場合と、右上の角の方向を正面にしている場合の監視範囲を表している。
| 監視範囲 | 知覚距離 |
|---|---|
| 前と左右(青と黄) | +1 |
| 前のみ(青) | +2 |
当然、監視していないマスにいるクリーチャーを発見することはできないが、PCが隠密行動中のクリーチャーのいない方向を監視していたとしても受動側のダイスは振る。これはダイスを振ったか振らなかったかでプレイヤーに敵が隠れている方向を悟らせないためだ。プレイヤーが隠密側の位置を知っている場合はランダムに方向を変えるべき(もちろん、壁などがあって監視しても無意味な方向を監視する必要はない)だろう。
気配を探る
扉や壁の向こう、曲がり角の先に何かいるかを探る時の処理で「隠れる・発見する」のバリエーションだ。
処理手順は「隠れる・発見する」と同じだが、見えない場所を探るので視覚ではなく主に聴覚に頼ることになる。
| 知覚範囲 | ダイス | 説明 |
|---|---|---|
| 良好 | D10 | 静かで音を遮る遮蔽がない。 |
| やや悪い | D8 | 家屋の扉などの薄い遮蔽など小さな音を遮る構造物越し。 |
| 悪い | D6 | 厚い扉や板壁などの音を通しにくい遮蔽越し。 |
| 非常に悪い | D4 | 騒がしい場所、厚い壁などの音を通しにくい遮蔽越し。 |
結果の扱いも「隠れる・発見する」とは異なり、大体何マス先にどのくらいの大きさのものがいるか、いるなら大体何体くらいかという曖昧な情報しか得られない。
一方的に敵の存在を知覚して、敵が相手が気づいていない状態で襲いかかった場合、完全な不意打ちにはならないが、最初のサイクルは襲いかかった側のキャラクターは全員敵よりも先に行動できる。2サイクル目に行動順を決め直して以降は通常通りに処理する。
聞き耳
聞き耳は離れた場所や扉や壁越しに人の話を盗み聞きする行動だ。
聞き耳は多段階の目標値を持つ基本行為判定で処理する。例えば、聞き取れる内容10%刻みで目標値をn〜n+9まで1ずつ増やしても良いし、全内容を聞き取るのにそれほどの達成値が必要ないなら20%刻みでn〜n+4まで1ずつ増やしても良い。重要なポイントが4つあって1つ聞き取れるのが5、2つが7、3つが9、4つが10のように個別に設定しても良い。状況によってGMが決める。雑音があまりに多いとか音が非常に小さいなど状況によっては最大限聞き取れたとしても十分な内容を得られないことはあり得る。
長い会話に聞き耳を立てるなら複数回の判定を行うことはあり得るが、それぞれは別の部分を聞くことになる。例えば、1回目に失敗して2回目に成功した場合、1回目のタイミングで話していた内容は不明なままだ。
ケネス《隠密:9:0:2》は宿で隣の部屋の怪しい男達の会話を盗み聞きしようとしている。この時の会話は「明日、午後4時頃にドントリ通りでサンタナを襲う」で重要なポイントは4つ、「明日、午後4時」、「ドントリ通り」、「サンタナ」、「襲う」で、壁越しの聞き耳なのでGMは目標値を4、7、9、11の判定とした。ケネスの判定はD12=4、D10=1で5だった。GMは「???に???で???を襲う」と聞き取れたことにした。
《仕掛》
[主能力:技術][副能力:なし]
《仕掛》は機械的な装置、罠の解除、設置、複雑な装置の操作、工作を行う、機械がどのような機能を持っているかを調べる、ロープを解けないように結ぶ、物を隠す、隠された物を探す、等を行うための技能だ。つまり、何らかの機械や工学的な知識と技術を必要とするような行動を行う際に使用する技能と言える。
手先の器用さを要求するという点で状況によっては《トリック》と被ることがあるが、《トリック》は《仕掛》よりも即興的で錯覚や不注意、認識力や判断力の隙をつくような行動に使用する。
罠発見
扉や宝箱などの罠を調べるのは基本行為判定で行う。判定に成功すれば何の罠が掛かっているか、罠が掛かっていないかがわかる。失敗時は罠を見つけられない。[目標値]が2より大きいことはあるがほとんどは6以下で10を超えることはまずない。[目標値]が2より大きい時の半成功なら罠を見つけられないが余力(1)で再判定できる。
罠を調べるのは特定の箱や扉、像、床1マスの様に具体的に絞り込んでなければならない。漠然とした広い範囲から罠を探すことはできない。
シンプルで小さな機構の罠の方が[目標値]は高くなる可能性が高い。
例えばアラームはゼンマイとベル、ベルを打つ槌、ゼンマイを解放する紐とピン程度で構成でき、ベルが壁や天井に隠れているなら罠に気付けるのは扉と連動してピンを抜く紐くらいしかなく見つけにくい。
クロスボウ・ボルトの様な殺傷力のある罠は機構が目につきやすいのでよほど巧妙でなければ[目標値:2]を超えない。
鍵・罠の解除
鍵や罠の解除は作業判定で解決する。鍵や罠の解除の作業判定時の進捗を決めるダイスは下表を参照すること。
| 状態 | 進捗 | 説明 |
|---|---|---|
| ろくな道具なし | 1〜D3 | あり合わせのものでなんとか作業するような場合。 |
| 不十分な道具 | D4 | 道具はあるが不十分といった状況。 |
| 一般的な道具 | D6 | シーブズツールを使用している場合。 |
| 専門の道具 | D8〜D10 | 対象の作業専用の工具があればD8、工房と工具類が揃っていればD10になる。 |
鍵・罠解除の作業パラメータは次の様になる。
| 項目 | 値 | 説明 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 作業量 | 説明参照 |
作業量は解除の手間で決まる。非常に複雑だけれども一箇所の機構を動かないようにするだけで無効化できる(複雑だけれども手間が少ない)ものや、反対に単純だけれども冗長で手間がかかるものもある。
|
||||||||||||
| 目標値 | 様々 |
罠の複雑さ、センシティブさ、などで目標値が変わる。
|
||||||||||||
| 半成功、失敗 | - |
[半成功:進捗無し][失敗:後退1]から[半成功:後退D6][失敗:後退D6、失敗確定]程度。 [失敗:失敗確定]があるのはクロスボウ・ボルトやエクスプローダのように失敗したら罠が発動するタイプのものだ。鍵などは[失敗:後退Dx]である。具体例は「データブック」の「罠の例」を参照すること。 |
||||||||||||
| サイクル | 通常 | - |
隠された物を探す
隠されている物を探すのも《仕掛》を使う。
基本行為判定
隠されている物を探したいが手間をかけて作業判定で処理するほどでもない時は基本行為判定で解決する。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | 目的のものを見つける。捜索場所にはないが近傍(隣接マス程度)にあったならたまたま見つける。 |
| 成功 | 目的のものを見つける。 |
| 半成功 | 余力(1)を支払えば次サイクルに再判定できる。 |
| 失敗 | 見つけられず諦める。 |
※ 当然だが探しているものがない場所では判定に成功しても何も見つからない。
判定時の目標値はどれだけ探しにくい環境か、上手く隠されているかを総合的に判断して目標値を設定する。
| 目標値 | 目安 |
|---|---|
| 2 | 整頓されたものの少ない場所。素人考えで隠したというレベル。 |
| 3〜5 | 乱雑ではないがものの多い場所。単に隠した以上の隠蔽工作をしている場合。 |
| 6〜7 | 散らかった場所や同じようなものが多い(本棚の中の本など)場所。簡単な隠蔽のための仕掛けが施されている。 |
| 8〜 | 極めて散らかっている。隠蔽のための仕掛けが施されている。 |
基本行為判定で処理するときはある程度限定された範囲であるべきだ。GMは捜索範囲が広すぎると思ったならいくつかの区画に区切って区画ごとに判定させる。
作業判定
敵が迫っているとか見張に見つかる可能性があるなど捜索にかかる時間が重要だったり、捜索を打ち切った時そこに探しているものがあったのかなかったのかわからない状態にしたいなら作業判定で処理する。
作業パラメータは次の様になる。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 1〜 |
捜索範囲の広さと隠し方の巧妙さによって変わる。10以下なら少し探せば見つかる程度、30ならかなり時間をかけて探さないと見つからない。何もない場合の作業量は∞である。作業量はプレイヤーに公開しない。 捜索者が捜索範囲を絞ることはできる。例えば部屋全体ではなく机だけに絞るなど。この場合、絞った場所に目的のものがあれば作業量を1/3〜1/4にするが、なければ作業量は∞だ。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 様々 |
基本行為判定の目標値と同じ |
| 半成功、失敗 | - | [半成功:進捗無し][失敗:後退1〜D6]程度。目的のものが隠されているならいつかは見つかるので「失敗確定」はない |
| サイクル | 通常 | - |
物を隠す
隠された物を発見するの反対で、物を見つからないように隠すのも《仕掛》の作業判定になる。ものを隠す作業はPCがその場に隠したい物を紛れ込ませる程度のことを想定している。もっと複雑な設備、例えば二重底の引き出しの様なものを準備して隠すのはこの処理の範疇ではないし、PCがそのような設備まで用意することはないだろう。
基本行為判定
物を隠すときは大抵基本行為判定を使うことになるだろう。PCが隠した物を探すのは基本的にNPCなのでそんなに手間をかける必要はない。基本行為判定では探すときの[作業量]を求められないので、基本行為判定で隠したものは基本行為判定で探すことになる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | うまく隠せる。隠した物を探す時の目標値に判定時のD10の目を加える。 |
| 成功 | 隠せる。 |
| 半成功 | 余力(1)を支払えば次サイクルに再判定できる。 |
| 失敗 | 隠したつもりだが1サイクル程度かけて調べれば判定の必要なく見つけられる。 |
判定時の目標値は隠蔽に使えるものがどれだけあるかに依存する。なお、隠しやすいかどうかは隠すものとの相対関係になる。石像の様な隠しにくいものでも石像の工房内ならそれほど難しいとは言えない。
| 目標値 | 目安 |
|---|---|
| 2 | 一般的な生活空間など隠蔽に使えるものが普通にある。 |
| 3〜5 | 隠蔽に使えるものがやや少ないか、隠蔽対象がやや目立つ。 |
| 6〜7 | 隠蔽に使えるものが少ないか、隠蔽対象が目立つ。 |
| 8〜 | 隠蔽に使えるものがほとんどないか、隠蔽対象が非常に目立つ。 |
作業判定
使用頻度は少ないが、敵が迫っているとか見張に見つかる可能性があるなど作業にかかる時間が重要だったり、隠しているものが重要なアイテムのため隠せた、隠せなかっただけ評価ではなく、どのくらいうまく(探すのに手間がかかるように)隠せたかを評価したいときには作業判定を用いる。作業判定のパラメータは下表を目安にする。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 1〜20 |
隠した物を探す時の作業量のうち巧妙さの部分の2倍だ。例えば探すとき隠し方の巧妙さが[作業量:15](注:探すときはこれに捜索範囲による作業量が足される)なら隠す時は[作業量:30]になる。PCが物を隠す時はその場にあるものしか使えないので最大値20くらいだ。マスターが上限を指定し、プレーヤーはそれ以下で作業量を宣言する。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 様々 |
基本行為判定の目標値と同じ。 |
| 半成功、失敗 | - |
[半成功:進捗無し][失敗:後退1〜D6]程度。作業をやめない限り失敗はない。 途中までの作業を評価する。途中で辞めた場合、そこまでの進捗の1/3(端数切り捨て)で隠せている。例えば[作業量:30(探す時15)]で作業して[作業量:7]で辞めたら進捗は23なので、探す時は[作業量:7]で隠せている。 |
| サイクル | 通常 | - |
《事情通》
[主能力:技術][副能力:天命]
様々な事柄に関する知識の有無を判断したり文献調査をしたりするための技能だ。事情通で判定できる分野に制限はないが。魔法に関する専門的な知識だけは《儀式魔法》の範疇だ。魔法的な事柄であっても専門的でないことなら多少の知識は問える。例えば、機械的な鍵がないのに開かない扉を見た時に、扉などに鍵をかける魔法があってキーワードを見つければ開けられると聞いたことがあるなど。
知識の有無を問う
何かを知っているかどうかは《事情通》の基本行為判定で解決する。目標値は一般的な知識ほど低く、一般的でない知識ほど高くなる。成功なら雑学レベルでの知識があるし、半成功でも少し聞き齧ったことがある程度の知識がある。判定に失敗したらその事柄については知らない。
知識がどの程度一般的かは状況によって異なる。例えば◯国の王様についてはその国の人間なら一般的だが隣国になると一般性は下がる。しかし戦争状態にあるならもう少し一般的になるが得られる知識は◯国内の場合とは異なる(悪い話が多くなる)だろう。全然関係ない◯国など聞いたこともない人がほとんどの場所ならかなり専門的な知識になる。
資料調査
書物や資料(書物だけとは限らない)を読み込んだり調べたりする作業だ。作業の目安は下表を参照すること。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 3〜30 |
資料の多さに依存する。資料が多いほど作業量は増える。 資料調査は作業を完了しても完全な情報を得られるとは限らない。そこにある資料の範囲内での情報しか得られないからだ。 作業を断念した時に途中までの作業結果も評価して部分的な情報を渡しても良い。 |
| 目標値 | 様々 | 内容の高度さ、希少さに依存する。 |
| 半成功、失敗 | - |
次を目安にする。 誤情報が少なく整理されている:[半成功:進捗半減]、[失敗:進捗なし] いくらか誤情報が含まれる:[半成功:進捗なし]、[失敗:後退D4〜D6] 誤情報が多い:[半成功:後退D4〜D6]、[失敗:後退D4〜D6、作業断念] |
| サイクル | 30分 | - |
資料調査はその場の資料を調べ、論理立てて考えればある程度正しい情報を得られる状況を想定している。誤情報が混ざっていたとしても情報を整理してゆく間にそれは矛盾するなどの判断ができることを想定している。
全く無意味な資料しかない場合は作業完了しても「有益な情報はなかった」ということしかわからない。加えてこの結論に達するのは全ての資料をあたったときなので作業量は多くなる。
偽情報ばかりで数少ない断片的な本当の情報よりも筋道だっているなら作業を完了した時得られる情報は偽物ということもあり得る。こういう時に資料を調べた結果、「これは間違っているのでは?」と気付くのは《洞察》で別途判定する必要がある。
鑑定
物品の真贋の判別は基本行為判定で処理する。これは美術品や宝石などだけではなく誰かの手紙の真贋なども判定できる。呪符や発動体といった魔法の道具は対象にできない。GMはプレーヤーに目標値を伝えないし、判定に成功していた時に成功か半成功かも伝えない。なのでプレーヤーは判定時の達成値の高低から確度を推測するしかない。余力(1)で再判定することはできる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | 真贋がはっきりとわかる。 |
| 成功 | 真贋がわかる。 |
| 半成功 | 真贋を間違える。 |
| 失敗 | 真贋を見分けられない。 |
※ 半成功が失敗より悪い結果に見えるが、何もわからないよりも間違える方が成功に近い。
判定時の目標値は珍しい物品かで決まる。
| 目標値 | 目安 |
|---|---|
| 2 | 貴金属や宝石のように鑑定方法がわかっていれば真贋を間違えない様なもの。 |
| 3〜6 | 工芸品の様に同じか類似品がある。現代なら量産されるガラス製品、陶磁器、時計、バッグなど。 |
| 7〜10 | 美術品の様に同じものが他にないもの。 |
| 11〜 | 美術品の様に同じものが他になく非常に精巧な偽物。 |
※ 比較可能な現物があるなら目標値は1〜5下がる(最低2)。
殺害された被害者の手紙の真贋判定の目標値について考える。PCが捜査して状況を確認しているなら[目標値:8]くらいだろう。状況によって手紙を書く必要があるか、手紙の内容は妥当かからある程度判断できるがかなり難しい。しかし、被害者の日記を入手していたなら[目標値:4]くらいに下がる。筆跡の確認ができるし日記の内容からも真贋の根拠を見つけられるかもしれないからだ。
値踏み
真贋が明らかな物品か、真贋不明な物品を本物とした時の価値を見積もる行動で基本行為判定で行う。専門の商人の様に専門知識や相場観がないので曖昧な値段しかわからないがある程度の目安にはなる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | D6を3個振って差が最小の組み合わせで差を求める。残ったダイスが1〜3なら本当の値段からダイス目の差×10%を引き、4〜6なら加える。 |
| 成功 | D6を2回振って1回目の目から2回目の目を引いた値×10%を本当の値段に加える。 |
| 半成功 | D6を3個振って差が最大の組み合わせで差を求める。残ったダイスが1〜3なら本当の値段からダイス目の差×10%を引き、4〜6なら加える。 |
| 失敗 | 値段はわからない。 |
判定時の目標値は珍しい物品かで決まる。
| 目標値 | 目安 |
|---|---|
| 2 | 一般的に売買されているような物品。 |
| 3〜6 | やや珍しい物品。 |
| 7〜10 | 非常に珍しいか比較対象のない物品。 |
10GPの品物の鑑定額は次の様になる。
成功で1回目がD6=3、2回目がD6=5なら-20%なので8GPが鑑定した値段。
半成功でダイスが2、4、5なら差が最大なのは5と2、残ったダイスが4なので+30%で13GPが鑑定した値段。
決定的成功でダイスが2、4、5なら差が最小なのは5と4、残ったダイスが2なので-10%で9GPが鑑定した値段。
《洞察》
[主能力:判断][副能力:なし]
《洞察》はPCが情報を得る、GMが情報を与えることのできる技能であり、手詰まりになった状況を打開できる有用な技能だ。キャラクターは《洞察》によって物事を観察し、考え抜くことでなんらかの予測やアイデアを得ることができる。ただし、《洞察》で得られるのは答えではなく予測、アイデア、ヒントである。あくまで答えや結論はプレイヤーの考えで導かなくてはならない。
《洞察》の判定は目標値に対する1回の基本行為判定で解決する。半成功時は余力(1)を支払うことで再判定できる。
一般的な使い方
何かに気づくかを判定する、物事の可能性の範囲を絞り込む、敵の行動を予測する、といった目的で使用する。例えば、部屋の廊下に面した幅の合計と廊下の長さの差が妙に大きいとか、NPCが妙に奥の扉を気にしているとかいう違和感に気づくか、敵の待つ屋敷に忍び込む際にどのあたりが手薄かを予測するといった時に使用する。
判定時の目標値はPCがどれだけ情報を得ているかで変化する。PCが十分に調査などをした上での判定なら[目標値:2]だが、十分な情報を持っていないなら目標値は高くなる。何の情報も得ていないなら判定を却下しても良い。情報によらずその場の感覚で判定する場合もある(NPCが扉を気にしている例の様に)が、その場合はマスターが状況を判断して目標値を決める。
ヒントを与える
シナリオの展開に詰まった時にヒントを与えるという使い方がある。与えるヒントはシナリオでそれまでに得た情報から導けるものであるべきだ。例えば、屋敷の探索で全ての部屋を調べて手詰まりになったとする。マスターは《洞察》の判定をさせて成功したキャラクターに、まだ庭をきちんと調べてないことに気づいた、といった感じでヒントを出すのだ。他には十分な情報を得ているのにプレイヤーがシナリオ中の謎解きを解けない様な時に《洞察》の判定に成功することで追加のヒントを出したり、答えの選択肢を絞り込むというのもある。
この場合、マスターが情報を与えたいので通常[目標値:2]の判定になる。
プレイヤーの宣言を却下する
これはプレイヤーがシナリオの元ネタを知っていなければできない行動を取ろうとした時などに、判定させ、失敗したら行動を却下する。ただし、これはプレイヤー知識の乱用によってセッションの面白さが削がれている場合のみに適用すべきだ。
目標値は「一般的な使い方」と同じ様に決めるが、おそらく十分な調査や情報もないので目標値は高くなるだろう。
《トリック》
[主能力:技術][副能力:反応]
素早く器用な手技が必要になる場合の技術だ。また、《トリック》は相手の心理の隙をついたり、錯覚を利用したりする様な行動を行うための技術でもある。その他にも、誰かのまねをしたり、相手に意図を見抜かれずに行動したりする場合にも使用する。
例えば、次の様な場合に《トリック》を使用する。
- 手元にある小さなものを相手に気づかれずに隠す。
- ギャンブルでのイカサマ行為を行う。
- 演技(他人の振りをする、など)を行う。
- ジェンガの様なゲームやトランプでピラミッドを作る等の細かい操作を行う。
- 部屋から逃げ出したいが扉から遠いときに相手に逃げ出したいという意図を気づかせずに扉に近づく。
《トリック》の対抗判定
カードやコインを使った簡単なテーブルマジックをする、麻雀で多牌や少牌をごまかす、カードゲームで山札から2枚引いて1枚を隠し持つ、などのように事前準備なく瞬間的に相手の目をごまかす時だ。演技をするときも必要に応じて単独の対抗判定を何回かすることになる。一般的な判定基準は下表を参照すること。《トリック》を仕掛ける側が能動側、見破る側が受動側になる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 能動側成功 | トリックでやろうとした行動に成功する。決定的成功なら相手はトリックに気づくまでの時間が余分にかかるなど、トリックを仕掛けた側にボーナスを与える。 |
| 半成功 | 受動側が余力(1)を支払えば《トリック》を実行できなかったことになる。(失敗ではない)。余力を支払わない場合はトリックに成功する。 |
| 受動側成功 | 能動側が余力(1)を支払わなければ《トリック》に失敗する。余力(1)を支払った場合、《トリック》がバレる前に実行をやめたということになる。 |
| 能動側失敗 | 受動側にトリックを見破られ、失敗する。 |
《トリック》の基本行為判定
繊細な対物作業を行うような時の判定だ。また本来は対抗判定の場合でも重要でないNPCに対して行うようであれば目標値に対する判定としても良い。例えばジェンガやトランプでピラミッドを作るような行為は終わるまでは何回も判定が必要になるが1回の失敗で全部がダメになってしまうので、棒を1本引き抜く、カードを1組2枚積み上げるのがそれぞれ基本行為判定になる。一般的な判定基準は下表を参照すること。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | トリックでやろうとした行動に成功する。何かうまくいったボーナスを与える。 |
| 成功 | トリックでやろうとした行動に成功する。 |
| 半成功 | 余力(1)を支払えば《トリック》を実行しなかったことになる(失敗ではない)。余力を支払わない場合は《トリック》に失敗する。 |
| 失敗 | 《トリック》に失敗する。 |
ジェンガやトランプのピラミッドを作るような細かい作業は《仕掛》とどちらで判定するか迷うことがあるが、ちょっとしたミスで全体が失敗に終わってしまうような行動は《トリック》として考える。小さな木片を組み上げる場合でも糊を使ったり、木片に細かい切れ込みを入れて崩れないように工夫するといった工作的な要素を持つならば《仕掛》の方が適当だ。
《トリック》の対抗判定による作業
手元にある小さなものを相手に気づかれずに隠す、相手に気づかれないように扉に近付く、いくつかの手順が必要な手品を行なう、万引きをしたりスリを働いたりする、など手順や機会をうかがう必要がある行動が当てはまる。《トリック》を使う場合は多くの場合この判定方法になるだろう。作業パラメータは次の様になる。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 1〜15程度 |
《トリック》でやるような作業は相手に気づかれる可能性が高くなるので長い手順を嫌う。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 相手の《トリック》 | 対抗判定での作業になる。 |
| 半成功、失敗 | - |
[受動側成功:進捗無し〜後退D6][能動側失敗:後退1〜D6、失敗確定]が標準。能動側失敗時は必ず失敗確定で相手に不審なことをしようとしていることに気づかれる。 |
| サイクル | 通常サイクル | - |
《トリック》による作業
能力値を設定していないNPCに対して作業が必要な《トリック》を行なうときに使うことが多い。作業パラメータは次の様になる。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 1〜15程度 |
《トリック》でやるような作業は相手に気づかれる可能性が高くなるので長い手順を嫌う。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 任意 | 周りの人の多さによる。8人までは1+人数、9〜24人は1人につき+0.5くらい。つまり作業者を取り囲む1周目1人につき+1、2周目は1人につき+0.5をベースとする。3周目より外側はよく見えないので気にしなくて良い。 |
| 半成功、失敗 | - |
[半成功:進捗なし〜後退D6][失敗:後退1〜D6、失敗確定]が標準。失敗時は必ず失敗確定で誰かに不審なことをしようとしていることに気づかれる。 |
| サイクル | 通常サイクル | - |
《野外活動》
[主能力:判断][副能力:技術]
野外での活動や、サバイバルに関する技能だ。安全な野営地の設営、食料の調達、足跡や捕食の痕跡などから周囲に生息している動物やモンスターの判断、森の中や海洋での方向や時刻の判断、地図や海図を正しく読む、地図を作成する、などに使用する。《野外活動》は《運動》、《仕掛》、《事情通》と重なる部分があるが、次を参考にいずれの技能を使用するか判断する。
| 技能 | 説明 |
|---|---|
| 《運動》 | キャラクターの身体能力に頼って崖を登ったり泳いだりするのは《運動》を使用するが、特段身体能力に頼らなくても良いルートを探して移動するのは《野外活動》を使用する。 |
| 《仕掛》 | NPCやモンスターを対象に罠を仕掛ける場合は《仕掛》を使用するが、食料調達のために動物や魚を捕まえるのは仕掛けの設置を含めて《野外活動》を使用する。 |
| 《事情通》 | 動植物や気候、地形などに関する知識、例えば「この植物は食べられるか」、「この動物はどんな習性なのか」などは《野外活動》でも《事情通》でも判定できるが、経験に基づく知識には《野外活動》が必要だ。例えば、ある地域独特の気象などは《野外活動》でしか分からない。反対に学問レベルの一般化された知識などは《事情通》でしか分からない。 |
危険察知
自然災害や自然の危険かそれに類似の危機を察知するのは《野外活動》の範疇だ。例えば崖から石がいくつか落ちてきた時に崖崩れの予兆だと推測する、泉の周りに動物の足跡がないのを見つけて泉の水は毒かもしれないと判断するなどがそうだ。類似の事象であれば自然環境でなくても構わない。例えば建物の天井から何か落ちてきた時に天井が崩れるかもしれないと判断するような応用は十分できる。大抵は基本行為判定で解決するが複雑な事象の場合は作業判定を用いても良い。
このような判断は《洞察》とやや重複するが《野外活動》は経験、洞察は思考が重要だ。
《野外活動》は過去の経験などから瞬間的に判断を下さなければならない場合だ。そして過去にキャラクターが経験している(経験したであろう、師匠から聞いたことのある)事象かそれに類似しているものだ。
《洞察》は情報から推論や論理的な思考によって導ける物事を推測するのに使う。そのため道筋立てて結論に辿り着けるのであれば過去の経験は問わない。
ナビゲート
現在地から目的地まで安全に移動するための技術だ。これは《運動》の様な他の技能を使わなくても移動できるルートを探って移動できるということだ。荒地や森の中のような道の怪しい場所を移動する他にも、崖を安全に昇り降りしたり、小舟で川下りする際に適切なルートを探って移動するためにも使う。ナビゲートは作業判定であり作業パラメータは次の様になる。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 12〜21程度 |
想定する最短の移動サイクル数×3〜4程度。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 様々 | 一般的には2だがルートが難しくなると高くなる。 |
| 半成功、失敗 | - |
[半成功:進捗無し][失敗:後退D6]が標準。 荒野や森の移動では失敗時に進捗後退の代わりにワンダリング・モンスターとの遭遇もあり得る。 崖登りや川下りなどでは失敗時に進捗後退の代わりに適当な難易度の《運動》の判定をするという選択肢を与えても良い。《運動》の判定に成功すれば進捗が1進み移動を継続できるが、半成功なら進捗なしで失敗するとダメージ(D6)など。 |
| サイクル | 状況次第 |
順調に行った時の想定時間÷想定サイクル数が1サイクルの時間になる。 例えば、森の中の移動を6サイクルで終えたら6時間想定なら1サイクルは1時間だし、崖登りが6サイクルで終わったら2時間なら1サイクルは20分になる。 |
複数人で行動しているなら誰か1人のナビゲートに他のメンバは従って移動できる。逆に複数人でいるときにナビゲートの判定をできるのは原則1人、多くてもリーダとサブリーダの2人までだ。メンバがそれぞれにあっちの方向が正しい、こっちの方向が正しいと言い始めると混乱するだけだ。他のメンバがフォローすることはできる。サブリーダが判定できるのはリーダがサブリーダに判定を要求したときだけだ。このとき既にリーダの判定をフォローしていたメンバはサブリーダをフォローできない。
現在地から目的地への移動時はいつもナビゲートを使うわけではない。シナリオ上重要な場所ならマップを用意するなどして具体的に進める。逆に街道など何事もなく移動できるところなら移動自体を省略して構わない。ナビゲートを使うのはマップを用意するほどではないが多少迷ったり苦労したりすることがあるとき、単なる移動にすぎないが費やす時間が重要な時だ。
追跡
すでに姿が見えない相手の痕跡や足跡を追跡する場合は《野外活動》の作業判定で解決する。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 |
別表 |
[作業量]の表を参照。 進捗ダイスはD6である。 追跡は諦めるまで続けられるが、作業量が一定以上増えたらもう追いつけないとして失敗にする。 |
| 目標値 | 別表 |
[目標値]の表を参照。近いほど痕跡も多いので残りの[作業量]によって変化することもある。 |
| 半成功、失敗 | - |
逃走者が追跡者から一定地域に留まっているなら[半成功:進捗無し][失敗:後退1]。 逃走者が追跡者から逃げてはいないが移動しているなら[半成功:進捗無し][失敗:後退D4]。 逃走者が追跡者を警戒して移動しているなら[半成功:後退1][失敗:後退D6]。 逃走者が追跡者から積極的に逃げているなら[半成功:後退D3][失敗:後退D8]。 逃走者の行動は自分が追跡されていることを知っているかどうかで変わる。逃げなければ1日以内に追いつかれるとわかっているなら積極的に逃げる。追手があることを知らないなら1日程度は警戒して移動するがそれ以上は旅人が移動する程度になる。積極的に逃げようとするほど目立つ可能性が高くなるからだ。 |
| サイクル | 別表 | 残りの[作業量]によって変化する。[作業量]の表を参照。 |
| 作業量 | サイクル | 目安 |
|---|---|---|
| 〜8 | 30分 | 相手は1時間以内程度の場所にいる。 |
| 〜15 | 2時間 | 相手は1日未満の場所にいる。 |
| 16〜 | 1日 | それ以上は1日離れるごとに5程度作業量にプラス。 |
※ 作業量は単純に正比例して増えるのではない。遠くなる程1回のサイクルが長くなる代わりに作業量の増加率は減る。
| 目標値 | 目安 |
|---|---|
| 2 | 痕跡が明確に残っている。足跡がはっきりと残っていたり、対象の人物について聞いたらすぐにわかる。 |
| 5 | 痕跡は多い。足跡などが結構残っている、多少の聞き込みでわかる。 |
| 7 | よく探せばところどころに痕跡が見つかる。 |
| 10 | ほとんど痕跡は残っていない。 |
| 11〜 | 上記以上に状況が悪い場合。 |
※ 追跡対象が複数人で行動しているなど目立つなら目標値は下がる。
《野外活動》の追跡でどの程度まで相手を追いかけるかはマスターの判断次第だ。大抵は追跡相手がこの宿屋にいるとか潜んでいる遺跡を突き止めたと言うところまでで、その後はプレイヤーに捕縛の作戦を立てさせたりマップを使って探索を行う。あまり重要な追跡でないなら追跡相手を完全に発見して戦闘開始としても構わない。
食料・水の調達
パーティ全員の1日分の食料と水を確保できる。判定は次の作業判定で行う。この作業には動物を捕まえるための罠を仕掛けるなどの行為が含まれる。
| 項目 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 作業量 | 説明参照 |
人数×2〜人数×7程度。倍数は一度に確保できる量が豊富なら2だが一度に十分な量を確保できないなら大きくなる。 進捗ダイスはD6である。 |
| 目標値 | 様々 | 一般的には2だが厳しい環境なら高くなる。砂漠などの過酷な環境では10を超えるが、この様な場所で現地調達を当てにして探索するのは自殺行為だ。 |
| 半成功、失敗 | - | [半成功:進捗無し][失敗:進捗無し、作業断念]が標準。途中でやめても進捗までの食料、水は確保できる。 |
| サイクル | 1時間 | - |
野営地の確保
野営時には少なくとも休息に適した場所を確保しなければならない。休息に適した場所を確保できていないならば休息を取っても休憩と同じ効果しか得られない。
野営地は《野外活動》の基本行為判定で探す。通常は目標値2だが野営地に適切な場所が少ない環境だと高くなる。例えば湿地帯は野営できる乾いた地面が少ない。雨が降っているときも露天は野営地として適当でなくなる。判定に成功したらダイス+効果強度で効果値を求め、下表から野営地の程度を求める。ダイスは通常D10だが隠れる場所が少ないならD8やD6になる。例えば砂漠などは隠れる場所が非常に少ないのでD6になる。半成功ならダメージと同様に効果値は1/2(端数切り捨て)、決定的成功時は判定時のD10を加える。判定に失敗したら効果値は0である。
| ダイス | 休息 | 監視方向 | 襲撃回数 |
|---|---|---|---|
| 1〜3 | ◯ | 全周 | 3 |
| 4〜5 | ◯ | 前方と左右 | 3 |
| 6〜7 | ◯ | 前方 | 3 |
| 8 | ◯ | 全周 | 2 |
| 9 | ◯ | 前方と左右 | 2 |
| 10 | ◯ | 前方 | 2 |
| 11 | ◯ | 全周 | 1 |
| 12 | ◯ | 前方と左右 | 1 |
| 13 | ◯ | 前方 | 1 |
※ 監視方向は見張りで監視しなければならない方向を示す(《隠密》の「隠れる・発見する」を参照)。
※ 襲撃回数はワンダリング・モンスターの襲撃があるかどうかを判定する回数を示す。襲撃の判定はD6で1ないし1〜2(場所の危険さによる)が出たら襲撃される。
野営地を探す判定は何度でも行えるが1回あたり1時間かかる。見つけた野営地の場所を覚えておいてもっと条件の良い野営地を探すことは問題なくできる。複数人で野営地を探すことはできるが、それぞれ10マスは離れていなければならない。一団になって探しているなら《野外活動》の判定は全員が行えるが、効果値を求めるのは達成値が最も高い一人だけになる。
《話術》
[主能力:技術][副能力:判断]
会話によって相手を納得させたり、騙したり、楽しませたり、挑発したりするための技能だ。他のクリーチャーとのコミュニケーションは基本的にロールプレイで解決するが、交渉や言いくるめのように技量が重要と思える行動は《話術》の判定で解決する。
《話術》を使う行動は少なくとも相手が対話に応じるつもりがなければならない。全く聞く耳を持たない相手に対して《話術》を試みることはできない。相手が対話に応じるかは関係性だけではなく状況や立場にもよる。例えば敵対的な相手でも降伏勧告や命乞いには応じるかもしれないし、知人程度では借金の申込には耳を貸さないだろう。
聞き込み
聞き込みは雑多な人々から話を聞いて情報を得るための行動で基本行為判定で処理する。目標値は情報の得やすさによって変化する。GMはプレーヤーに目標値を伝えないし、判定に成功していた時に成功か半成功かも伝えない。なのでプレーヤーは判定時の達成値の高低から確度を推測するしかない。基準値には相手の反応レベルを加える(「NPCの反応」を参照)。余力(1)で再判定することはできる。
聞き込みは1回あたり30分程度の時間がかかるがGMが認めるなら複数回行っても良い。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 決定的成功 | 有効な情報が得られる。 |
| 成功 | 有効な情報が得られる。 |
| 半成功 | 不十分な情報や間違いを含む情報を得る。 |
| 失敗 | 情報を得られない。 |
※ 半成功が失敗よりも悪く見えるが、情報を得られているという点で失敗より成功に近い。
説得
説得は相手に自分の意見を理解させ、納得させたり説き伏せるための行動だ。説得の内容は真実でなくても構わないが筋道が通っていなければならない。説得は時間がかかる。1サイクルの長さは通常サイクルから30分になる。説得する側が能動側、される側が受動側の対抗判定で判定結果は下表の様になる。重要でないNPCに対しては適当に目標値を設定して基本行為判定で処理しても良い。この場合は受動側成功、能動側失敗のところが失敗時の結果になる。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 能動側成功 | 自分の主張を通すことができる。受動側は余力(1)を支払って再判定にできるが、決定的成功の時は余力を消費できない。 |
| 半成功 | 能動側の主張は通っていないが受動側も拒否しきれていない。再判定。 |
|
受動側成功
能動側失敗
|
受動側は能動側の主張を拒否する。能動側は余力(1)を支払って再判定できる。 |
話に嘘(能動側が真実とは異なるとわかっている)を含む場合、内容に矛盾を生むため説得する側の基準値に-1(些細な嘘)〜-5(重大だったり多くの嘘)のペナルティを与える。事実誤認(能動側は真実と信じている)はこのペナルティを適用しない。相手が真実を知っているなら即座に説得は失敗する。
受動側の反応(「NPCの反応」を参照)によって説得の受け入れやすさが変わる。受動側の《話術》の基準値から受動側の反応レベルを引く(受動側の反応レベルが悪い(-3)で基準値が11なら11-(-3)で14になる)。
説得が物品や金銭を貸してくれといった内容ならその場で解決されるのでこれは必ず守られるだろう。しかし、武将に対して悪の領主を倒すときに手出ししないでほしいという様な約束は守られるとは限らない。もちろん判定結果なので説得された側はできる限り約束を守ろうとはするが、説得された後で子供を人質に取られたとかでどうしようもない状況になることはあるのだ。
言いくるめ
言いくるめは言葉巧みに相手を誤魔化したり騙したりするために使う。そのほかにも相手を挑発するような短い発言で相手に十分な思考をさせずに反応を引き出すような時も同様に処理する。言いくるめはその場しのぎなので多少話の辻褄が合っていなくても良い。代わりに相手に考える時間を与えるといけないため複雑な話題を扱えない。会話は1通常サイクルで終わる。言いくるめる側が能動側、言いくるめられる側が受動側の対抗判定で判定結果は下表の様になる。重要でないNPCに対しては適当に目標値を設定して基本行為判定で処理しても良い。この場合は受動側成功、能動側失敗のところが失敗時の結果になる。言いくるめは余力で再判定できない。
| 判定結果 | 説明 |
|---|---|
| 能動側成功 | 相手を言いくるめることに成功する。言いくるめられた側はD6+1通常サイクル後に言いくるめられたことに気づく。決定的成功なら判定時のD10サイクルだけ相手は気づくのが遅れる。 |
| 半成功 | 言いくるめには成功するが相手はD2サイクル後に気づく。 |
|
受動側成功
能動側失敗
|
言いくるめに失敗する。 |
言いくるめは話に嘘があっても相手が真実を知らないなら判定にペナルティはない。真実を知っているなら言いくるめは即座に失敗する。
言いくるめは相手が話を聞くなら受動側の反応(「NPCの反応」を参照)の影響を受けない。そもそも疑ってかかってくる相手を騙したり、誤魔化したりするための話術だからだ。
交渉
交渉は互いに条件提示を繰り返すことで妥協点を見出す行動だ。交渉に参加するもの同士に歩み寄る気がないなら交渉は成立しない。
交渉判定
重要NPCやPC同士の場合は次の手順に従って処理する。
- 交渉に参加するクリーチャーがそれぞれ条件を出す。
- 対抗判定(即決)を行う。最初の能動側は交渉を持ちかけたクリーチャーだが、どちらとも判断しがたい場合はランダムに決定する。
- 判定に勝った側は(交渉が続く場合)次の判定は受動側になる。
-
判定に負けた側は交渉を続けるかどうかを選択する。
- 継続する場合は自分の宣言した条件から相手に歩み寄った条件を提示するか、余力(1)を消費して条件を変更せずに再度判定を行う。条件を提示する場合は5〜10%程度譲歩すること。
- 相手の要求を受け入れるならば、交渉成立で終了する。
- 相手の要求を拒否するならば、交渉決裂で終了する。
交渉継続の決定は判定に負けた側がするので、判定に勝っても相手がそれ以上譲歩できない条件なら交渉決裂になるので注意すること。条件が満足なら判定しない(自動的に負け)を選択して条件を受け入れる事ができる。
交渉はそれぞれが自分の利益を最大化することを目的としているので相手を疑っているとか警戒しているとかで有利不利は変化しない。条件に納得できないなら交渉を決裂させるだけである。
ケネスは冒険で手に入れた宝石を商人に売ろうとしている。ケネスは《話術12:0:3》、商人は《話術:14:1:3》である。ケネスは宝石の値段に50gp、商人は30gpを提示した。交渉を持ちかけたケネスが能動側で処理を開始する。
ケネスは失敗、商人は12。ケネスは値段を45gpに譲歩し、交渉を継続する。
2回目はケネスが4、商人は9で、またケネスの負けだ。彼は値段を40gpまで下げる。
3回目はケネスが7、商人は失敗。商人は35gpを提示する。
4回目商人は13、はケネスが失敗。ケネスは38gpを提示する。
5回目はケネスが10、商人は5。商人は38gpを受け入れ交渉が成立した。
交渉で現物を提示するのに嘘というのはない(贋物というのはあるがこれは別途鑑定することになる)が、交渉時点では真偽不明の条件はあり得る。例えば「1週間後に5GPを支払う」のように交渉している時点では本当に守られるかわからない条件だ。このような場合、条件を提示された側は即座に受け入れるか拒否するかを決めなければならない。拒否した場合、相手は別の条件を提示するか、交渉成立で終了するか、交渉決裂で終了するかを改めて決定する。
《呪文投射》
[主能力:魔術][副能力:技術][戦闘技能]
通常の呪文を使用するための技能だ。呪文が[判定:《呪文投射》]の場合、判定を行う技能として使用する。〔魔術:なし〕のクリーチャーは技能を習得できない。
《対応呪文》
[主能力:魔術][副能力:反応][戦闘技能]
相手の行動に対応して瞬間的に使用する呪文を使用するための技能だ。呪文が[判定:《対応呪文》]の場合、判定を行う技能として使用する。〔魔術:なし〕のクリーチャーは技能を習得できない。
《儀式魔法》
[主能力:魔術][副能力:なし]
儀式呪文を行使するための技能だ。魔術に関する知識も本技能の範疇であり、文献などの読解や呪符、発動体が何の呪文を使用するためのものかなどを判定する場合にも使用する。〔魔術:なし〕のクリーチャーは技能を習得できない。
儀式呪文の使用
儀式呪文の使用は作業判定として処理し、儀式の開始から終了までを1イベントと考える。
儀式呪文に焦点具は必要ないが魔法陣と呪文動作が必要だ。呪文動作を行わないと判定が不利になるのではなく儀式を執行できない。魔法陣は儀式の作業の中で作成する。魔法陣は儀式のレベルが高いほど複雑になるが儀式執行者に何が書いてあるかわかる程度の大きさが必要なので複雑になるほど大きくなり、大体1レベルの儀式で直径30cm、10レベルの儀式だと3mくらいになる。
魔那の消費
儀式呪文は魔那を消費する(実際は魔力を消費するが魔力導出の手間を省くため)。儀式呪文を使用するために必要な魔那は儀式呪文の使用を宣言した時点で消費される。魔那の代わりに魔晶石を消費したり、クリーチャーが〈魔力搾出〉を取得しているなら余力を消費しても良い。
儀式呪文の作業判定
《儀式魔法》を使用して作業判定を行う。作業パラメータは儀式呪文のデータを参照すること。儀式呪文は一度作業を開始したら完了するか失敗するまで中断することはできない。儀式の中断は失敗と同じである。
進捗の決定
進捗を決定するためのダイスはD6である。
儀式の失敗
作業判定に失敗したら儀式呪文は失敗に終わる。また儀式呪文を中断した場合も失敗として扱う。儀式呪文に失敗した場合、消費した魔那と材料は無駄になる。
儀式の完了
[作業量:0]に達したら儀式は成功し、呪文の効果を発揮する。呪文の効果は各呪文の説明を参照すること。
複数人での儀式
儀式呪文は他の作業と同じように複数人で作業することが可能だ。
複数人で儀式呪文を使用した場合、通常の作業判定と同じように作業を早めることができるのに加えて魔那を複数人で共有することができる。儀式呪文を使用するのに必要な魔那はもちろん、判定失敗時の[消耗]に必要な魔那儀式に参加している誰かが支払えば問題ない。
主幹儀式者
主幹儀式者とはその儀式を取り仕切るクリーチャーで、完成した儀式は主幹儀式者が使用した呪文として扱われる。主幹儀式者には次の制限がある。
- 儀式を抜けることはできない。
- 作業の全サイクルを通じて《儀式魔法》の判定を行わなければならない。
補助儀式者
補助儀式者とはその儀式を助けるクリーチャーで、儀式が完成してもその呪文を使用したものとして扱われない(例えば【主人】の補助儀式者は【主人】をかけた物品の場所を知覚できない)。補助儀式者も主幹儀式者と同じく《儀式魔法》の判定を行い、進捗を進めることができる。判定に失敗か半成功の場合は主観儀式者と同じくペナルティが発生するしそれによって儀式を失敗することがあるのも同じだ。
補助儀式者は主幹技術者とは異なり次のようなことが可能である。
- 儀式の途中から参加できる。
- 儀式を途中で退出しても良い。
- 儀式の途中で《儀式魔法》の判定を行わない(作業に参加しない)サイクルがあっても良い。
経験値と成長
経験値はキャラクターが得た経験を数値化したもので、冒険を経ることで入手する。ここでは、経験値の獲得と使用方法について説明する。
経験値
経験値の獲得とキャラクターの成長以外での経験値の使用法について説明する。
個人経験値
個人経験値は各キャラクターが個別に持っている経験値だ。個人経験とは「累積経験値」と「未使用の経験値」に分けられる。
累積経験値とレベル
累積経験値はPCの成長に使用した経験値を累積加算したものである。PCの成長に使用した経験値とは、能力値などのパラメータの成長、技能の成長、特技・呪文の取得に使用した経験値を指す。ヒーローポイントや特技のコストとして使用した経験値は含まない。
累積経験値によってキャラクターのレベルを判断する(下表参照)。レベルはキャラクターのおよその強さを示す。『The Lunatic』のキャラクターは漸進的に成長するので同じレベルでもキャラクターの強さには差がある。
| レベル | 経験値 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | 0〜9 | 基本的な技術は身につけているが、駆け出しレベル。 |
| 2 | 10〜24 | 一応、一人前として扱われる程度の技術は持っている。 |
| 3 | 25〜44 | その道のプロと名乗っても問題ないレベル。 |
| 4 | 45〜69 | メインの分野についてベテランと見なされるだけの技量を持つ。 |
| 5 | 70〜99 | 一流の技術の持ち主と言えるレベルに達しつつある。 |
| 6 | 100〜134 | ハッキリと一流の技術の持ち主と言える。 |
| 7 | 135〜174 | その道において達人と見なされるレベル。 |
| 8 | 175〜219 | 同時期において一国(例えば日本中で)何人というレベル。 |
| 9 | 220〜269 | 世界レベルの実力者。 |
| 10 | 270〜324 | 同レベルのキャラクターは世界中を探してもそれほどいない。 |
未使用の経験値
未使用の経験値とはまだ成長やヒーローポイント、特技のコストなどに使用していない経験値のことである。キャラクターは未使用の個人経験値を使用して成長させることができる。また、セッション中にヒーローポイントとして使用することができる。個人経験値の使用はそのキャラクターのプレイヤーの判断に委ねられる。
パーティ経験値
パーティ経験値はセッションの間パーティの共有財産として存在し、セッション中にヒーローポイントとして使用することだけができる。パーティ経験値は自分の個人経験値と同じように使用できるが、パーティ経験値を使用する場合は一緒に行動しているPCのプレイヤー全員の合意が必要だ。
パーティ経験値を与える
パーティ経験値はシナリオの導入が終わった時点でマスターからPC全体に対して与える。複雑なシナリオで途中の選択によって後半の展開が大きく変わるような場合はパーティ経験値を前後半に分けて与えても良い。
パーティ経験値の目安はシナリオで発生する戦闘回数で、2〜3点位になるはずだ。シナリオが厳しければ増やし、容易ならば減らす。
ワンダリングモンスターなどによってパーティが予想外の危機に陥った場合の対応手段としてシナリオ途中にパーティ経験値を与えるというのも有り得る。ただし、プレイヤーのパーティ経験値の無駄遣いや判断ミスでパーティ経験値を浪費した場合は補填すべきではない。プレイヤーのミスには相応のペナルティが発生すべきだからだ。
パーティが分離した時の扱い
PCが2つ以上のグループに分かれて行動している場合、別行動している間はそれぞれのグループごとにパーティ経験値を管理する。そして、PCが合流したら、その時点で残りのパーティ経験値が最も少ない値に合わせる。
全体で3点のパーティ経験値を持っている時に、6人のPCが2人ずつのA、B、Cグループに分かれて行動した。分かれた時点で各グループは3点の経験値を持つ。分離行動中にグループAの残りパーティ経験値は2、Bは3、Cは1になったとする。全員が合流した時点で全体のパーティ経験値は1になる。再度同じメンバでA、B、Cグループに分かれた場合、各グループのパーティ経験値は1である。
経験値の獲得
経験値はセッションに参加したキャラクターに対して与えられる。これはセッション中に死亡したキャラクターについても同じである。ただし、何らかのペナルティによってNPC化したキャラクターには与えられない。
シナリオ経験値
セッションが終わったらマスターは各PCにそのシナリオで決められた個人経験値を与える。シナリオが終わったときに与える経験値はPC1人につき5〜7点が妥当だ。10点を超える経験値を与えることはないし、3点を下回ることもまれだ。
セッション中にパーティが分離行動をとった場合や死亡したキャラクターが一部の経験値獲得条件を満たしていない場合などはキャラクターによって獲得する経験値に差が出る場合もある。
技能経験値
技能経験値は技能毎に与えられ、当該技能の基準値か強度を成長させるためだけに使える経験値だ。技能経験値は技能を使った判定時のダイス目によって得られる。技能経験値を得られるダイス目は戦闘技能か非戦闘技能、得意技能かそうでないかで変わる。
戦闘、探索イベント以外のイベント(回復、一般)では技能経験値は得られない。
| 技能 | 戦闘技能 | 非戦闘技能 |
|---|---|---|
| 得意技能 | D12=12、D10=全て | D12=12と11、D10=全て |
| 得意技能以外 | D12=12、D10 > 決定的成功率 | D12=12、D10=全て |
経験値や特技の効果で振り直した場合、振り直し前の結果は無かったものとして扱う。
技能経験値は1技能につき1セッションに1回しか得られないが、別セッションで得た技能経験値は累積する。
判定に意味のある場合しか技能経験値は得られない。例えば、剣の素振りなどと言って判定を繰り返しても技能経験値は得られない。技能経験値を得られるかどうかの判断は最終的にマスターに委ねられる。
シナリオ終了時のパーティ経験値
セッション終了時点に残っていたパーティ経験値と同値が各PCに個人経験値として与えられる。パーティが分離行動をとったままシナリオを終了した場合、グループごとにパーティ経験値の残りが個人経験値となる。
マスターはシナリオ開始時に3点のパーティ経験値を与えた。セッション終了時点にパーティ経験値が1点残っていたなら、各PCは1点ずつ経験値を得る。
経験値の贈与
経験値を獲得したとき、プレイヤーは自分のPCの個人経験値を1点単位で他のPCに譲ることができる。セッション中に他のPCが個人経験値を使用して助けてくれた場合、この手段を用いて経験値を返すべきだろう。それ以外にも、他のPCに感謝すべき事項があった場合などにも経験値を譲っても良い。ただし、経験値を譲るかどうかは経験値を失う側の判断だ。譲りたくないならば譲らなくて良い。
ヒーローポイントとしての経験値
『The Lunatic』では経験値を一種の「ヒーローポイント」のように使用することができる。経験値1点を使用することによって次の効果を得ることができる。
「パーティ経験値」の説明のとおりヒーローポイントとして「パーティ経験値」を使用した場合、自分の経験値であるかのように機能する。例えば、「ダイスを振りなおす」を使用した場合、パーティのうち誰のダイスを振り直してもパーティ経験値1点の消費ですむ。
また、パーティ経験値に自分の個人経験値を追加して使用することも可能だ。例えば、パーティ経験値1点で「ダイスを振りなおす」を、自分の個人経験値を1点使用して「効果を他者に適用する」を使用して、敵のダイスを強制的に振り直させることが可能だ。
- ダイスを振り直す
-
直前に振ったダイスを振り直す。次の手順に移る前に宣言しなければならない。例えば、《防御》失敗を振り直す場合はダメージ決定前に宣言しなければならない。
他のキャラクターのダイスを振り直させることもできる。
自分の技能判定のダイスを振り直す場合、その技能の技能経験値を使用しても良い。
- 結果を自動的成功にする
-
ダイスを振らずに判定結果を自動的成功にする。受動側の判定など通常は自動的成功の発生しない場合も自動的成功になるので、相手の自動的成功に対して受動行動を自動的成功にした場合は同値なので受動側勝ちになる。
他のキャラクターの行動を自動的成功にすることもできる。
自分の技能判定を自動的成功にする場合、その技能の技能経験値を使用しても良い。
- 余力、魔那を回復する
-
任意のタイミングで余力と魔那を回復できる。
個人経験値の場合、プレイヤーが指定した1人のキャラクターに対してD6を2個振り一方の目で余力、他方の目で魔那を回復する。魔那を持たないキャラクターは大きい方の目で余力を回復し、他方は無視する。
パーティ経験値の場合、一緒に行動している仲間全員についてそれぞれD4を2個振り一方の目で余力、他方の目で魔那を回復する。魔那を持たないキャラクターは大きい方の目で余力を回復し、他方は無視する。
- 登場していないイベントに登場する
-
自分が登場していないイベントに登場する、もしくは他のキャラクター1人を登場させることができる。他のキャラクターを登場させる場合はそのプレイヤー(NPCの場合はGM)の同意が必要だ。分離行動で同時間帯に別の場所にいるなど明らかに無理な場合はマスターの判断で却下できる。他のキャラクターが探索に出かけた時、宿屋で待っている場合などは問題なく使用できる。パーティ経験値を使用した場合、1点のパーティ経験値で2人以上のキャラクターが駆けつけることができる。いつ登場できるかはマスターの判断だが、〔天命〕の判定に1〜3回成功した時点などとしても良い。
- 復活
-
プレイヤーは適当な理由をつけて死亡したキャラクターが死んでいなかったことにできる。例えば、最後の一撃はギリギリ急所を外していた。意識を失ってしまったため死んだと思われたが実は生きていた、など。復活したキャラクターがセッションに戻れるのは最短で次のイベントからである。復活した時のキャラクターの状態([耐久度]、[余力]、[魔那]の値など)はGMの判断による。戦闘直後の小休止で復活した時は[耐久度:1]、その他は戦闘終了時の値が妥当だろうが、1日後ならもっと回復した状態でも良いだろう。
復活に必要な経験値は次のいずれかだ。
- GMを含む参加者全員が同意してパーティ経験値1点を支払う。
- 参加しているPC全員が経験値1点を支払う(GMの同意は不要)。
- PC全員ではないが合意するPCで合計5点の経験値を支払う(死んだPC1人で5点支払っても良い)。
セッション中に経験値を支払えなくてもシナリオ終了後に得た経験値を使って次のセッションから復活しても良い。
復活の効果はPC専用でNPCに使うことはできない。
プレイヤーにとってキャラクターが死ぬかもしれないという緊張感は重要だが、実際に死んでしまうのはプレイヤーはもちろんマスターにとっても嬉しくない。経験値によってキャラクターロストを回避できることでそういうことは無くなるし、プレイヤーにとって5点の経験値≒1回分の成長相当のロスというのはキャラクターが死なないように立ち回るのに十分なものだ。もちろん参加者全員が復活を望むのであれば何の問題もないのでパーティ経験値1点で復活できる。
キャラクターの成長
キャラクターは個人経験値を使用して成長する。成長は基本的にシナリオとシナリオの間にしか行えないが、マスターが許可する場合はシナリオの途中で成長を行っても良い。
能力値
能力値は下表にに従って成長後の能力値に対応する経験値を支払うことで1点ずつ成長させられる。能力値が成長したなら余力、耐久度、致死点、頑健値、魔那、脚力、技能は再計算する。
| 能力値 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 経験値 | 60 | 50 | 40 | 40 | 50 | 55 | 60 | 65 | 70 | 75 |
〔武勇:8〕のキャラクターは経験値40点を支払うことで〔武勇:9〕にできる。〔武勇:10〕にするならさらに経験値50点が必要だ。〔武勇:8〕から〔武勇:9〕になったらそれに伴って《主近接》や《副近接》も1増える。
耐久度
耐久度はキャラクターの成長機会に1点まで、最大でキャラクター作成時の値+3まで成長させることができる。耐久度を1点成長させるのに必要な経験値は5点である。
余力、魔那、脚力
これらのパラメータはキャラクターの成長機会に1つのパラメータにつき1点まで成長させることができる。成長上限は基本クラス毎に決まっている(クラスデータを参照)。成長に必要な経験値は次の通りである。
| パラメータ | 必要経験値 |
|---|---|
| 余力 | 次の値と同値 |
| 魔那 | 次の値と同値 |
| 脚力 | 次の値の2倍 |
成長できないパラメータ
致死点、頑健値は経験値を支払って成長させることはできない。
能力値が成長した場合のみこれらのパラメータは変化する。
技能の成長
キャラクターの技能は個人経験値を使用することで基準値と強度を成長させることができる。
基準値
技能基準値は下表に従って1ずつ成長させることができる。例えば、基準値を11から12にするためには4点の経験値を消費する必要がある。成長前の基準値が10以上の場合、1回の成長では最大で1点しか成長できない。
基準値の成長に必要な経験値は戦闘技能(《主・副近接》、《投射》、《防御》、《生体防御》、《精神防御》、《呪文投射》、《対応呪文》)とそれ以外の技能で異なる。
| 基準値 | 2〜5 | 6〜9 | 10,11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 戦闘技能 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 9 | 10 | 10 | 10 | 10 |
| 非戦闘技能 | 1 | 2 | 3 | 4 | 4 | 5 | 5 | 5 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
決定的成功率は基準値の成長に従って自動的に成長する。
| 基準値 | 1〜6 | 7〜10 | 11〜14 | 15〜18 | 19〜20 | 21〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 決定的成功率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
強度
技能の強度は下表に従って一度の成長機会に0.5だけ成長させることができる。強度の上限は基準値によって制約をうける。下表の「基準値」が同じ列の強度を得るために必要な基準値である。
戦闘技能(《主・副近接》、《投射》、《防御》、《生体防御》、《精神防御》、《呪文投射》、《対応呪文》)の強度は成長に必要な経験値の一部として「技能経験値」を消費しなければならない。下表の「経験値」の行は「経験値(技能経験値)」となっている。例えば、「6(1)」なら最低1点の技能経験値を含む6点の経験値が必要だ(最低1点なので2点以上技能経験値を使っても良い)。
| 強度 | 0.5 | 1.0 | 1.5 | 2.0 | 2.5 | 3.0 | 3.5 | 4.0 | 4.5 | 5.0 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 必要基準値 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
| 戦闘技能 | 5(0) | 6(1) | 7(2) | 8(3) | 9(4) | 10(5) | 11(5) | 12(6) | 13(6) | 14(7) |
| 非戦闘技能 | 3(0) | 4(0) | 5(1) | 5(1) | 6(2) | 6(2) | 7(3) | 7(3) | 8(4) | 8(4) |
技能の強度を1から1.5にしたい場合、まず技能基準値が15以上必要だ。
この技能が「戦闘技能」なら必要な経験値は「7(2)」なので、技能経験値(2)と経験値(5)を消費すれば成長できる。技能経験値は最低2点なので2点以上消費しても良い。例えば技能経験値4点消費したなら経験値は3点で済む。技能経験値が0〜1しかないなら強度を成長させることはできない。
非戦闘技能なら技能経験値(1)と経験値(4)を支払えば良い。
クリーチャーの主要な技能の強度は次の値を目安とする。
| レベル | 1〜3 | 4〜5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 基準値 | 〜14 | 14〜16 | 16〜 | ||||
| 強度 | 0〜0.5 | 0.5〜1 | 1 | 1〜1.5 | 1.5 | 2 | 2.5〜 |
例えば戦士ならば《主近接》、魔術士ならば《呪文投射》と《対応呪文》が主要な技能だ。《防御》や《生体防御》、《精神防御》といった受動的な技能は誰にとっても重要だ。万能型のクリーチャーはフォローすべき技能が多くなるが、自身が注力すべきと考える技能と《主近接》か《投射》は2/3くらいのレベルを目安にしておくと良い。
効果強度
効果強度は強度の成長に伴って自動的に成長する。
効果強度の値は強度の端数を切り捨てたものである。
呪文の取得
クラスの呪文
キャラクターは自分の基本クラスと専門クラスの呪文を取得できる。
クラスで取得可能な呪文は呪文レベルに等しい経験値を支払う事で取得できる。
キャラクターが「専門術者」の場合、専門クラスの呪文レベルが1レベル低いものとして扱い、取得に必要なレベルも経験値も1減少する。
2レベル以上の呪文を取得するためにはキャラクターが取得可能な下位レベル呪文を全て取得していなければならない。呪文を取得可能なキャラクターは基本クラスと専門クラスでそれぞれの系統の呪文を取得可能だが、両方の1レベル呪文をマスターしないと2レベルの呪文は取得できない。
儀式呪文
PCが儀式呪文を習得するためには、まず儀式呪文毎に呪文書を入手しなければならない。呪文書はシナリオの入手アイテムとして入手するのが一般的な方法だが、呪文によっては購入可能な場合もある(呪文データを参照)。いずれにしろ、マスターが許可しなければ取得できない。
術者(少なくともPC)は【術者の呪い】の影響下にあるため、PC間で儀式呪文を教え合うことはできない。
死霊儀式の系統は“邪悪なNPC”専用だ。マスターはPCが死霊系の儀式を取得することを許可してはならない。
儀式呪文には[レベル]が設定されているが、クラス呪文のように低レベルの呪文から順に取得する必要はない。代わりにキャラクターレベルの過不足によって取得に必要な経験値が増減する。また、キャラクターの専門クラスで取得できる呪文の系統と儀式呪文の[系統]が一致しない場合、取得に必要な経験値が増加する(系統が一致しなくても取得することはできる)。
儀式呪文の取得に必要な経験値は儀式呪文の[レベル]+2である。ただし、キャラクターのレベルが儀式呪文の[レベル]に満たない場合、1レベル不足するごとに経験値を3点余分に支払わなければならない。キャラクターのレベルが儀式呪文の[レベル]を超過している場合、超過している分だけ取得に必要な経験値が減少するが、最小は儀式呪文の[レベル]である。系統が一致しない場合、取得に必要な経験値は2倍になる。
[レベル:5]の儀式呪文をレベル3のキャラクターが取得する場合、2レベル不足なので(5+2)+3×2=13点の経験値が必要だ。系統が一致しない場合は26点の経験値が必要になる。
レベル8のキャラクターが取得する場合、3レベル超過なので(5+2)−3=4だが儀式が[レベル:5]なので5点の経験値が必要だ。系統が一致しない場合は10点の経験値が必要になる。
特技の取得
キャラクターは自分の基本クラス、専門クラスの特技と共通特技から特技を取得できる。
特技は特技ごとに決められた経験値を支払って獲得する。特技は個別の説明で複数回取得可能であると明記されていない限り、同名の特技を2回以上取得することはできない。〈特技名[選択]〉のようになっている特技は[選択]部分が異なれば別の特技として扱う。
特技に[前提条件]が設定されている場合、その前提条件を満たしていなければ取得できない。
取得した特技の[取得枠]の合計はキャラクターの基本クラスの[特技枠]以下でなければならない。
特技枠を消費しない特技取得
キャラクターは特技枠を消費せずに特技を取得することもできるが、その特技が必要とする[取得枠]×5点の経験値を余分に消費する必要がある。この方法で取得できる特技は最大で5個までである。
特技の再訓練
キャラクターは成長機会に特技を失う代わりにその特技の取得に消費した経験値を取り戻す事ができる。その経験値で新たな特技を取り直しても良い。
様々な状況
セッション中に起こり得る特殊な状況の処理について説明する。本章についてはマスターが大体どこにどういうルールがあったか程度のことを覚えていれば十分である。
能力値関連
技能に依存しない、能力値を使用した判定などについて説明する。
能力値判定
適当な技能が無い場合や技術や経験が影響しない場合は能力値で判定を行う。能力値判定は次の点において技能と異なる。
- 決定的成功が発生しないためD12が12の時は常に自動的失敗
- 強度を持たないためダイス目がそのまま達成値になる
どのような時に何の能力を使うのかを以下に示す。
| 能力値 | 説明 |
|---|---|
| 武勇 | 〔武勇〕は戦闘能力の高さ、勇敢さを表す能力値だ。戦闘技術は技能でカバーされているので〔武勇〕の判定は滅多に発生しないが、戦場で突撃する、決死隊に志願する様な時に怖気付かないかといった判定には使う(冒険者には織り込み済みなので判定は不要だ)。 |
| 反応 | 〔反応〕は反射神経と知覚を複合した能力だ。攻撃を避けるのは《防御》、運動能力は《運動》、何かを探すのは《隠密》や《仕掛》を使う。〔反応〕を使うのはたまたま音が聞こえたか、一瞬何かが見えたかとかを判定する時だ。 |
| 判断 | 〔判断〕は判断力、賢明さ、勘の良さを複合した能力だ。何かヒントやキッカケに気づくには《洞察》、危険察知や安全確保には《野外活動》を使う。とっさの判断や直感的な判断が必要になる場合は〔判断〕で判定する。 |
| 技術 | 〔技術〕は知識、器用さ、技術力、観察力を複合した能力だ。技術力を試す場合は《仕掛》、知識を問うのは《事情通》、手先の器用さは《トリック》を使うが、クリーチャーの地頭の良さ、観察力のようなものを試す場合は〔技術〕で判定する。 |
| 天命 | 〔天命〕は運の良さ、体の丈夫さ、意志の強さを複合した能力だ。最も良く使われるのは〔天命〕判定で運試しを行うというものだ。そのほか勇気を振り絞る場合にも〔天命〕の判定を行う。 |
| 魔術 | 〔魔術〕は魔法関連の技術、知識を表す能力値だが、能力判定にはあまり使われない。〔魔術〕で判定することがあるのは不思議な出来事があった場合にそれが魔法的なことかどうかを判断するなどだ。ただ、これも文献や伝承でわかりそうならば《儀式魔法》や《事情通》を使用する。 |
筋力
キャラクターが重いものを持ち上げようとする場合など、どれだけ力があるかを評価しなければならない場合、能力値にも技能にも適切なパラメータがない。このような場合、キャラクターの身長と体重から筋力を算出して使用する。筋力はキャラクターの攻撃ダメージや持ち運べる荷物の量などには一切影響しない。
筋力は下表に従って身長と体重から求める。「標準体重」の範囲はキャラクターの(身長-110)以上(身長-105)以下である。筋力が増える側は(身長-105)から何%重いか、減る側は(身長-110)から何%軽いかで筋力が決まる。例えば身長170cmの場合、「標準体重」は60〜65Kgなのでキャラクターの体重が54Kg以上60Kg未満なら〔筋力:8〕、65Kg超過70.5Kgなら〔筋力:10〕になる。キャラクターの筋力を算出できる値よりも小さくするのは自由だ。
| 体重(Kg) | -30% | -28% | -24% | -18% | -10% | 標準 | +10% | +22% | +36% | +52% | +70% |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 筋力 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
言語
キャラクターが読み書き、会話できるか言語はキャラクターの〔技術〕によって決まる。言語は特技として扱い、下表の言語を経験値の消費なしに取得している。
| 〔技術〕 | 会話 | 読み書き |
|---|---|---|
| 〜4 | 不可 | 不可 |
| 5 | 母国語 | 不可 |
| 6 | 母国語、商用語 | 不可 |
| 7〜9 | 母国語、商用語 | 母国語、商用語 |
| 10〜 | 母国語、商用語、他1種 | 母国語、商用語、他1種 |
商用語は一種のピジン言語で世界共通言語である。地域的な差異はあるが、基本的な単語や数や量の表現は共通で言語自体が簡単なため、すぐにすり合わせができる。商用語には文字がある。単純な表音文字で、商用語の発音自体が簡単なことから読み書きも簡単だ。
その他の言語については世界設定に依存して地域ごとに言語がある。ただし、言葉が通じないのはゲーム運用上問題が多いのであまり重視しない。
装備と荷重
装備重量を細かく管理しても面倒臭いばかりで面白くないため、『The Lunatic』では装備重量の影響を細かく管理しないが、状況によっては問題になるため指標を示す。
荷重
衣服や履物、携帯している武器など身につけているものの他に背負い袋とその中に収められる分量以下の荷物を持っている場合が並荷重だ。《運動》など重量の影響がシビアな場合を除いて行動への影響や戦闘に対する影響はない。
それ以上の荷物を運搬している場合は重荷重となり荷物の運搬以外の行動に支障がでる。次のペナルティを適用する。
- 行動順と移動力が-2される。移動力が0になった場合、移動できず行動を消費する。
- 全ての判定でD12=11、12は自動的失敗になる。これは特技など他の全ての効果に優先する。
- 戦闘特技、武技、呪文特技を使用できない。
装備
装備に関しても細かく管理しない。常識的な範囲としては初期装備で貰える範囲に食糧などの消耗品を加えた程度、最大でもキャラクターシートの武器と所持品の欄に書き込める程度と考えれば良い。最終的にはGMの判断で明らかに持ち歩くのに苦労するほどであれば重荷重と同じペナルティを与えれば良い。
装身具形状のアイテム、つまり指輪やネックレスの形をした発動体や魔法の道具についても装備数上限に決まりはないが、同じ部位には1つしか装着できない。つまり1本の指には1つの指輪型のアイテムしか装備できないし、首には1本のネックレス型のアイテムしか装備できない。
各種状況ごとのルール
雪春中に起こる各種状況ごとの処理について説明する。
遮蔽
遠隔武器による攻撃や呪文では対象との間に存在する遮蔽物の影響が重要になる場合が有る。ここでは図に基づいて遮蔽の効果について説明する。
図の黒いマスは遮蔽物だ。クリーチャーのマスの角からクリーチャーから見て遮蔽物の最も外側になるマスの角に線を引く。クリーチャーのマスの角は2本の線の間が最も狭くなるものを選ぶ。クリーチャーから見て遮蔽物の後ろにある2本の線の間にあるマスが遮蔽されたマスだ。遮蔽されたマスは2段階で評価する。
- 完全遮蔽マス
-
遮蔽物の後ろで2本の線の間に全体が収まるマスで図中の青マスが当てはまる。
- 部分遮蔽マス
-
遮蔽物の後ろで線が通っているマスで図中の緑マスが当てはまる。
遮蔽の効果は遮蔽物によっても変化する。遮蔽物(黒いマス)は「十分な遮蔽物」と「不十分な遮蔽物」の2段階で評価する。
- 十分な遮蔽物
-
「良好な遮蔽」とはその背後にあるものをほぼ見えなくするような遮蔽だ。石壁や板壁、密集した生垣などが当てはまる。高さも重要でその背後にいるクリーチャーの身長以上が必要だ。
- 不十分な遮蔽物
-
背後にあるものを50%以上隠せるような遮蔽物だ。岩や木、藪、隙間のある板塀などが相当するだろう。高さが十分でない石壁や生垣なども当てはまる。
不十分な遮蔽物では遮蔽の効果が1段階下がる。完全遮蔽マスは部分遮蔽マスに、部分遮蔽マスは遮蔽効果の無いマスになる。
呪文への影響
呪文はある程度の隙間があれば正確にそこを狙うことができるので対象の一部が見えていれば良い。
- 完全遮蔽マスは呪文の対象にできない。
- 部分遮蔽マスは呪文の対象にできる。
《投射》への影響
《投射》は対象が見えるかどうかと共に矢弾自体が遮蔽物に邪魔されないことが重要になるため、呪文よりも遮蔽の影響を受ける。
- 完全遮蔽マスは《投射》の対象にできない。
- 部分遮蔽マスへの《投射》は不利になる。
《隠密》への影響
《隠密》に対して遮蔽が効果を持つのは前のサイクルの発見側の行動終了時から、現サイクルの発見側行動開始時までの間に隠密側がずっと遮蔽の範囲内にいた場合である。発見側の行動時には遮蔽の背後にいたとしてもその前に移動などで遮蔽の効果のない場所や効果の低い場所(緑のマス)を通過した場合、通過した中で最も低い遮蔽効果を適用する。
- 完全遮蔽マスに隠れているクリーチャーは発見されない。
- 部分遮蔽マスに隠れているクリーチャーは発見側の知覚距離を5軽減できる。
落下
高所から落下した場合、クリーチャーは落下した高さ1mにつきD6点のダメージを受ける。
クリーチャーが自ら飛び降りた場合は2m低いところから落下したものとして扱う。
落下地点の状態によってはマスターの判断でダメージが変化する。
| 落下地点 | 結果 |
|---|---|
| 水面 | 落下地点が十分な深さの水の場合、10m低い位置から落下したとして扱う。 |
| 危険な地面 | スパイクが植えられているのでダメージ+D10の様にダメージを追加する。 |
落下したクリーチャーが《運動》の判定に成功すれば(1+効果強度)m低いところからの落下として扱う。決定的成功時は(1+効果強度+判定時のD10)m低いところからの落下として扱う。
これとは別に自分から飛び降りた場合の効果は適用される。
クリーチャーが強制移動によって落下する場所に移動させられる場合、《運動》判定に成功すればその手前の場所で踏みとどまることができる。踏みとどまることに成功した場合、強制移動はその時点で終了する。瞬間移動に対しては踏みとどまることができない。
NPCの反応
PCが適当な一般人に話しかけたりした場合に相手がどのような反応を示すかを決めるルールである。例えば、情報の聞き込みなどでその辺りの住民に話を聞く場合などに使用する。シナリオに登場する重要なNPCの反応はマスターが決定しておくべきものである。
反応を決めるときは最初に基準となる「反応レベル」を決める。基準となる「反応レベル」は下表から選択する(一般的には警戒か普通になる)。
| 反応レベル | 説明 | |
|---|---|---|
| -5 | 敵対的 | キャラクターは犯罪者か敵かのように扱われる。 |
| -4 | 最悪 | あからさまにキャラクターを避ける。キャラクターが近づくなら逃げるか助けを求める。 |
| -3 | 悪い | キャラクターと話す気はなく、すぐに立ち去ろうとする。 |
| -2 | 非友好的 | 相手はできるだけキャラクターと関わりたく無いという態度をとる。 |
| -1 | 警戒 | 知らない相手に話しかけた時の一般的な反応。相手は若干身構えた感じで対応する。 |
| 0 | 普通 | 店の店員などの一般的な対応。相手に不利益がないなら普通に応対する。 |
| +1 | 友好的 | 相手は自分の負担になら無い限りの協力をしてくれる。 |
| +2 | 良い | 相手は協力的に対応する。少々の手間なら手助けをしてくれる。 |
キャラクターの武装によっても修正を受ける。一般的に威圧的な格好をしているほど相手の対応は悪くなる。
| 反応レベル | 説明 |
|---|---|
| 0/-1 | 大型武器を装備している。冒険者などを見慣れた宿屋や武器屋は0、一般人などは-1。 |
| -1 | 軽装鎧を装備している。 |
| -2 | 中装鎧、重装鎧を装備している。 |
基準の「反応レベル」を決めたら2D6を振る。その結果に従って反応レベルを上下させる。例えば、基準が「警戒」で2D6の結果が5なら相手の反応は「非友好的」になる。
| 2D6 | 2〜3 | 4〜5 | 6〜8 | 9〜10 | 11〜12 |
|---|---|---|---|---|---|
| 反応 | -2 | -1 | +0 | +1 | +2 |
NPCの反応レベルはずっと同じではない。キャラクターの行動や態度によって良くも悪くもなる。キャラクターが穏やかで丁寧な態度で話しかければ警戒していた相手も普通に対応してくれるかもしれない。逆に横柄な態度をとれば相手の反応も悪くなる。キャラクターが村のために働いて感謝されるなら村人の態度は当然良くなる。
物品の売却
物品を売却する場合の価格について説明する。
商人への売却
アイテムを商店等に売却する場合、売値は定価の1/5〜1/3になる。一般的な道具類は1/5程度の値段になる。武器や防具は定価の1/4、呪符や発動体は1/3の値段で売却できる。
個人取引
NPCなどと個人的に売買する場合、状況と交渉次第だが定価の1/2〜定価位で取引できる(転売時の利益を考えないため定価よりも安ければ満足という事)。ただし、売却先を自分で探さなくてはならない(マスターがそのようなNPCを出したい場合という事だ)。
生活費
原則的にキャラクターは1日あたり1GPの生活費がかかるとみなす。これには宿代と三度の食事、冒険から戻った時に破れたりした衣服などの修繕や買い替えといった基本的な衣食住の費用を含んでいる。GMは冒険と冒険の間の日数を決めてそれだけの生活費をPCに減らすように言えば良い。PCの所持金によっては1日0.5GP〜2GP程度まで加減することもできる。
生活費はキャラクターの生活レベルに比例する。1日1GPというのは不自由のない中産階級の生活レベルだ。生活レベルが高ければ生活費も高くなり、低ければ生活費も安くなる。治安と接触のある人々は生活レベルによって変わる。生活レベルが高いほど治安は良い。生活レベルが高いほど金持ちや権力者と知り合いになる機会は多く、生活レベルが低ければゴロツキや乞食、食い詰め者としか知り合いになれない。財産に見合わないほど高い生活レベルを求めるのは金銭的に辛いだけでなく人付き合いも辛い。逆に財産に対して低い生活レベルでは財産を狙われたり犯罪に巻き込まれる可能性が高くなる。
状態異常
特技や呪文の効果やモンスターの攻撃の追加効果などによって生じる状態異常について説明する。ここにあげるのはよくあるものだけで特技などの効果で個別に設定されるものもあるし、状況によってはマスターが独自に設定しても良い。
状態異常である間、ペナルティの内容を適用する。同じ状態異常は重複しないが異なる状態異常は重複する。異なる状態異常で同じ箇所に影響を与える場合、効果の大きいものを適用する。例えば、「移動力を1余分に消費する」と「移動できない」ならば「移動できない」を適用する。
回復のいずれかを行えば状態異常から回復する。クリーチャーの行動開始時または行動終了時に行う回復判定は行動ではないのでクリーチャーが行動できない状態であっても回復の判定は行える。
恐怖
クリーチャーが恐怖で身がすくむような状況に遭遇した場合に発生する。
恐怖状態は精神的な効果であり、精神への影響を無視できるクリーチャーには効果がない。
- ペナルティ
-
主行動と受動行動しか行えない(補助行動、即時行動、割込行動を行えない)。
能動行動の判定は不利になる。
自分の支配領域を失う(他のクリーチャーの行動を制限できない)。
- 回復
-
クリーチャーの行動終了時に〔武勇〕か〔天命〕の判定に成功する。作業判定の場合は進捗が1進む。どちらの能力を使用するかは特に理由がない限りプレイヤーが選択する。
魅了
主に魔法的な効果で発生する。
魅了された状態は精神的な効果であり、精神への影響を無視できるクリーチャーには効果がない。
- ペナルティ
-
できるだけ魅了した者の好意を得られる様に行動する。魅了した者に敵対的な行動は決して行わない。魅了されている以外は自分の意思に基づいて行動できるため、自傷行為を行う、パーティの仲間を攻撃するなどといったそれまでの関係を無視した行動はやむを得ない限り取らない。
- 回復
-
クリーチャーの行動終了時に〔判断〕の判定に成功する。作業判定の場合は進捗が1進む。
支配
主に魔法的な効果で発生する。
支配された状態は精神的な効果であり、精神への影響を無視できるクリーチャーには効果がない。
- ペナルティ
-
支配した者の命令に可能な限り従う。ただし、自己防衛は支配の影響に優先するので自傷行為など直接的に自分を害する命令には従う必要はない。パーティーの仲間を攻撃せよという様な命令は自分が仲間を倒すか退ければ良いので従う必要がある。
- 回復
-
クリーチャーの行動終了時に〔天命〕の判定に成功する。作業判定の場合は進捗が1進む。
混乱
主に魔法的な効果で発生する。
混乱した状態は精神的な効果であり、精神への影響を無視できるクリーチャーには効果がない。
- ペナルティ
-
混乱したクリーチャーは現状を把握できない。
技能や特技を使う能動的な行動を取れない。受動行動は問題なく行える。
- 回復
-
クリーチャーの行動終了時に〔技術〕の判定に成功する。作業判定の場合は進捗が1進む。
転倒
クリーチャーは地面に倒れている。
- ペナルティ
-
補助行動、追加行動、割込行動を行えず、宣言が必要な特技を使用できない。
主行動で「這い進む」か転倒から回復する(起き上がる)ことしかできない。
体を使う行動(技能の場合は《生体防御》、《精神防御》、《事情通》、《洞察》以外の全て)は不利になる。
自分の支配領域を失う(他のクリーチャーの行動を制限できない)。
自分のマスを移動困難で通過することを許す。
準備状態の武器や焦点付は非準備状態になる。
- 回復
-
次の自分の行動順で主行動の移動を消費する。
割込行動として脚力(1)を消費する。
- 這い進む
-
転倒状態のまま移動できるが1マス進むために移動力を2点余分に消費しなければならない。
無防備
クリーチャーはなんらかの理由で一切の行動を行えない状態になっている。例えば、拘束され身動きできない状態などが当てはまる。
- ペナルティ
-
《生体防御》、《精神防御》による受動行動以外の全てのを行えず、宣言が必要な特技を使用できない。
自分の支配領域を失う(他のクリーチャーの行動を制限できない)。
武器による攻撃が失敗か半成功でも成功時のダメージを受ける。攻撃が成功以上なら最大ダメージを受けるのに加えダメージにかかわらず死亡判定を行う。
その他状況に応じてマスターが決めたペナルティ。例えば拘束されているなら武器は取り上げられているだろう。
- 回復
-
状況による。例えば拘束されているなら拘束具や縄が解ければ回復する。
麻痺
クリーチャーは体が痺れているなどしており肉体的な行動に不自由を被っているか動けない状態である。名称は麻痺だが麻痺していなくても同レベルに行動不能な場合もこの状態を使用する。
不全麻痺
体が痺れるなどして行動に不自由な状態に陥っている。
- ペナルティ
-
追加行動、割込行動を行えず、宣言が必要な特技を使用できない。
移動の際1マス進むために移動力を1点余分に消費しなければならない。
自分の支配領域を失う(他のクリーチャーの行動を制限できない)。
体を使う行動(技能の場合は《生体防御》、《精神防御》、《事情通》、《洞察》以外の全て)は不利になる。
- 回復
-
クリーチャーは自分の行動終了時に[頑健値]の判定に成功すれば回復する。
完全麻痺
クリーチャーは体を全く動かせない状態になっている。
- ペナルティ
-
無防備かつ転倒状態である。
完全麻痺から回復した時点では転倒状態である。
- 回復
-
クリーチャーは自分の行動終了時に[頑健値]の判定に成功すれば回復する。
通常は緊急サイクルで処理するが麻痺の原因によっては通常サイクルやもっと長い時間のサイクルの場合もあり得る。
通常は1回の判定成功で回復するが作業判定としても良い。その場合、完全麻痺からある程度回復した時点で不完全麻痺状態になるとしても良い。
視覚異常
クリーチャーは視覚に大きな制限を受けているか視覚を失っている。これは目に障害を負った時だけでなく暗闇などで視覚を得られない時も同様に扱う。視覚異常扱いとなる暗闇はほとんど視界が無い状況である。《隠密》で見張りをできるレベルの暗さでは視覚異常にはならない。
視覚不全
自分のすぐ近く、具体的には隣接マスまでの視界しか得られないような状態である。
- ペナルティ
-
近接攻撃の能動行動は不利である。
遠隔攻撃は行えない。
呪文は[範囲:対象、対象N]、[範囲:N、連続N]だがその中の味方のみ、敵のみのように対象を選択するものは対象が隣接マスにいない限り使用できない。[範囲:N、連続N]でその範囲内全てに影響を及ぼす呪文は使用できるが呪文の投射位置はズレる可能性が高い。
《逃走》は不利である。
その他、隣接マスにあるものの大体の形や大きさはわかるがそれ以上のことはわからない。当然文字などは読めない。多少の視覚が得られればできる行動でも不利、詳細な視覚情報が必要な行動は非常に不利になる。
- 回復
-
原因による。非常に暗い場所なら明るくなれば回復する。視覚の機能障害ならそれが治療されれば回復する。
視覚喪失
自分の隣接マスも見えないような状態である。
- ペナルティ
-
近接攻撃の能動行動は非常に不利、受動行動は不利である。
遠隔攻撃は行えない。これには呪文を含む。
自分を中心とする呪文([距離:0]の呪文)は使用できるが、範囲内の対象を選択することはできない。
自分の支配領域を失う(他のクリーチャーの行動を制限できない)。
《逃走》は不利である。
その他、視覚情報が必要な行動は行えない。音や匂い、触覚に頼れるなら非常に不利、かなり頼れるなら不利で行える。
- 回復
-
原因による。非常に暗い場所なら明るくなれば回復する。視覚の機能障害ならそれが治療されれば回復する。
聴覚喪失
音を聞くことのできない状態である。呪文によって音が聞こえなくなっている場合もあるし、耳に障害を負っており場合もある。聴覚喪失となる無音状態はほぼ完全に音を聞くことのできない状態である。《隠密》で聞き耳が難しいような騒音などでは聴覚喪失にはならない。
- ペナルティ
-
呪文動作が呪文の詠唱の場合、呪文の使用は不利になる。これは呪文詠唱ができないのと同じである。
その他、聴覚が主要な知覚となる行動は行えない。
クリーチャーが[知覚:ソナー]に頼っているなら聴覚不全か聴覚喪失(GMがいずれか判断する)の効果も適用する。
- 回復
-
原因による。呪文による無音なら呪文の効果が無くなれば回復する。聴覚の機能障害ならそれが治療されれば回復する。
睡眠
クリーチャーが眠っている状態である。
- ペナルティ
-
無防備かつ転倒状態である。
睡眠状態から回復した(目を覚ました)時点では転倒状態である。
- 回復
-
揺り起こされる、大きな音を聞く、など以上の刺激があった場合。
他のクリーチャーが隣接を移動した場合、そのクリーチャーの移動終わりに即時行動として〔天命〕の判定を行う。判定に成功すれば目を覚ます。この判定は失敗しても余力(1)で再判定できる。
毒・病気
クリーチャーが毒に冒されたり病気になったりしている状態である。
単純毒
キャラクターが戦闘中にモンスターから受ける毒で単純にダメージを受けるだけのものである。
- ペナルティ
-
クリーチャーが回復の判定に失敗したなら1点のダメージを受ける。
- 回復
-
クリーチャーは自分の行動終了時に[頑健値]の判定に成功すれば回復する。
通常は緊急サイクルで処理するが麻痺の原因によっては通常サイクルやもっと長い時間のサイクルの場合もあり得る。
より強力な毒として最大でD6程度までダメージを増やしても良い。その他行動を制限するようなの効果を付け加えても良い。
通常は1回の判定成功で回復するが作業判定としても良い。
モンスターの攻撃の効果としての毒以外の毒や病気はほとんどシナリオの演出である。例えば、PCが何らかの毒にやられたので3日以内に解毒薬を見つけなければいけない、ある村で伝染病が流行しつつあるので森に住むドルイドに治療法を教えてもらいに行く、といった具合である。
この様な演出としての毒や病気はそれらしい設定があれば良く厳密なルールは不要なため『The Lunatic』ではこれらのルールを掲載しない。
窒息
クリーチャーが呼吸できない状態である。
- ペナルティ
-
クリーチャーが呼吸できない状態で主行動、即時行動、割込行動を行ったら行動終了後に余力(1)を失う。
クリーチャーが自分の行動終了時に呼吸できないなら〔天命〕の判定を行い、失敗したら余力(1)を失う。余力を消費できないならクリーチャーは気絶状態になる。
窒息かつ気絶状態のクリーチャーは自分の行動順ごとに通常サイクルならD6、緊急サイクルなら1点のダメージを受ける。
- 回復
-
クリーチャーが呼吸できる様になったら窒息状態でなくなる。
人間以外のキャラクター
『The Lunatic』のPCは人間を想定している。人間に近い亜人種のキャラクターはマスターが許可するなら可能だ。亜人種は一部の能力値取得やパラメータに制限があったり逆にボーナスがあったりする。亜人種は人間よりも寿命が長い場合があるがキャラクターの年齢は人間の場合と同じ様に決定する。
亜人種のキャラクターは人間のキャラクターより若干損なバランスになっている。これは亜人種が人間に劣っているからではない。エルフは人間よりも音楽などの芸能の才能があるし、ドワーフは工芸に才能がある。ただし、これらは冒険者としての能力には関係ないためPCの能力の評価対象外になっているのだ。
エルフ
エルフは人間によく似ているが若干華奢で耳が尖っているのが特長だ。彼らは森の中に自分たちの集落を作って住んでおり、あまり人間との付き合いはなく一般的に出会うことの少ない種族と言える。
エルフのキャラクターを作成する条件は次の通りだ。
- 〔魔術:なし〕は〔魔術:7〕である。
- [頑健値]を-1する。
- 大型の近接武器は使用できない。
- 能力ポイントの消費なしに〔暗視(15マス)〕を取得済みである。
- 体重を人間の95%にする。(筋力の算出にも影響する)。
ドワーフ
ドワーフは平均身長が150cmくらいだが体重は人間と変わらない、がっしりした体格の種族だ。ドワーフの多くは鉱山を採掘しながら地下道で生活しているが、地上で金属や宝石の加工に携わるものも多い。彼らは金属や宝石の加工に才能があり、彼らの作ったものは人間と取引されている。異種族の中では最も人間と付き合いがある種族と言える。
ドワーフのキャラクターを作成する条件は次の通りだ。
- 能力初期値で〔反応〕に9を割り当てられない。
- 移動力を-1する。
- [耐久度]を+1する。
- [頑健値]を+1する。
- 能力ポイントの消費なしに〔暗視(15マス)〕を取得済みである。
- 身長を人間の85%にする(標準体重より重くなるので筋力算出時に筋力が増える)。体重は人間と同じ。
ノーム
ノームはドワーフによく似た外見の種族だがドワーフより華奢だ。ノームは多くの場合ドワーフと混群を作って生活しているが、多くは地上に住んでいる。人間の都市に住むノームもいる。ノームは機械の設計などに才能のあるものが多く、彼らの発明品は人間にも利用されている。
ノームのキャラクターを作成する条件は次の通りだ。
- 〔魔術:なし〕は〔魔術:7〕である。
- 能力初期値で〔武勇〕に9を割り当てられない。
- 大型の近接武器は使用できない。片手半近接武器は両手で使用しなければならない。
- 《仕掛》の技能初期値に+1する。
- 身長を人間の80%、体重を人間の50%にする。
ハーフリング
ハーフリングはちょうど人間の子供のような姿の種族で、大人でも身長は120cmくらい、体重は30Kg程度しかない。ハーフリングの耳はエルフと同じように先が尖っているので人間の子供と区別できる。ハーフリングは人間やドワーフなど他の種族に混ざって生活しているので比較的よく見かける。
ハーフリングのキャラクターを作成する条件は次の通りだ。
- 能力初期値で〔武勇〕に9を割り当てられない。
- 大型の近接武器、遠隔武器は使用できない。片手半近接武器は両手で使用しなければならない。
- 《逃走》、《隠密》の初期技能値に+1する。
- 身長を人間の70%、体重を人間の35%にする。
ゲームマスター・セクション
ここではTRPGをプレイする上でのマスターの役割、シナリオ構築、NPCの作成などのマスター向けルールを記す。
マスターの権限と義務
TRPGをプレイするためにはマスターが必要だ。マスターはシナリオの用意、キャラクターの行動結果を決定、状況の管理と説明、NPCやモンスターを動かす等、セッションの多くを取り仕切る。そのためマスターは非常に強い権限、はっきり言えば自分が運営するセッションにおいて何でもできる権限がある。しかし、それはセッションに参加した全員が納得できるゲームを提供するためであり、自分の好き勝手をするためのものではないことを念頭においておく必要がある。
PCを主人公として扱う
セッションにおける主人公はPCでなければならない。NPCを主人公として扱う様なセッションをプレイする事はゆるされない。
公平に運営する
マスターはゲームを公平に運営しなければならない。プレイヤーは公平に扱い、特定のプレイヤーやPCをえこひいきしてはならない。特定のPCにフォーカスしたシナリオをプレイしたい場合などは、他のプレイヤーの合意を得ておく必要がある。公平に運営するというのはPCに与えられるチャンスやルールの適用を公平にするという事であり、結果を公平にするのではない。不注意な行動や無謀、無秩序な行動をしたPCの行動には相応のペナルティを与える必要がある。
ルーリング
セッションはルールに従って運営しなければならない。ただし、TRPGは扱う状況が非常に複雑なためルールに記された内容だけではうまく判定できない場合がある。また、シナリオのギミックとして特別なルールを適用したい場合もあり得る。マスターはこの様な場合に独自のルールを適用する事ができる。ただし、そのような場合にはルールを適用する前にプレイヤーに対してその事を説明する必要がある。
結果の裁定
プレイヤーの宣言の妥当性を判断し、ダイスロールを許可するのはマスターの権限である。マスターは自身が許可していない行動や結果を確認していないダイスロールを棄却したり、やり直させたりする事ができる。正当に行われたダイスロールの結果にはプレイヤーはもちろんマスターも従わなくてはならない。ただし、マスターはそれが演出である限りにおいて、NPC等の行動結果をダイスロール無しに決定する事ができる。
ルールの運用を間違った場合
マスターやプレイヤーがルールを間違って使用した場合、速やかに訂正し以降は正しいルールに従う。スポーツ等で審判が下した結果が基本的に覆らないのと同様に、原則として時間を巻き戻してやり直す事はない。ただし、ルールミスによってPCが死亡するなど致命的な事態になった場合はご都合主義的でも救済措置を与えた方が良い(例えば、死んだと思われていたが死んでいなかった、など)。
セッションの秩序をたもつ
最終的にセッションの秩序を保つのはマスターの役目だ。セッションの進行を妨げる、他のプレイヤーの迷惑にしかならないプレイをする、悪意を持ったプレイでセッションを崩壊させようとするようなプレイヤーに対してマスターは警告とペナルティをを与える必要がある。基本的なペナルティはそのプレイヤーのPCに与える経験値の削減だ。改善されない場合はそのプレイヤーからPCを取り上げてNPC化し、セッションから追放する権限を有する。
セッション進行
実際にセッションを行うための準備やセッション中に気をつけることについて説明する。
前準備
セッションには前準備が必要だ。少なくとも次の2点とプレイする場所や道具(ダイスやキャラクターシート)の準備が必要になる。
シナリオの用意
マスターは自分が運営するセッション中、PC達に与える目的、目的の達成を阻む障害、セッション中に起こる出来事や登場人物などを定めておく必要がある。これらをまとめたものをシナリオと呼ぶ。
キャラクターの準備
既存のキャラクターを継続使用しないならプレイヤーはルールに従ってキャラクターを作成する。『The Lunatic』のキャラクター作成にはランダムな要素は無いので新規にキャラクターを作成する場合はあらかじめ作成したキャラクターを持ち込んでも問題ない。ただし、セッション毎にランダムに決まるパラメータはマスターや他のプレイヤーが居るところで公正に決めること。
原則としてパーティ内のキャラクターの経験値の差は同一レベルの範囲に押さえるべきだ。キャラクターの強さに差がある場合、最も強いPCと同じレベルの最低経験値まで弱いキャラクターに経験値を与え、成長させるべきだ。
実プレイ
マスターはシナリオに基づいてセッションを運営し、プレイヤーは自分のキャラクターを通してセッションに参加する。
マスターはシナリオに従ってイベントを展開し、プレイヤーの宣言に応じてイベントを処理することでシナリオが進行は進行する
予定外の行動への対処
実際のセッションではシナリオで予定していなかった方向に話が進む場合がある。このような場合、マスターは必要に応じてアドリブで対応する。しかしプレイヤーの行動につきあってひたすらアドリブで話を展開すると話が横道にそれてしまう場合がある。この様な場合、マスターはNPCなどをうまく使ってプレイの方向を修正する様にする。それでもプレイヤーが見当違いなことをするようであれば、マスターはプレイヤー(キャラクターにではなく)に見当違いのことをしていると伝えても良い。
なるべく判定させる
技能の範疇となる行動は原則的に判定を行う様にすべきだ。これは、プレイヤー間の公平性を保つためである。例えば、戦闘時はルール通り判定させるにも関わらず、屋敷に忍び込むときは《隠密》で判定しないなどとすると、戦闘に関わる技能を重視したプレイヤーは得をしているが、隠密行動等を重視したプレイヤーは損をしている。この場合、きちんと《隠密》の判定をしてこそ平等に活躍機会が与えられ、公平であると言える。
交渉など
キャラクターの技能に《話術》があるが、他のPCやNPC相手の場合等はある程度ロールプレイによって解決して問題ない。しかし、押しの強いプレイヤーや口のうまいプレイヤーが自分の主張を押し通そうとしたり、プレイヤー同士が延々と議論したりする場合がある。このような時は適当な技能で判定させ、その結果に従ってうようにする。多くの場合は《話術》だが、熱意や誠意が伝わったかどうかなら〔天命〕を使用するのも良いだろう。
プレイ後
キャラクターが手に入れた報酬の整理、経験値の獲得、後片付けなどを行う。
ダメージなどの回復
PCのダメージはプレイ後には回復する。ただし、キャンペーンなどで今回の結果が次回にも影響するならば回復しないかもしれない。このような特殊な状況はマスターの判断によってなされる。
なお、死亡したキャラクターは回復しないので破棄する。
報酬の分配
PCがセッション中に手に入れた報酬を分配する。報酬の分配はプレイヤー間で相談して決めれば良いが、なるべく平等に分配すべきだ。通常手に入らないアイテム(消耗品)をもらったキャラクターはお金等を他のプレイヤーよりも25%ほど少なくする、通常手に入らないアイテム(永続的)をもらったキャラクターは金等を他のプレイヤーよりも50%ほど少なくするなどしてバランスを取る。
経験値の獲得とキャラクターの成長
マスターから各PCにその冒険で獲得した経験値を与える。
時間に余裕があるならキャラクターの成長を行うこともできる。
シナリオの作成
TRPGはシナリオがあって始めてゲームとして成立する。コンピュータRPGならゲーム制作で一番重要度な部分であるが、TRPGはマスターという管理者がいるのでそれほど厳密なシナリオを作成しなくてもセッションを運営する事ができる。とはいえ、ここではシナリオで少なくとも考えておくべき事について説明する。
概要を考える
シナリオ作成の最初の作業はシナリオの概要を考えることだ。概要で考えるべきことは次のようになる。
-
シナリオの目的
プレーヤー(PC)が最終的に何を達成する必要があるのかは必ず決めなくてはならない。
TRPGのシステムはゲームの目的を定義しない。セッション(1回のゲームプレイ)ごとの目的を定めるのはシナリオだ。
これが定まっていてプレイヤーに伝わらないとプレイヤーはセッションで何をすれば良いのかわからなくなる。
-
導入
PCがシナリオに関わるきっかけだ。キャンペーンシナリオ(連続したシナリオからなる大きな冒険)でPCが当事者化しているなら少し情報を与えてやればプレイヤーはそれに向かって動ける。しかし、単発シナリオではほとんどの場合PCは部外者だ。PCがシナリオに関わるようにするためには多少あからさまなくらいのきっかけを用意した方が良い。
-
舞台設定
PCはどんな場所で活動するのかだ。どこかのダンジョンとかウィルダネス、もしくはシティ・アドベンチャーにしようとかいうことを考える。具体的には後で作り込むことになるが、どんなところを冒険させるかというイメージは持っておく必要がある。
-
想定される結果
うまくいったらどうなるか、逆に失敗したり不十分だったらどうなるかということを考えておく。
踏破型シナリオ
いわゆるダンジョンハック、単純な宝探しとかモンスター退治のシナリオのことだ。
このタイプのシナリオの中心は舞台設定だ。ダンジョンのマップや配置されるトラップ、モンスターをどうするかということに重点がある。
目的と想定される結果は明快だ。宝探しならできるだけたくさんの財宝とか特定のアイテムを手に入れるだし、モンスター退治なら標的のモンスターを倒すだ。導入についてもそんなに複雑にはならない。誰かから依頼されたとか、宝の地図を手に入れたとかで大体は事足りる。
事件型シナリオ
PCが何らかの事件に関わるタイプ、いわゆるシティアドベンチャーというタイプのシナリオだ。
このタイプのシナリオの中心は事件だ。PCはどのように事件に関わり、事件をどういう結果に導くのかということが重要になる。
シナリオの目的も展開も複雑になるし、それに従って結果のパターンも増える。導入も踏破型シナリオほど単純には行かない。事件の話を聞いた程度ではPCは動けない。当事者ではないからだ。割と強くPCに働きかける必要が有る(情報提供程度では弱い)。事件の調査や解決を依頼されるというのは有効な手段だがこればっかりというわけには行かない。
舞台設定は踏破型シナリオほど作り込まなくても良い。街中ならどこに何がある、誰がいる程度のことでよく、街の詳細な地図を作成する必要などない。最後の悪役が屋敷(ダンジョン)にいるというのは普通だが、規模は小さくて良いしギミックにもそれほど凝る必要はない(最後のちょっとした障害程度で十分)。それよりも敵やその他のNPCの目的や行動指針を決めておくべきだ。PCの行動が想定外だった時はそれに基づいてアドリブで対処することになる。
シナリオの具体化
目標を設定し、障害も考えたらシナリオを具体化する。マップの作成やNPCやモンスターのデータの決定、モンスターや罠の配置、いつどこに行けばNPCに出会えるのか、などを考えてシナリオを具体的に作成する。ダンジョン探索の様な単純なシナリオの場合、どこに行けば何があるか何が起こるかという位置的な構成を考えておけば基本的にシナリオは成立するが、殺人事件の解決の様なNPCが絡むシナリオでは時間的な要素やPCの行動とのインタラクションも考慮する必要がある。とはいえ、実際のセッションではPCがどういう行動をとるかを予測することはできても全てのことを予測して準備しておくことはできない。特にPCとインララクションするNPCの行動などをあらかじめ全て決めておくことは不可能だ。こういった場合、NPCの基本的な行動方針を決めておき、想定外の行動に対してはその行動方針に基づいてアドリブで対応する程度にとどめておくのが得策だ。
『The Lunatic』ではセッションはイベント単位で進行するが、ある程度複雑なシナリオの場合は関連性の強いイベントをまとめて場面として扱うとわかりやすくなる(下図を参照)。
上図のシーンが1つ1つの場面だ。シーンは舞台の一幕や小説の見出しの単位程度のまとまりで、時間的、空間的に関連のあるイベントがまとめられている。この様に、シナリオをいくつかのシーンに分けて考えることでシナリオの流れをわかりやすく扱うことができる。また、シーンごとにマイルストーンや中間目標を設定し、最終的にシナリオをどれだけ達成できたかをチェックすることもできる。
上図の導入シーンと終了シーンは他のシーンにはない特別な意味を持つ。
導入シーンの目的はプレイヤーにシナリオの目標を伝えることだ。マスターは導入シーンでPCがこのシナリオで何を達成すべきなのかをプレイヤーに理解させ、目標達成ために何をしなければならないのかという方針を考えさせる必要がある。非常に複雑なシナリオの場合、真の目標は別に用意しておき途中のシーンでそれが明らかになるというパターンもあり得るが、その場合でも当面の目標を示しておかないとプレイヤーはPCを動かすことができなくなる。
終了シーンの目的はプレイヤーにシナリオをプレイした結果を伝えることだ。マスターはプレイヤーがシナリオ中でとった行動の結果どういう結末を迎えたかということをPCに伝えて納得させる必要がある。これはPCおよびプレイヤーへの報酬(後述)への納得感のために重要なプロセスになる。
シナリオの具体化においてもう一つ重要なポイントがある。それは、シナリオをある程度物語として考えるということだ。TRPGはプレイヤーがPCを通して物語の主人公の様な体験ができるというのは重要な要素の一つだ。なので、PCの目的を示すのも単に「ダンジョンがある。そこには財宝がある。それを入手せよ」とやるよりも、「君たちは街の裏路地で暴漢に襲われている男を助けた。男は『その地図の×印の所に遺跡がある。未盗掘だから何か財宝が残っているはずだ。腕に自信があるなら行ってみると良い』と1枚の地図を君たちに渡し、助けてくれた礼を言って立ち去った」という風にした方が面白いわけだ。
報酬の設定
シナリオのゴールに到達したことでPCが得られる金銭や栄誉はシナリオの動機付けとして必要だが、これらはフレーバー的な意味が強い(金銭には実利的な意味もあるが、ある程度成長し装備などの整ったPCに対しては実利的な意味が薄れる)。
最も重要な報酬は経験値だ。PCを強化するためには経験値が必要なため、より多くの経験値を得られるということはプレイヤーに対する強力なモチベーションになる。また、経験値はゲームのプレイに対する評価値として機能する。つまり、シナリオ中でプレイヤーがPCの能力をうまく使って有効な行動をとればより多くの経験値を得られる様にすることでプレイヤーがより積極的にゲームプレイに参加する様に仕向けることができる。逆に自己中心的なプレイや迷惑なプレイをしたプレイヤーのPCは経験値を減らすことでペナルティとできる。
『The Lunatic』では1シナリオで得られる経験値は3〜10点だ。シナリオの想定通りに進行した場合は通常5〜8点の範囲になり、シナリオの難易度によって上下する。パーティ経験値のルールは危機的状況に陥らずにうまくプレイした報酬として機能する。
また、シナリオのチェックポイントで中間目標を設定し、それごとに得られる経験値を設定しておくのはうまい方法だ。下に例を示す。
ある漁村で網元の1人がギルマンと手を結び、その村の漁業を支配しようとしている。また、網元にはギルマンとの間を仲介し、彼を影から操る魔術士がいる。PCは網元の悪事を暴き、村に平穏を取り戻す事になる。
この場合、経験値の設定は次のようになる。
- パーティ経験値:2
- シナリオ経験値基準:3
- ギルマンを駆逐した/できなかった:+1/0
- 網元を倒した(捕らえた)/倒せなかった:+1/0
- 村人に死者を出さなかった/死者を出した:+1/0
- 魔術士を倒した:+1/0
- 冒険を途中で放棄した:-1〜-2
上の例ではシナリオ経験値から魔術士を倒したまで全て達成すると7点の経験値になり、未達成の条件があると経験値が減少する。パーティ経験値は2点でこれを使わずに済んだ場合はボーナス経験値となる。冒険を途中で放棄した時にはペナルティとして更に経験値を減らす。この様に経験値の獲得条件をあらかじめ設定しておけば終了シーンでプレイヤーに結末を説明しやすくなるし、プレイヤーの納得感も得やすくなる。
戦闘について
TRPGは言うなれば「戦闘級シミュレーションゲーム」としての側面を持っている。『The Lunatic』でも戦闘は非常に重要な要素だ。TRPGは戦闘だけしていればよいというものではないが、戦闘はそれ自体がゲーム性を保証してくれるし勝ち負けというわかりやすい結果を得られる。だからクライマックスには戦闘を用意しておくのが無難だ。いわゆるラスボスとの戦闘だが、これによって一定の盛り上がりとストーリーにケリをつける事ができる。シナリオ全体での戦闘の回数は3回前後が妥当な所だろう。内訳としてはクライマックスにラスボス戦、探索中に1〜2回戦闘と言ったところだ。補給の無い連戦はかなり厳しい事になるので3連戦は避けるべきだ。
『The Lunatic』での戦闘の注意点
『The Lunatic』の戦闘には他のTRPGシステムにない特徴がある。
- 耐久度(いわゆるHP)が武器のダメージに比べて少ない。
- 魔力(いわゆるMP)は1〜2回の呪文しか使えない程度で推移する。
- 余力によるダメージ軽減ルールが存在する。
『The Lunatic』の戦闘ルールはプレイヤーが「これは危ない」と思う状況が長く続く様にデザインされている。『The Lunatic』の戦闘でPCの消耗を図る上で重要なのは余力だ。マスターはPCの余力の残量に注意を払うこと。余力が3点以上ならPCはまだ戦える状況にある。1〜2点になっているならあまり余裕はなく、敵の数が多いとか敵の余力の総量がPC側より多いなら死者が出てもおかしくない。余力0ならそのクリーチャーは後1〜2サイクルで倒れる可能性が高い。この点に留意して戦闘をコントロールしすると良い。
戦闘バランスの調整
敵の戦力はPC側パーティと同じレベルの相手を同数用意しておけば大体バランスが取れるはずだ。もしくは、PCのレベルの合計がモンスターレベルの合計と同じになる様にしてもまずまずバランスが取れるがレベルの合計を合わせる場合は注意が必要だ。例えば初期状態のキャラクター5人のパーティの合計レベルは大体10になるが、10レベルの敵を出してしまうと勝てない。最も強い敵のレベルは最もレベルの高いPC+4くらいにとどめるべきだろう。
敵の余力設定も重要だ。余力はモンスターデータで固定されておらず、マスターが任意に設定できる。敵の余力配分は雑魚を少なく、ボスなど重要な相手に多くなるようにする。例えば、ボス、護衛戦士×2、雑魚のゴブリン×4ならボスに6点、護衛戦士に3点ずつ、ゴブリンは1点とすると5人パーティと釣り合いが取れる。総量はPC側と同程度、敵の数がPCより多いならやや少なめ、敵の数が少ないなら多めに設定するとバランスが取れる。最悪、戦闘バランスをミスしたと思ったらこっそり敵の余力を加減するという手もある。
NPCの簡易作成
NPCにどの程度のデータが必要かはPCの関わり方によって変わる。PCと同行したりPCと敵対したりするNPCで戦闘に関わったり、何らかの判定を行ったりする可能性のあるNPCの場合はモンスターデータ程度、PCとライバル関係になるようなNPCはPCと同様に能力を決定すべきだ。そうでないNPCについてはいちいち能力を決定する必要もない。いずれにしろ、NPCはPCのようにルール通りに作る必要はないが指標を示しておく。
NPCの能力値
NPCに能力値が必要になってもほとんどの場合、キャラクター作成ルール通りに設定する必要はなく、適当に決めれば十分だ。そのための指標は次の通りである。
能力値は7〜9が平均的、6以下は劣っている、10以上は優秀で13以上は天才的だ。一般人のNPCの場合、最も得意な能力が9〜10、苦手な能力が7に設定しておけば良いだろう。この値は人物の優秀さによって多少加減する。6や10の値を持つ人は100人に1〜2人、11や5の値を持つ人物は1000人に1〜2人くらいになる。
一般人の場合、〔魔術〕を考慮する必要はない。魔術に関する教育を受ける機会がなければ〔魔術〕の有無は関係無いからだ。
NPCの技能
NPCの技能は必要時に適当に設定できれば良いことが大半だし、PC用のクラスが当てはまらないことも多い。NPCの技能を手っ取り早く決める方法を説明する。
NPCの職業と技能の主要度
NPCにとってどの技能が主要かは下表を参考にすると良い。もっとも、同じカテゴリの職業によっても細分化すると多少の差異はあるのでマスターの判断で変化をつけても良い。下表に示したのは冒険者としての技能だ。NPCの職業によってはこれ以外の技能(農民なら《農業》、貴族なら《政治》など)を持っていてしかるべきだが、その様な技能で判定する必要は無いはずなので割愛する。
| 職業 | 主要技能 | 準主要技能 |
|---|---|---|
| 農民 | 野外活動▽ | 主近接▽、防御、生体防御▽、精神防御▽、逃走、運動 |
| 職人 | 仕掛 | 主近接▽、防御、生体防御▽、精神防御▽、逃走 |
| 大工 | 運動, 仕掛▽ | 主近接▽、防御、生体防御▽、精神防御▽、逃走 |
| 商人 | 話術△、事情通△ | 防御、生体防御▽、精神防御▽ |
| 交易商人 | 話術△、事情通△ | 防御、生体防御▽、精神防御▽、逃走、野外活動▽ |
| 漁師 | 運動、野外活動 | 主近接、防御、生体防御▽、精神防御▽、逃走、仕掛▽ |
| 狩人 | 投射△、逃走、運動、隠密、仕掛け▽、野外活動△ | 主近接、防御、生体防御▽、精神防御▽ |
| 羊飼い 牛飼い |
運動▽、野外活動▽ | 主近接▽、防御、生体防御▽、精神防御▽、逃走、運動 |
| 芸人 | 逃走、運動、事情通△、話術 | 主近接▽、防御、生体防御▽、精神防御▽、隠密、仕掛▽、トリック△ |
| やくざ者 | 防御▽、逃走 | 主近接、生体防御▽、精神防御▽、運動、隠密、話術△ |
| 泥棒 | 防御▽、逃走、運動、隠密△、仕掛△、トリック | 主近接▽、投射▽、生体防御▽、精神防御▽、事情通、話術 |
| 乞食 | 逃走、隠密△、事情通△、話術 | 防御、生体防御▽、精神防御▽、運動、仕掛▽、トリック、野外活動 |
| 山賊 | 主近接▽、投射▽、防御▽、逃走 | 生体防御▽、精神防御▽、運動、隠密、野外活動 |
| 海賊 | 主近接▽、投射、防御▽、逃走 | 生体防御▽、精神防御▽、運動、野外活動▽ |
| 兵士 | 防御▽、逃走▽ | 主近接△、投射△、生体防御、精神防御、運動、野外活動▽ |
| 傭兵 騎士 |
主近接、投射、防御 | 生体防御、精神防御、逃走、運動▽、隠密▽、野外活動▽ |
| 魔術士 | 呪文投射、対応呪文 | 防御、生体防御、精神防御、事情通、儀式魔法 |
| 神官 | 対応呪文、呪文投射▽、話術 | 防御、生体防御、精神防御、事情通、儀式魔法 |
| 役人 | 事情通、話術 | 主近接▽、防御▽、生体防御、精神防御、逃走▽ |
| 貴族 | 主近接▽、投射▽、防御▽、事情通▽、話術▽ | 生体防御、精神防御、逃走、運動▽ |
※ △はプラス側に、▽はマイナス側に修正される傾向があることを表す。
基準値、強度の算出
先述のNPCの職業と技能の主要度に基づく場合、NPCのレベルを決めて下表から技能の基準値と強度を計算する。
PCの様に基本・専門クラスをとって作成したNPCも下表を使って適当に成長させることができる。基本クラスの技能初期値を評価すると、副能力のない技能はクラス修正が+3だと主要技能、+2(選択可能)は主要技能▽、+2(固定)は準主要技能、+1は準主要技能▽くらいの評価だ。副能力のある技能は+2が主要技能、+1が準主要技能くらいになる。この表を用いるときは基本クラスの技能初期値は使用しないことに注意する。
| レベル | 主要技能 | 準主要技能 | それ以外の技能 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 基準値 | 強度 | 基準値 | 強度 | 基準値 | 強度 | |
| 1 | +2 | 0 | +1 | 0 | +0 | 0 |
| 2 | +2 | 0 | +1 | 0 | +0 | 0 |
| 3 | +3 | 0 | +2 | 0 | +0 | 0 |
| 4 | +3 | 0.5 | +2 | 0 | +1 | 0 |
| 5 | +4 | 0.5 | +2 | 0.5 | +1 | 0 |
| 6 | +4 | 1 | +2 | 0.5 | +1 | 0 |
| 7 | +5 | 1 | +3 | 0.5 | +1 | 0 |
| 8 | +5 | 1.5 | +3 | 0.5 | +2 | 0 |
| 9 | +6 | 2 | +3 | 1 | +2 | 0 |
| 10 | +6 | 2.5 | +3 | 1 | +2 | 0 |
※ 《技能》が副能力を持たないなら主要技能の基準値に+1する。準主要技能は△がついているなら+1する。
※ △は基準値+1か強度+0.5、▽は基準値-1か強度-0.5程度で加減する(必ずしもしなくて良い)。レベル3以下では特に加減する必要はない。7レベル以上では基準値と強度の両方を加減しても良い。
大工の親方(レベル5)の《仕掛》の場合、次のようになる。
まず、優秀な人物ということで〔技術:10〕とする。《仕掛》は主要技能となっている。これで考えると基準値は14、強度は1だが▽なので強度を-0.5しておく。結果、《仕掛け:14:0.5:3》となった。
NPCの特技
NPCの特技は基本クラスの特技枠上限を元に下表を参照して適当に取得して良い。例えば基本クラスが戦士のNPCはでレベル4なら特技を7個程度取得している。特技枠を消費しない専門特技は0.5と見做す。例えば、2レベルの盗賊は特技枠を消費しない専門特技2つ、それ以外の特技を2つ取得してもよい。
| レベル | 特技枠15 | 特技枠13 | 特技枠10 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 1 | 1 |
| 2 | 3 | 3 | 2 |
| 3 | 5 | 4 | 3 |
| 4 | 7 | 6 | 4 |
| 5 | 9 | 7 | 5 |
| 6 | 11 | 9 | 6 |
| 7 | 13 | 10 | 7 |
| 8 | 15 | 11 | 8 |
| 9 | 16 | 13 | 9 |
| 10 | 17 | 14 | 10 |
NPCの呪文
術者のNPCは下表のように呪文を取得していて良い。呪文依存度はそのNPCがどの程度呪文に比重を置いているかだ。魔導士:力術師のような呪文の専門家は呪文依存度大だし、魔法戦士:精霊の守護者なら呪文依存度小、魔法戦士:法術士は呪文依存度中だろう・
| レベル | 呪文依存小 | 呪文依存中 | 呪文依存大 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 呪文 | 儀式 | 呪文 | 儀式 | 呪文 | 儀式 | |
| 1 | 1レベル | - | 1レベル | - | 1レベル | - |
| 2 | 2レベル | - | 2レベル | - | 2レベル | - |
| 3 | 2レベル | - | 3レベル | - | 3レベル | - |
| 4 | 3レベル | - | 4レベル | - | 4レベル | - |
| 5 | 3レベル | - | 4レベル | - | 5レベル | - |
| 6 | 4レベル | - | 5レベル | - | 6レベル | 1個 |
| 7 | 4レベル | - | 5レベル | 1個 | 7レベル | 2個 |
| 8 | 5レベル | - | 6レベル | 2個 | 8レベル | 3個 |
| 9 | 6レベル | 1個 | 7レベル | 3個 | - | 5個 |
| 10 | 7レベル | 2個 | 8レベル | 4個 | - | 8個 |
NPCの耐久度、余力、魔那、脚力の成長
NPCの耐久度、余力、魔那、脚力は適当に成長させて良いが、PCと同程度にバランスを保ちたいならこれらのパラメータを成長させた回数だけ特技の取得回数を減らすと良い。
耐久度の成長はPCと同じく初期値+3までが原則だがNPCは+5程度までは許容できる。
余力、魔那、脚力の成長上限は下表を参考にすると良い(基本クラスの[パラメータ]に準じるのはもちろん構わない)。
| タイプ | 余力 | 魔那 | 脚力 |
|---|---|---|---|
| 戦士 | +5 | +0 | +1 |
| 盗賊 | +4 | +0 | +2 |
| 魔法戦士 | +3 | +2 | +1 |
| 魔法盗賊 | +2 | +2 | +2 |
| 術者 | +3 | +3 | +0 |
15歳以下のキャラクター
15歳以下のキャラクターは16歳以上のキャラクターの能力からベースに年齢によってパラメータを減少させる。
能力値
15歳以下のキャラクターの能力値を計算で妥当な値にするのは面倒な上役に立たない。いくつかポイントを示すので能力値は適当に決定して良い。[耐久度]、[致死点]、[余力]、[魔那]は能力値から再計算する。
-
0歳児の能力は〔武勇:2〕〔反応:2〕、〔判断:2〕、〔技術:2〕、〔天命:5〕、〔魔術:1(なしでないなら)〕である。
-
〔武勇〕は15歳の時点で0.93倍、12歳の時点で0.72倍、8歳の時点で0.5倍である(四捨五入)。
〔反応、判断、技術、魔術〕は12歳の時点で0.93倍、6歳の時点で0.72倍である(四捨五入)。
〔天命〕は12歳の時点で16歳以上のキャラクターと同値になる。
これらは能力値が7あるなら0.93倍の年齢で7、0.72倍の年齢で5に達することを意味する。
-
各パラメータの元値は能力値が5以下なら1ずつ減少する。
ケネス・ロイド・ウェバーの10歳時点の能力を計算してみる。彼の能力値は、〔武勇:11〕、〔反応:10〕、〔判断:10〕、〔技術:7〕、〔天命:10〕、〔魔術:10〕だ。
12歳時点では〔武術:8〕、〔反応:9〕、〔判断:9〕、〔技術:7〕、〔天命:10〕、〔魔術:9〕だ。8歳時点で〔武勇:6〕、6歳時点で〔反応:7〕、〔判断:7〕、〔技術:5〕、〔魔術:7〕だ。
10歳時点だと〔武勇:7〕、〔反応:8〕、〔判断:8〕、〔技術:6〕、〔魔術:8〕で良いだろう。〔天命〕は0歳で5なので差は5だから5*10/12=4(12歳で大人と同じになるので10歳時点の割合)を最低値の5に加えて〔天命:9〕にしておく。
ちなみに9歳時点では〔反応、判断、技術、魔術〕のうち1つ、8歳時点では2つ、7歳時点では3つを10歳時点よりも1小さくすれば良い。〔武勇、天命〕はまた別途計算する。
技能
10歳以下のキャラクターはまだクラスの技術を身につけていないので能力値から計算した値が技能の値になる。11歳以上のキャラクターは技術の一部を身につけ始めている(下表を参照)。例えば11歳時点で「+3技能」が+1というのは、クラスの技能修正が+3の技能については技能基準値に+1するという意味だ。
| 年齢 | +3技能 | +2技能 | +1技能 |
|---|---|---|---|
| 11 | +1 | +0 | +0 |
| 12 | +1 | +1 | +0 |
| 13 | +1 | +1 | +1 |
| 14 | +2 | +1 | +1 |
| 15 | +2 | +2 | +1 |
ケネス・ロイド・ウェバーが11歳の時の技能修正は《主近接:+1》、《防御:+1》、《対応呪文:+1》で他の技能は+0になる。
呪文、特技
年齢と能力値が決まれば初期経験値を算出できるので、それを使って呪文や特技を取得する。15歳以上で取得している特技などが決まっているなら、経験値の不足分だけ特技などを使用不能にしておく方が良いだろう。
一般人としての能力値、技能、特技
ルールの能力値や技能、特技、その他は冒険者を表現するためのものだし、モンスターデータはPCの敵としてのクリーチャーを表現するためのものであり、一般人(例えば農民や商人、役人など)を表現するためのものではない。例えば優秀な農民であってもPCとしては無能な冒険者としか表現できない。
『The Lunatic』は冒険者をプレイするためのシステムなのでPCが農作物の生産とか大工仕事をすることはない。あったとしても情景描写に過ぎないのでGMがそれを描写すればよく厳密なパラメータは必要ないが、どうしても一般人向けのパラメータ決定について知りたいという人のために簡単に説明しておく。
能力値
一般人の能力(以下、一般能力とする)としては〔農産〕、〔製作〕、〔商売〕、〔統治〕、〔軍事〕、〔海洋〕、〔学術〕あたりが考えられる。詳しく説明はしないが例えば〔農産〕は農作物の栽培や牧畜、林業など一次産業に関わる能力、〔統治〕は行政、政治、外交能力として設定するべきだ。能力の範囲を狭くすると扱いづらくなるし『The Lunatic』は中世世界なので個人の役割の範囲も現代のように細分化されない。
NPCの一般能力は適当に値を決めれば良いが細かくやるなら次のようにする。
- 一般能力の能力初期値をD4+5で決定する。そのキャラクターに必要と思える一般能力だけを決定するが、2つ以上の場合もあり得る。例えば農民には〔農産〕だけが必要だが貴族には〔統治〕と〔軍事〕が必要だろう。2つ以上の一般能力を決定する場合はダイス目を好きな一般能力に割り当てて良い。例えばD4が2と3だったら〔統治:7〕、〔軍事:8〕でも〔統治:8〕、〔軍事:7〕でも構わない。
- 1で決定した値はそれよりも大きい能力初期値と入れ替えても良い(1で決定した値以下の能力初期値とは入れ替えられない)。例えば〔農業:7〕を8の能力初期値と入れ替えると〔農業:8〕になり、7、8、8、8、9を〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕、〔技術〕、〔天命〕に割り当てる。
- 後は通常のキャラクター作成と同じように能力ポイントを使って能力値を決定する。ただし、〔武勇〕、〔反応〕、〔判断〕、〔技術〕、〔天命〕以外の能力は能力初期値から下げられない(一般能力を冒険者としての能力を高めるために利用できない)。
技能
技能は一般能力から派生する形で設定すれば良い。派生した技能は基本的にベースとなる能力が主能力になるが副能力になる場合もある。技能を設定する場合、既に用意されている冒険者としての技能と効果が重複するようならそのような技能は設定せず既存の技能を使う。例えば猟師向けに《狩猟》が考えられるがこれは《野外活動》と《投射》でカバーできるのでわざわざ設定しない。似ていても明確に棲み分けできるなら設定しても良い。例えば商人向けに《商談》が考えられるが《話術》と重複しているように思える。しかし《話術》での値段交渉は個人間の少額の取引だ。《商談》は品物の品質や利益を考慮した上で大きな金額を扱う交渉ごとであり口先のうまさや愛嬌が介在する余地は少なく合理的な判断が優先するという風に区別できるので設定しても良い。
農民などのクラスをわざわざ定義する必要はないが、クラスの初期技能値は副能力を持たない技能は最大+3、副能力を持つ技能は最大+2だ。
特技
一般人の職業向けに特技を定義する必要はない。どうしても定義する必要があるなら適当に作れば良いが特技は一時的な効果であることが基本だ。恒常的な特技は作業の進捗を最大+1程度強化するものくらいに止めるべきだ。
戦士
盗賊
※ 本表の修正値は標準値である。カスタマイズ可能な項目は基本クラスを参照。
※「技/反」は技術と反応、「判/反」は判断と反応である。